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【農機のあるあるトラブル】第17話(最終話):散水ノズル、レバー、圧力計…… 凍結で壊れた

群馬県・ 久保田長武

ふだん農機具を使っていて、ヒヤリとした体験はありませんか?農機は農家の手足ともいえる大事な道具。安全に、快適に、長く使いたいですよね。現代農業2019年から2年間にわたって連載され、好評だった「農機のあるあるトラブル」全17回分を、毎週一話ずつ期間限定で公開していきます。

農業情報サイト「ルーラル電子図書館」の個人会員の方は、こちらから全17話をまとめてお読みいただけます。

散水ノズル、レバー、圧力計……凍結で壊れた

圧力計も要注意

 水が氷に変化すると、体積が10%増えるといわれます。この圧力で農機具が壊れることがあります。

 春、除草剤を散布しようと背負いの動噴を出して使用前点検で水通しをしたときのこと。ノズルのコックレバーのバネが飛んで水が漏れ、使い物にならなくなっていることに気付きました。

 高圧洗浄機やブームスプレーヤ、動力散布機などの圧力計が壊れたこともあります。あとで交換する際に分解して気付いたのですが、圧力計の内部から完全に水を抜いたり、凍結防止のクーラント液を行き渡らせたりすることがしにくい構造のようです。

 いまでは凍結トラブルを回避するために「機械内部から水を完全に抜く」「水の代わりにクーラント液を入れてくまなく循環させる」「レバーコックは少し開けておき、万が一凍結しても圧力の逃げ場を作っておく」「心配な箇所には毛布や断熱材をかぶせて少しでも冷気を遮る」などを心がけています。

 クーラント液はそのまま使えるタイプのほか、凍結温度によって水で薄めるタイプがあります。私は地域の過去一番の最低気温よりも低くなることを想定して、濃いめの倍率にしています。クーラントには防錆成分も含まれているので、動噴などの機械の内部に入れておくとサビ止め効果も期待できます。

秋、作業日が暖かい日は気が緩む

凍結被害が出やすい散水ホースのノズルや動噴のレバー。ブームスプレーヤの圧力計も要注意
凍結被害が出やすい散水ホースのノズルや動噴のレバー。ブームスプレーヤの圧力計も要注意
凍結被害が出やすい散水ホースのノズルや動噴のレバー。ブームスプレーヤの圧力計も要注意

凍結被害が出やすい散水ホースのノズルや動噴のレバー。ブームスプレーヤの圧力計も要注意

 この凍結トラブル、一度失敗して懲りたはずなのに、何度も繰り返して本当に悔しい思いをしました。自分なりに振り返ってみると、本格的な冬が来る前の、シーズン最後に機械を使い終わる頃の陽気が原因かもしれません。

 例えば、除草剤散布で動噴やブームスプレーヤを使うタイミングは、まだ暖かさが残る秋晴れの日を選ぶことが多いです。そんな日は冬の強烈な寒波までは想像しにくく、気が緩んでしまいます。

 あるいは「今年のうちにあと1~2回は使うだろう」と思っていたのが、翌日から急に真冬なみの天候になり、シーズンの作業が突然終わることだってあります。実際、うっかり機械をそのままの状態で格納し、凍結させてしまったことがありました。

 また複数人で作業していると「格納準備はあの人がやると思っていた」「他の人がまだ使うと思った」など、報告・連絡・相談がなかったことで凍結してしまったこともありました。そこで、例えば除草剤を入れるタンクに付けるコックや散水用ホースの手元のノズルなどは、日頃から「使い終わったらコックを全開にする」「作業終わりにはノズルを外す」という癖を付けるようにしました。また現場では「チェック・ダブルチェック」(映画『クライマーズ・ハイ』で出てきた名言)を合言葉に、「ちゃんと水を抜いたっけ?」などと少しでも不安に感じたら、一人一人がチェックすることにしました。それだけでも思わぬミスに気付き、何万円もの修理代が浮くこともあります。

 多くの農業機械の減価償却期間は5年程度ですが、手入れをよくすれば耐用年数を超えてもっと長く使えます。手入れを怠らずに機械を長持ちさせることは、農業経営にとって大きな「稼ぎ」になります。

*月刊『現代農業』2020年12月号(原題:散水ノズル、レバー、圧力計…… 凍結で壊れた)より。情報は掲載時のものです。

【農機のあるあるトラブル】公開予定

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