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【植物はあれもこれも薬草です】第16回「フキ」 特有の香りと苦みが炎症を抑え、健胃に役立つ

岡山・松原徹郎

この連載は、月刊『現代農業』の2020年1月~2021年12月まで全24回にわたって掲載された連載「植物はあれもこれも薬草です」です。身近な薬草を毎日の暮らしに取り入れるための知恵が満載です。病気になりにくい身体づくりを実現しましょう!

フキ
フキ キク科フキ属。雄雌があり、雄株の花にはおしべしかなく、雌株の花にはめしべしかない。東北地方から北海道にかけて、葉の直径が1.5mにもなる変種のアキタブキがみられる(イラスト:久郷博子)

水が豊富な場所を好む

棚田が広がる私の村。冬には写真のように雪が積もることも。雪が解け、春の訪れとともにフキノトウが出始める
棚田が広がる私の村。冬には写真のように雪が積もることも。雪が解け、春の訪れとともにフキノトウが出始める

 今回はフキを紹介します。北国や雪国では、フキノトウが出るのは4月頃からでしょうか。私が住んでいる岡山の山間部では3月になるとフキノトウの本番です。最近は暖冬が多く、2月下旬には南向きの斜面でフキノトウが顔をのぞかせることもあります。

 フキは日本原産の植物で、全国に分布しています。丘陵地、原野、土手や道端などでみられ、明るくてやや湿った水が豊富な場所に多く生えます。地下茎が横へ横へと伸びていき、その所々から多数の葉と花をつけます。

 フキには食べる部位が2カ所あり、それぞれ収穫時期が違います。まずはフキノトウ。フキの花の蕾です。収穫時期は3~4月。続いて花が終わった4~5月には葉柄(茎ではない)を食べます。地下茎は有毒なので間違っても掘って食べてはいけません。日本人は平安時代からフキを栽培し、野菜として食べていた記録が残っています。

精油成分と苦味成分が特徴

花が終わったら葉柄をとる。フキ特有の香りは含まれる精油成分によるもの
花が終わったら葉柄をとる。フキ特有の香りは含まれる精油成分によるもの

 フキの薬効としては、せきやたん、のどの炎症を抑える効果や健胃効果があるとされています。フキに含まれるテルペン類という精油成分の独特の香りが炎症の緩和に働き、さらに苦味成分が組み合わさることで苦味健胃の働きが生まれると考えられています。

 面白いのは冬眠から目覚めたクマが初めに食べるものがフキという話。フキが体に溜まった脂肪を流し、味覚を刺激して活動が始まるのだそうですが、フキには体の調整や活動のスイッチを入れる働きがあるのかもしれません。

 ビタミン類やポリフェノール類も含まれていて、わが家では春先には必ずフキをとって食べるようにしています。

フキノトウは大きくなってからとる

草丈20cm頃の大きめのフキノトウ。わが家でとるのはこのサイズ
草丈20cm頃の大きめのフキノトウ。わが家でとるのはこのサイズ

 フキノトウは出たばかりの小さいものほど苦みが少ないのですが、目立ちにくい。さらに、他の人より先にとってやろうと多少卑しい気持ちも加われば、生えている場所を前もって必死で覚えておく必要があります。

 そんな努力はしたくないわが家ではもっと遅い時期、草丈が20cmほどの大きなフキノトウをとっています。遠目でもよくわかります。大きく育ったフキノトウは苦みも強いですが、有効成分は多い。「アクにこそ薬効がある」というのは私の師匠・村上光太郎先生の教えです。摂りすぎには注意が必要ですが、かといってアクをまったく取り除いてしまうと薬効は期待できないということです。

大きめフキノトウの肉巻きがうまい

 かなり苦いはずの大きなフキノトウも油で炒めたり、塩で味つけしたりするとさほど苦く感じません。野菜感覚で炒め物や味噌汁に用います。アスパラベーコンのように、大きく育ったフキノトウを肉で巻いて味噌で炒めると格別においしい。

 なお、フキにはフキノトキシンというアルカロイドが含まれているそうなので、やはりおいしいからと食べ過ぎはよくないでしょう。とはいえ、主食のように食べるわけでもなく、いい塩梅でこれからも楽しみたいと思います。

*月刊『現代農業』2021年4月号(原題:フキ)より。情報は掲載時のものです。

――次回は「ドクダミ」を掲載予定です。どうぞお楽しみに。

連載

過去に月刊『現代農業』で連載された「植物はあれもこれも薬草です」は、「ルーラル電子図書館」(無料お試しあり)でまとめて見ることができます。ぜひご覧下さい。

この連載の著者の松原徹郎さんが代表を務める「草楽(そうらく) 」のホームページやイベント情報、オンラインショップなどへのリンクは以下のとおりです。

▼草楽のイベント情報など(facebook)▼

https://www.facebook.com/ueyamasouraku

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