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【農機のあるあるトラブル】第1話:そのガソリン、腐っています

静岡・小野田清((有)テックマン)

ふだん農機具を使っていて、ヒヤリとした体験はありませんか?農機は農家の手足ともいえる大事な道具。安全に、快適に、長く使いたいですよね。現代農業2019年から2年間にわたって連載され、好評だった「農機のあるあるトラブル」全17回分を、毎週一話ずつ期間限定で公開していきます。

 農業情報サイト「ルーラル電子図書館」の個人会員の方は、こちらから全17話をまとめてお読みいただけます。

久しぶりで動かなければ電装と燃料を疑え

 ジャイロコプター航空機の製作をしながら、農機具修理をしています。さまざまな依頼が舞い込む中、本当によくあるのは、シーズン後に長く保管していた農機を、久しぶりに使おうとエンジンをかけようとしたら「動かない!」というものです。2サイクルエンジンの刈り払い機や噴霧機、4サイクルエンジンの発電機やポンプ……。「何度やってもエンジンがかからないんだよ~」と、いろんな農機が持ち込まれます。

 エンジンが動かない時は、まずプラグ(燃料に着火、爆発させる点火装置)を見て電気系統が機能しているかチェックします。でもそれが正常でもエンジンが動かない場合が多いのです。そんな時は燃料が怪しい。

 キャブレター(燃料と空気を混ぜてエンジンに送り込む装置)を抜いた時、タンクの様子をのぞいた時、すえたニオイがしていませんか。ピンク色だったはずのガソリンが、茶色になっていませんか。もしそうだったら、その燃料、腐っています。

ガソリンは劣化する

 ガソリンは大きく分けると、一般自動車ガソリンと蒸留ガソリンがあります。昔のガソリンはすべて、原油から蒸留された純度の高い質のよい蒸留ガソリンで、変質することはありませんでした。

 しかし今の自動車ガソリンは化学合成で作られた、タールや不純物が多い粗悪なもので、半年もすれば劣化します。空気に触れて酸化して腐ってしまうのです。2サイクルエンジン用に、自動車ガソリンへオイルを加えた混合燃料も同じくらいの期間で腐ります。

 結果、キャブレターが詰まったり、プラグが汚れて点火できずエンジンがかからなくなったりします。かかったとしてもエンジンの吹けが悪くなります。

市販の混合燃料は蒸留ガソリン

 蒸留ガソリンは、今は航空機やキャンプ用ホワイトガソリンなどに使われています。そのほかにじつは、ホームセンター等で販売されている混合燃料(混合燃料になった状態の既製品)にも使われています。「蒸留ガソリン使用」といった表示はされていませんが、こちらは開封しても1年以上、保存が可能です。

残った燃料は密閉して酸化を防止

 長期間使用しない場合、原則は2、4サイクルエンジンともに燃料を抜き、キャブレターも抜いてください。市販の混合燃料は腐りませんが、キャブレターの中が詰まると心配なので、やはり抜いたほうが無難です。

 4サイクルエンジンの農機の燃料タンクの内側がサビやすい素材であれば、ガソリンは満タンにしておき、コックを閉めてキャブレターも抜いておきます。ただし半年以上使わないのであれば、入れたガソリンが腐るので、定期的に交換する必要があります。

 抜いた後のガソリンや混合燃料は正しく保管しましょう。酸化原因は空気です。ガソリンの携行缶や、少量ならペットボトルでもかまいません。これらに満タンになるように入れ、空気に極力触れないように密閉することが大切です。

*月刊『現代農業』2019年1月号(原題:そのガソリン、腐っています)より。情報は掲載時のものです。

【農機のあるあるトラブル】公開予定

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