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【農機のあるあるトラブル】第5話:SSのブレーキが利かない 薬液を入れる前の事前点検が必要です

長野・松澤努

 ふだん農機具を使っていて、ヒヤリとした体験はありませんか?農機は農家の手足ともいえる大事な道具。安全に、快適に、長く使いたいですよね。現代農業2019年から2年間にわたって連載され、好評だった「農機のあるあるトラブル」全17回分を、毎週一話ずつ期間限定で公開していきます。

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空の状態での事前点検は欠かさずに

▼ブレーキペダルの作動

 まずタンクが空の状態で、ブレーキの作動確認をしておきましょう。低速で走行してみて、タイヤがきちんと止まるか。ワイヤーやブレーキシリンダーがサビついていると、動作が鈍くなります。

 ブレーキペダルを踏んだ時の踏みしろ(踏みごたえ)も適当か(2~3cm)を確認します。「普段の使い勝手と何か違う」「遊びが多い」などの違和感があったら、必ず農機具屋さんに点検修理をお願いしましょう。ブレーキロッドやワイヤーの調整が必要です。

▼駐車ブレーキの作動

 駐車ブレーキも引きしろがあり過ぎたり、なさ過ぎたりしていないかをチェックします。自分で駐車ブレーキを引いて車体を停めたつもりでも、引きしろがあり過ぎると、利いていないことがあります。

 例えば、エンジンを始動して吸水ポンプをONにし、水がタンクに溜まっていくと車体はだんだん重くなります。この時、駐車ブレーキの利きが悪いと、車体が動き出してしまうことがあります。

 とくに給水場所が傾斜地の場合は気を付けましょう。駐車ブレーキをかけたうえで、タイヤに輪止めをするのをお勧めします。いつもと違う給水場所に停める時にも注意しましょう。

 それからよくあるうっかりミスが、駐車ブレーキをしたままの走行や作業散布です。ブレーキをしたまま稼働させると、駐車ブレーキの利きが悪くなってしまいます。

 SSはエンジンに力があるので、低速走行などした際には、案外、駐車ブレーキを引いたままなことに気が付きません。メーターパネルに駐車ブレーキの表示がありますが、電球が切れたり配線が腐食して点灯しない機械をよく見かけます。作業には差し支えないので、修理しない農家の方が多いですね。

 SSのほとんどは、自動車のように四輪すべてにブレーキが付いているわけではなく、後輪にしか装備されていません(曲がりたいほうの後輪をブレーキロックして小旋回をさせるため)。

▼タイヤの空気圧

 タイヤは空気圧を確認します。タイヤの空気が少ないとハンドルをとられることがあります。また、タイヤとホイールに隙間ができて砂などが入り、パンクの原因にもなります。パンクしていたらパンク修理をしましょう。

 その他の事前点検としては、燃料、エンジンオイル、冷却水。最低でもこれだけは確認しておきましょう。燃料はSSに合った燃料(軽油かガソリン)を入れること。途中でエンストでもしたら大変です。エンジンオイルはレベルゲージで確認し、少なければオイルを補給します。冷却水はラジエターの蓋を外して確認し、冷却水が少なければ補給します(一時的には水道水を入れて対応、作業終了後には不凍液を入れておきましょう)。パンク修理以外は工具を使わず目視で確認できることばかりです。作業前には必ず行ないましょう。

走行する時はごく慎重に

 薬液を入れたSSの走行は慎重に行ないましょう。農薬タンクが空の状態の時に比べて、ブレーキやステアリング(ハンドル)の操作が確実に変わってきます。

 車体が重い分、加速されて高速で移動します。つまりそれだけブレーキの利きは悪くなり、ハンドル操作は鈍くなります。下り坂、カーブ、舗装されていない砂利道などでは、手前で減速(アクセルを戻す)してエンジンブレーキを利かせて走行しましょう。

 なお、移動で高速走行する時は作業用の固定アクセルを使わないこと。また左右のブレーキペダルは確実に連結させましょう。急ブレーキの際、ブレーキが片ブレーキになり非常に危険です。

 とくに下り坂で走行している時に、クラッチを切ったり、走行の変速レバーをニュートラルにしないこと。車体が急加速したり、エンジンブレーキが利かなくなるので注意しましょう。

*月刊『現代農業』2019年7月号(原題:SSのブレーキが利かない)より。情報は掲載時のものです。

【農機のあるあるトラブル】公開予定

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