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【植物はあれもこれも薬草です】第18回 ドクダミ 化粧水、チンキ、茶、発酵酒

岡山・松原徹郎

この連載は、月刊『現代農業』の2020年1月~2021年12月まで全24回にわたって掲載された連載「植物はあれもこれも薬草です」です。身近な薬草を毎日の暮らしに取り入れるための知恵が満載です。病気になりにくい身体づくりを実現しましょう!

ドクダミ ドクダミ科ドクダミ属。開花期は5~6月頃。4枚の白い部分はじつは花びらではなく総苞片。中央の黄色い部分に多数の小さな花が集まっている。ドクトマリ、ハッチョウグサ、ノドハレなど各地にさまざまな呼び名がある(イラスト:久郷博子)
ドクダミ ドクダミ科ドクダミ属。開花期は5~6月頃。4枚の白い部分はじつは花びらではなく総苞片。中央の黄色い部分に多数の小さな花が集まっている。ドクトマリ、ハッチョウグサ、ノドハレなど各地にさまざまな呼び名がある(イラスト:久郷博子)

海外では香草や野菜としても利用

 今回ご紹介するのはドクダミです。湿った畑にわんさか生えて、取り除くのに苦労する厄介者ですね。

 日本では「十薬」とも呼ばれ、ゲンノショウコ、センブリと並んで「日本の三大薬草」とされています。優れた民間薬として日本全国に分布したため、地方名も非常に多い。東南アジアにも広く分布していて、タイ料理やベトナム料理では香草として、中華料理では野菜として炒め物にされるなど、食材として用いられています。

6月初期、白い花をつけたドクダミ。このころが薬効が最も高まる
6月初期、白い花をつけたドクダミ。このころが薬効が最も高まる

地下茎を伸ばしてどんどん増える

 半日陰の湿った場所に好んで生えるため、住宅の庭や空き地、道端、林によく群生しています。神社や寺社の境内でもよく見かけます。昔は神社や寺社で簡単な医療行為をしていたため、敷地内に増やしていたと聞いたことがあります。

 多年生で、白い地下茎が地中を横に走るように伸び、盛んに枝分かれして増えていきます。少しでも根が残っていると、そこから容易に増える強い生命力があるので、根絶が難しいのです。

収穫しやすい地上部を利用

 ドクダミはさまざまな薬効があるとされ、多用途に用いられてきました。

 茎葉を乾燥させ、お茶にして飲めば胃腸病、食あたり、下痢、便秘、利尿、高血圧などに効き、皮膚に塗れば腫れ物、吹き出物、皮膚病などの排膿や毒下しに効果があります。

 身体の内外ともに毒下しの薬効が顕著なので、毒を矯《た》める(抑える)ところから、毒矯《だ》め、ドクダミと呼ばれるようになったというのが通説です。

 掘り出す作業が大変なので、わが家では地下の根は使いません。地上部だけ収穫し、化粧水、チンキ、お茶、ドクダミ酒に加工して役立てています。地下部をそのままにしておけば、毎年同じように新たなドクダミが生えてきてくれます。

ドクダミ化粧水

 刈り取ってきた地上部を水洗いし、十分に日陰で乾燥させます。梅雨時期でカビが生えやすいので、雨が続くようなら乾燥機を使うこともあります。20度の焼酎にビンなどで漬け込み、3カ月ほど静置すればできあがり。保湿作用を高めるためにユズのタネを数粒かグリセリンを数滴加えます。

 この化粧水は日焼けでひりひり痛むとき、肌にぬると鎮静効果てきめん。シミや美白効果も期待できます。

地上部を刈り取って収穫。さまざま役立つため、わが家では栽培して大量に使う
地上部を刈り取って収穫。さまざま役立つため、わが家では栽培して大量に使う

ドクダミチンキ

 茎や葉より効能が高いといわれる花の部分のみを摘み取ってきて、市販のホワイトリカーに漬け込みます。3カ月経てば完成。できるだけたくさん花を集め、小ビンいっぱいに詰めて作るのがわが家流です。

 切り傷や肌荒れに少し塗ると、ドクダミの抗菌作用が発揮され、非常にきれいに治ります。ドクダミやアルコールにアレルギーをもつ方もいるので、最初は少量で試すのがよいと思います。

 化粧水とチンキは、ドクダミをケチらず、ビンいっぱいに入れて作るとよいものができます。また、半年以上熟成させるとより質がよくなるようです。

ドクダミ茶

 化粧水と同じように、茎葉を水洗いして乾燥させます。これを煮出してお茶にします。乾燥させると特有の臭気が消え、癖のないお茶になります。

 ただし、高濃度のカリウムを含むので、飲みすぎには注意。「飲みすぎると高カリウム血症になり、腎機能や肝機能に支障をきたすから、君も薬草を取り扱っているなら覚えておいてね。毎年夏になるとそういう人が病院によく来るから」と医者にいわれたことがあります。とはいえ、麦茶のように水代わりにガブガブと飲んだりしなければ問題はありません。

ドクダミ酒

 生葉の搾り汁をビンに入れ、汁に対して1/5~1/6程度のハチミツを加えてよく混ぜます。ビンの口に布でフタをして、3カ月程度冷暗所に保存。自然と発酵が進み、2カ月ごろから飲めるようになります。特有の臭気はなく、甘いよい香りで飲みやすい。

 発酵促進にイーストを加える方法もありますが、わが家は加えず作ります。それでも問題はないようです。発酵が進みすぎると酢になってしまうので、ハチミツを加えたり、保存したいときは冷蔵庫に入れたりします。

ドクダミ酒のために汁を搾る。搾汁率がよいツインギア式のジューサーを利用 搾り汁にハチミツを加えて2カ月置けばドクダミ酒のできあがり
ドクダミ酒のために汁を搾る。搾汁率がよいツインギア式のジューサーを利用
搾り汁にハチミツを加えて2カ月置けばドクダミ酒のできあがり
搾り汁にハチミツを加えて2カ月置けばドクダミ酒のできあがり

 

 ドクダミ酒は、ドクダミがもつすべての薬効と強壮効果を同時に得られる優れた加工法です。

 山間部の村でやせ地が多いからなのか、じつは意外とわが家のまわりにはドクダミの群生が多くありません。加工用に量が欲しいので、笑われるかもしれませんが1反ほど栽培もしています。栽培してみると、ドクダミには肥料が必要ということもわかってきました。私もまだまだ日々勉強中です。

*月刊『現代農業』2021年6月号(原題:ドクダミ)より。情報は掲載時のものです。

――次回は「ツユクサ」です。どうぞお楽しみに。

連載

過去に月刊『現代農業』で連載された「植物はあれもこれも薬草です」は、「ルーラル電子図書館」(無料お試しあり)でまとめて見ることができます。ぜひご覧下さい。

この連載の著者の松原徹郎さんが代表を務める「草楽(そうらく) 」のホームページやイベント情報、オンラインショップなどへのリンクは以下のとおりです。

▼草楽のイベント情報など(facebook)▼

https://www.facebook.com/ueyamasouraku

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