徳島県・ 中田和也
ふだん農機具を使っていて、ヒヤリとした体験はありませんか?農機は農家の手足ともいえる大事な道具。安全に、快適に、長く使いたいですよね。現代農業2019年から2年間にわたって連載され、好評だった「農機のあるあるトラブル」全17回分を、毎週一話ずつ期間限定で公開していきます。
農業情報サイト「ルーラル電子図書館」の個人会員の方は、こちらから全17話をまとめてお読みいただけます。

行き止まりの狭い農道で前後とも落ちた
7aほどオクラを栽培しておりまして、殺虫剤や液肥の散布のため、動噴を積んで軽トラで畑に行くことがよくあります。
農道で他の方が置いた田んぼの堰板を避けようとしたら、オクラ畑に脱輪してしまいました。コンクリートの道路で運転席側の車輪が前後とも落ちたので、底がつかえて低速ギアで動かしてもタイヤが空回りするばかり。どうしようもありません。道幅も1.9mと狭いうえに前方は行き止まりで、助けの車も入って来られない状態でした。
荷台には自走式の動噴と液肥をいっぱい入れたタンクを積んでいましたので、かなりの重量です。軽トラに装備してあるジャッキではとても上がりそうにありませんでした。

ハンドルを固定してヒッパラーで脱出
家から「ヒッパラー」という道具(チェーンブロックをレバー式にしたもの)を持ってきて引き上げることにしました。道にはちょうど用水の蓋としてグレーチング(金属の格子蓋)がありましたので、これにヒッパラーの上フックを引っかけました。下フックは車のフレームに引っかけ、レバーを手で何度か押してチェーンを動かして車体を上げていきました。ただそのままチェーンで引っ張っても、タイヤが落ちたまま前方に進むだけです。道路側に斜めに引っ張るように向きを変えても、車は前に進むだけで道路に乗り上がってきませんでした。
そこで運転席に戻り、ハンドルを道路側にいっぱいに切って、ハンドルが戻らないようにロープで固定。ヒッパラーのチェーンの下にもブロックやバタ角(角材)などをかまして、上向きに引き上がるようにしました。レバーは足で踏みつけるほど力をかけて、なんとか前輪は引き上げることができました。
後輪は四輪駆動の威力を信じて、サイドブレーキを半分引き、道路側にハンドルを切ったまま低速ギアで前進。すると、案外すんなりと道路に乗り上げることができました。大がかりなこともせずに40分足らずで脱出できたのでよかったと思っています。
農作業をしているといろいろと困ったことに直面しますが、いつも心がけているのは慌てないことと的確な判断です。間違ったやり方をすると、もがくばかりでうまく進まないですからね。

*月刊『現代農業』2020年9月号(原題:コンバインが農道から落ちそうになった)より。情報は掲載時のものです。
【農機のあるあるトラブル】公開予定
- 第1話:そのガソリン、腐っています(8月26日公開)
- 第2話:エンジンがかからない(公開終了)
- 第3話:エンジンがかからない その2(公開終了)
- 第4話:トラックでの荷崩れ、荷滑り(公開終了)
- 第5話:SSのブレーキが利かない(公開終了)
- 第6話:SSの詰まり、ムラが出る ゴミ防止、掃除が必要です(公開終了)
- 第7話:モアから石や空き缶が飛んでくる(公開終了)
- 第8話:油断大敵! 油切れが事故の元(公開終了)
- 第9話:トラクタに安全フレームを付けた(公開終了)
- 第10話:マニュアスプレッダのエアクリーナーが目詰まりする(公開終了)
- 第11話:エンジンポンプが動かない 点火プラグのスペア、雨よけカバーが必須 (公開終了)
- 第12話:モアから石が飛んでくる、ラジエターが目詰まりする (公開終了)
- 第13話:刈り払い機のエンジンがかからない(公開終了)
- 第14話:刈り払い機のキックバック、飛散……(公開終了)
- 第15話:コンバインが農道から落ちそうになった(公開終了)
- 第16話:軽トラが脱輪した (12月9日公開)
- 第17話:散水ノズル、レバー、圧力計…… 凍結で壊れた (12月16日公開)
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