植物はあれもこれも薬草です 連載記事一覧 【植物はあれもこれも薬草です】第20回 ノブドウ 花粉症やアトピーを改善、つる・枝葉でおいしいお茶 2024-04-24 岡山・松原徹郎 この連載は、月刊『現代農業』の2020年1月~2021年12月まで全24回にわたって掲載された連載「植物はあれもこれも薬草です」です。身近な薬草を毎日の暮らしに取り入れるための知恵が満載です。病気になりにくい身体づくりを実現しましょう! ノブドウ ブドウ科ノブドウ属。ウマブドウとも呼ばれる。同じような実をつけるエビヅルという似た植物もあるが、そちらは葉裏に毛がビッシリつき、白く見えるので容易に区別できる(イラスト:久郷博子) 青や紫の実は肝臓病や神経痛に 今回はノブドウ(ウマブドウ)をご紹介します。低山の山野や林縁など至るところに生える野生のブドウで、秋に青色や紫色の特徴的な実がなるので知っている方も多いのではないでしょうか。 9月頃から大きさや形がまちまちの実をたくさんつけます。この実を大量に採ってビンなどに詰め、数年かけて発酵させて作った液体が、肝臓病に優れた効果があるとされています。消炎効果もあり、神経痛、筋肉痛、関節痛、皮膚炎などの緩和にも役立ちます。 9月頃、たくさんの実をつけたノブドウ つるから作るお茶で花粉症改善 また、育ったつるが年を重ねていくうちに木質化する藤本《とうほん》類の植物です。このつるを採り、乾燥させたものを数十分煮出してお茶にすると、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の改善に効果があります。私の知り合いで花粉症の方が、このお茶を飲んでだいぶ楽になったというケースは多くみてきました。ただし、効果はゆっくり出るので、症状が軽い人で数カ月以上、症状が重い人は1~2年以上続けて飲む必要があります。 ノブドウのお茶はきれいな茶色で少し甘みが感じられます。香りはほとんどなく飲みやすい。いろいろな薬草茶のなかでも、わが家の子どもたちが一番好きなお茶はこのノブドウ茶です。 大株を狙って効率よく採集 樹に絡んだノブドウのつるを根元から切り、手で引っ張って株ごと採集する 実を大量に採ることは意外とたいへんなので、わが家ではもっぱら、つると枝葉をお茶に利用しています。 採集は盛夏から始め、9月いっぱいぐらいまで続けます。前述したとおり、林の縁に生えていることが多いので、道沿いの森林を中心に野生のノブドウを探します。梅雨前から旺盛につるを伸ばし、森林に生える樹に絡みつき、上へ上へと伸びて枝につるを広げ、高さ10m以上にも生長します。 根元のつるは直径1cmほどになることもあるので採集には鎌などが必要です。長い柄の付いたものがあると重宝します。つるを根元から切り、手でズルズルっと引っ張って、樹から引きずり落とします。大株を一つ採れば、かなりの量のつるや枝葉が一度に集まるので効率的です。 採集後はつるを丁寧に確認 細かく切ったつる、枝、葉を天日干しで乾燥 つるには他の草やゴミがよく絡み合っています。私の地域ではボタンヅルやセンニンソウなどの毒草が絡まることもあるので、採集後はかなり丁寧に確認して取り除いています。 つるや枝葉はせん定バサミやワラ切りを使って、2~3cmほどの長さに刻んでから乾燥させます。電気乾燥機を使うと早いですが、シートなどに広げて天日干しでもできます。その場合は、真夏でも2~3日かけて、しっかり完全に乾かします。 目を見張るブドウ科のたくましさ ノブドウのお茶。甘みも感じられる飲みやすい味で、花粉症の改善に役立つ 岡山県は食用ブドウの産地で、ブドウ農家も大勢います。棚に仕立てたブドウを見ると、1本が250m²(10m×25m)にも広がっていることがあります。たった1本で何百個もの房をつけるたくましい植物です。ブドウ科の植物は、根は浅く張るほうですが、かなり広範囲に密に広がり、ミネラルを吸い上げる力も強い。それらを人間がいただいて体に取り入れることで、さまざまな効果が得られるのかもしれないと考えています。 大きく育つノブドウは都市部では小さいうちに除去されることも多いようです。採集や加工にやや手間がかかるので、とっつきにくい薬草かもしれません。でも、お茶はたいへんおいしく飽きがこない。花粉症などに悩んでおられる方も多いでしょうから、ぜひ一度お茶作りにチャレンジしてはいかがでしょうか。私も精を出して、今年もノブドウ茶をいっぱい作らないと、と思っています。 *月刊『現代農業』2021年8月号(原題:ノブドウ)より。情報は掲載時のものです。 ――次回は「メナモミ」です。どうぞお楽しみに。 ビワ( 6月6日)ハハコグサ (6月16日)タンポポ (6月21日)カキドオシ (6月27日)ハコベ(7月4日)クワ(7月12日)ヤブカンゾウ(7月19日)ゲンノショウコ(7月26日)ハギ(8月4日)オオバコ(8月24日)アザミ(9月6日)ヒキオコシ(9月14日)タラノキ(10月12日)スギナ(10月26日)ナズナ(11月17日)フキ(12月6日)イタドリ(1月9日)ドクダミ(2月21日)ツユクサ(3月19日)ノブドウ(4月23日)メナモミ(6月14日)カキ(7月13日)ナツハゼ(8月22日)ヨモギ(9月中旬) 過去に月刊『現代農業』で連載された「植物はあれもこれも薬草です」は、「ルーラル電子図書館」(無料お試しあり)でまとめて見ることができます。ぜひご覧下さい。 過去の連載を読む この連載の著者の松原徹郎さんが代表を務める「草楽(そうらく) 」のホームページやイベント情報、オンラインショップなどへのリンクは以下のとおりです。 ▼草楽のホームページ▼ ▼草楽のネットショップ▼ ▼草楽のイベント情報など(facebook)▼https://www.facebook.com/ueyamasouraku 大地の薬箱 食べる薬草事典春夏秋冬・身近な草木75種村上光太郎 著薬草の恵みをもっとも効率よく取り入れる方法は「食べる」こと。そして薬草になる植物は春夏秋冬いつでも身近にある。75種の草木をおいしく食べる料理法を重視し、薬酒や薬草酵母、薬草茶の作り方まで紹介。 小さいエネルギーで暮らすコツ太陽光・水力・薪&炭で、電気も熱も自分でつくる農文協 編輸入任せのエネルギー問題を再考!ミニ太陽光発電システムや庭先の小さい水路を使う電力自給、熱エネ自給が楽しめる手づくり薪ストーブなど、農家の痛快なエネルギー自給暮らしに学ぶ。写真・図解ページも充実。 この記事を見た人へおすすめのコーナー 農家のくらし知恵袋 Tags: ノブドウ, 薬草, 健康, 漢方