北の国から 家族4人で幸せ自給生活 連載記事一覧 【家族4人で幸せ自給生活】第3話:雨漏りとペンキ塗り 2023-07-10 北海道・三栗祐己 こんにちは。パーマカルチャー研究所の三栗祐己です。前回の連載では、「極寒のマイハウス」と題して、断熱構造のない我が家(=プレハブ)について紹介しました。なんと、このプレハブ、昭和62年製で、かつ10年以上も放置されていたもの。当然、その中で暮らしていくには色々と問題が出てきます。ということで今回は、プレハブの雨漏りのお話です。 家族総出で屋根のペンキ塗り 雨漏りがペンキで直る?! 僕たちがこの札幌の山奥に移住してきたのは、2018年の8月14日。この年の8月は、北海道にしては珍しく、まるで僕たちを歓迎するかのように(?)、何日も雨が降り続きました。でもこの歓迎の雨、全然ありがたくありません。 あらゆる容器を総動員して雨漏り対応 案の定、移住した翌日から大量の雨漏りに見舞われます。特にトイレの雨漏りがひどく、バケツや洗面器、ジョーロなど、ありとあらゆる容器を総動員し、雨水を貯めては捨てるを繰り返しました。山家さん(前回にも登場した自給自足の先輩)に相談すると、「屋根にペンキを塗ると雨漏りは収まるよ」とのアドバイス。いやいや、ペンキで雨漏りが止まるなど、聞いたことがありません。最初はまったく信じられなかったのですが、それ以外に方法も分からず、とにかく試してみるしかありません。プレハブの屋根に上がってよくよく見てみると、屋根は、鉄板と鉄板が継ぎ合わさってできています。その、継ぎ目の部分から雨が浸入して雨漏りになるのではないか。まずはその継ぎ目にペンキを塗ることにしました。自給自足生活の最初の仕事は、屋根のペンキ塗り、家族総出での挑戦となりました。 継ぎ目のみにペンキを塗る そして次の雨の日……体感ですが、雨漏り「8割減」を達成!とりあえず、「山家さんの言っていたことは本当だった…」ペンキの効果に希望を感じた僕らは、次の晴れの日に、再び屋根のペンキ塗りを実施。今回は、さらに念を入れて、継ぎ目と、さらに屋根全体にもペンキを塗りました。そうすると、雨漏りはほぼ収まりました。 家族総出でペンキを塗って雨漏りを止めた。このことは、我が家全員にとって大きな自信となった トイレに行くため壁を破る 我が家は、もともとあったプレハブAと、後から入手したプレハブB(2つのプレハブがセット)をくっつけて配置してあります。「くっつけて」とはいっても、中で部屋が繋がっているわけではなく、それぞれが独立した箱です。なので、プレハブどうしを直接行き来することはできず、例えば、居間からトイレに行く場合、一度外に出てからトイレがあるプレハブに入る必要があります。実に不便です。 そこで、プレハブどうしをつなげるためにしたことは実にシンプル、プレハブの「壁破り」を行ないました。これも初めての仕事ですが、これはもう要領などありません。壁に穴を空けたり、はがしたり、毎日少しずつ壁の穴を広げること2週間……。 「壁破り」のようす 今からこの壁に穴を開けます! のみとハンマーを使って壁を剥がしていく プレハブAとBがつながった瞬間! 壁紙や板を剥いでプレハブどうしが完全につながった ついにプレハブAとBがつながりました!「これで、トイレに行くのにわざわざ外に出なくていい!」普通の家に住んでいれば、まず、味わうことのできない感動です。 破ったところから、再び雨漏りが… しかし、試練はまだまだ続きます。プレハブAとBの壁を破ったわけですから、当然、そこにはわずかながらすき間が空いてしまいました。 プレハブAとBのすき間 そのすき間から風が吹いてきます。雨も降ってきます。そしてタイミング悪くこの時、台風が直撃。泣きそうになりながら、急いで余っていた木材やビニールで壁のすき間をふさぎ、プレハブの上を覆うように屋根を自作しました。