2023年夏の災害級の猛暑。あんなに暑かったのにサツマイモが元気ピンピン。有機物マルチにますます期待。
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千葉・下村京子

脱・黒マルチ

毎年、サツマイモを植えたあと、夏の太陽に照らされ熱くなった黒マルチの上で苗が焼けてしまい、新しい苗を植え直すということを繰り返していました。竹なら黒マルチほど熱くならないだろうと思ったのが、竹マルチを試してみた理由です。
使ったのは新しく切り出したものではなく、支柱に使った古い竹です。これを半分に割り、竹の内側を下にして、ウネに挿した苗を挟むように並べました。

結果は大成功。去年はあんなに暑かったにもかかわらず、すべての苗が元気に育ちました。たまに水やりするときも、竹の間から水が入って、よかったのではないかと思います。イモのできはいつもと変わらなかったのですが、黒マルチという石油製品を使わずにすんで気分がいいです。

糸状菌がいっぱい
それと、うれしかったことがもう一つ。
イモ掘りの際、ウネに置いてあった竹をめくると、土の中から長い糸のようなものを生やした直径1cmほどの白くて丸い物体がいくつも出てきました。竹の裏側にも何やら白い菌がびっしりとついています。切ったばかりの新しい竹に、このような菌がついているのを私は見たことがありません。
調べてみると、竹についていたのは糸状菌で、丸い物体は糸状菌の子実体(キノコ)ということがわかりました。糸状菌は有機物を分解し、土の団粒化を助け、植物の抵抗力を高める効果があると聞きます。詳しいことはわかりませんが、古い竹には糸状菌がつきやすいのでしょうか。支柱として使った竹は3年くらい経つと朽ちて倒れてしまうので、それを捨てずにマルチに使えば、畑の土づくりに大いに役立つかもしれませんね。
今年はサツマイモだけでなく、トマトやナスにも竹マルチを試してみようと思います。

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張り方・使い方のコツと裏ワザ
農文協 編
耕種農業にマルチ・トンネルなどは欠かせない。それらをうまくつかいこなせば収量が増えたり身体がラクになったりと経営にとってプラスとなる。本書は、マルチとトンネルのラクな設置・片付け方法、効果的な使い方などのコツと裏ワザから、金のかからない素材や新しい機能性を備えた資材を紹介する。黒マルチをかぶせるだけの超浅植えジャガイモ栽培や換気不要の不織布トンネル、鏡面のごとくぴっちり張ったマルチは虫除け効果もあるという話も面白い。農作業をラクにする情報が満載。