激夏を迎え撃つ 農家の液体資材――手作りバイオスティミュラント!?
7月のかん水特集に続き、今月も「激夏を迎え撃つ」特集。今、話題の「バイオスティミュラント」を自分で手作りすることをテーマとしました。バイオスティミュラントとは、肥料でも堆肥でも農薬でもなく、葉面散布や土壌かん注などで植物を刺激し、内側から強くする資材です。日本語に訳すと、「植物刺激剤」。
とはいえ、まったく新しい資材というわけではなく、これまで本誌で追及してきた光合成細菌や、酢、酢酸カルシウム、タンニン鉄などのことで、昨年の激夏下で、その作り方や使い方を深化させている事例を集めました。
光合成細菌
光合成細菌では、水田の排水路の水から元菌を培養した農家が登場しますが、その方法が超かんたん。これまでいろんな食品や薬品を駆使して培養する農家がいましたが、なんと水とエビオス錠だけで土着の光合成細菌を自家培養できたようです(p48)。キュウリの農薬散布時に混ぜると、葉の照りやわき芽の心立ちがよくなる。猛暑と集中豪雨で褐斑病や炭疽病が出ても、みるみる回復したそうです。
酢やタンニン鉄
酢やタンニン鉄などは、土中のミネラルをキレート化し、根っこが吸いやすい形にしてくれる。岐阜の夏秋トマトの大産地では酢の土壌かん注は誰もがふつうに実践する基本技術になっている模様(p62)。これら手作り資材はどれも根の働きをサポートし、団粒構造を促進しつつ、根張りをよくする。その仕組みをおさらいする図解ページも液体ごとに用意しました。
注目のフルボ酸液
また、今回とくに注目したいのが、フルボ酸液です。北海道のオホーツクでフルボ酸の濃縮ペレットを曝気しながら水で抽出し、大量散布する農家が増えています。不思議なことに、ネギの茎元についたタネバエが死んだり、ジャガイモの超多収(8.4t!)が実現(88p)。フルボ酸は自然界での鉄循環のキーマンともいわれるだけに、その実力はどうやら本物のようです。編集部でも「フル坊さん」という新キャラを登場させ、今後もさらに展開し、その力を解き明かしていこうと思っています。
バイオスティミュラントを作ってみた!
さて、これらのバイオスティミュラント、本当に簡単に手作りできるのか?
農文協の新事務所(埼玉県戸田市)の台所で、編集部も実際に作ってみました。その模様や、かかった費用などを2ページ見開きの記事でまとめました。
農家の手作りバイオスティミュラント。簡単にできるとはいうけれど、本当に超初心者でも作れるのか?編集部でも農文協・戸田事務所の台所でやってみた!
フルボ酸はニオイ消しにもなるそうですが、あの光合成細菌の独特なニオイも消せるのか? 実験結果もぜひご覧ください(p52)。
買えば高いが、自分で作れば安く大量に使える。作るプロセスもちょっと楽しい。今年の激夏を華麗に乗り越えるヒントがいっぱいの特集になりました。
その他のコーナーも見どころ満載です。タイトルだけですが、ご案内します。
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試し読み
作ってみた!手づくりバイオスティミュラント
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