そうして見事、再び雨風をしのげる住まいとなったのです。 プレハブどうしの隙間の上を覆うように屋根を自作した 雪解け時期には、再び雨漏りが発生 台風による雨漏りから半年、すっかり安心していたのですが、翌年3月の雪解けシーズン、再び雨漏りが発生してきました。屋根にペンキで塗装したにも関わらず雪解けとともに再び雨漏りする?僕の仮説は、こうです。 冬の間に、雪が屋根に降り積もるその雪が、室内の熱で解けて水になる 解けた水が、再び氷点下になって凍る屋根の継ぎ目に付着した水や、ペンキに含まれる水分が凍ることで、水の体積が膨張するこの水の「融解」「凍結」の繰り返しで、屋根の継ぎ目が開いてきて、雨漏りが発生! その証拠に、ペンキを塗りなおしたそのまた翌年、雪解けシーズンになるとやはり再び雨漏りするのです。ですから我が家では、毎年6月のペンキ塗り作業が恒例行事になりました。今回お話したような、家の改造や修繕はたしかに大変ですが、暮らしに関わる作業を家族全員で行なうと、仕事が終わったときの喜びを共有できたり、団結力がアップしたりするので、必ずしも困ったことだけではないなと思うようになってきました。 次回(7月18日予定)は、ライフラインの中でもとくに重要な、トイレを手作りするお話です。 第1話(6月12日) 私のパーマカルチャー第2話(6月26日) 極寒のマイホーム第3話(7月10日) 雨漏りとペンキ塗り第4話(7月24日) トイレを手作りする第5話(8月21日) お風呂を手作りする第6話(8月28日) 断熱のお話第7話(9月18日) 我が家の電力自給第8話(9月27日) 北海道大停電 頼りは太陽光発電と人のぬくもり第9話(10月13日) 水を自給する第10話(10月25日) 暖房を自給する(前編)第11話(11月9日) 暖房を自給する(後編)第12話(11月28日) スーパーで野菜を買わない実験第13話(12月15日) みんなで畑づくり 柵の設置、定植第14話(1月5日) ニワトリ小屋づくり(前編)第15話(1月22日) ニワトリ小屋づくり(後編)第16話(2月20日) 食の自給① 梅干し&納豆第17話(2月29日) 食の自給② 麹、味噌、醤油第18話(3月15日) 食の自給③ 冬を乗り切るための漬け物づくり第19話(4月9日) 食の自給④ 薪ストーブを使ってつくる干し野菜&おやつ第20話(5月中旬) 服作り(前編) 三栗 祐己(みつくり ゆうき) 北海道札幌市の山奥で「パーマカルチャー研究所」を運営。パーマカルチャーとは、持続可能な暮らしのこと。家族4人で自給自足の暮らしをしながら、その暮らしから得られたパーマカルチャー的価値観を伝えることを仕事としている。(写真提供:金本綾子) ▼パーマカルチャー研究所▼ ▼Podcast「自給自足でセミリタラジオ」▼ 過去に月刊『現代農業』で連載された「北の国から、幸せ自給生活」は、「ルーラル電子図書館」でまとめて見ることができます。 過去の連載を読む 小さいエネルギーで暮らすコツ太陽光・水力・薪&炭で、電気も熱も自分でつくる農文協 編輸入任せのエネルギー問題を再考!ミニ太陽光発電システムや庭先の小さい水路を使う電力自給、熱エネ自給が楽しめる手づくり薪ストーブなど、農家の痛快なエネルギー自給暮らしに学ぶ。写真・図解ページも充実。 パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザインビル.モリソン 著田口恒夫 訳小祝慶子 訳都市でも農村でも、自然力を活かして食物を自給し、災害に備える農的暮らしの環境調和型立体デザイン。農地、家まわりの土地利用、水利用、家屋の建て方まで具体的に解説。経営システム全体で環境への適応をめざす。 この記事を見た人におすすめコーナー 農家のくらし知恵袋 Tags: 断熱, 自給自足, パーマカルチャー