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【目からウロコ 果菜の作業コツのコツ 】Vo.7 床土の肥料は流れるのがあたりまえ

元宮崎県総合農業試験場・白木己歳

果菜の作業タイトル

みなさん、今シーズンの果菜の出来はいかがでしたか?いまごろは次期作の計画を立てているところでしょうか。さて、今回は、現代農業に2004年から14回にわたり連載した「果菜の作業コツのコツ」を週1回(全14回)期間限定でお届けします。キュウリの大産地、宮崎県の研究者だった著者の経験と観察、農家との付き合いの中でつかんだ果菜つくりの極意が満載です。

床土(育苗用の土)の肥料どうする?(編集部)
育苗床土の肥料は水やりすると減る?(編集部)

床土のチッソは減るばかり

 床土も買う時代になった。床土を選ぶときにチェックする項目として、清潔さ、物理性、pH、肥料分(特にチッソ)などがある。どれも大切な性質であるが、すべてを一様に期待しないほうがよい。清潔さ、物理性、pHには十分期待してよいが、肥料分だけは期待しすぎないようにしたい。圃場の肥料とはちょっと事情が違うのである。

 購入床土のチッソは、ほとんどが水に流れやすい硝酸態チッソである。そして、床土は播種箱やセルやポットなど、いわゆる容器内で使われる。こういった環境の違いがあるから、床土の施肥の考え方は圃場のそれとは変える必要がある。

 圃場の肥料は、水かけで地下に流れても、やがて毛管現象で大部分は表層に戻ってくる。戻ってこない分も根は追いかけることができる。これに対し、床土の肥料は、水で容器外に押し出されると二度と利用できない。大づかみにいうと、床土の肥料は減るばかりなのだ(図1)。

図1 育苗床土の肥料は水かけによって減少する
図1 育苗床土の肥料は水かけによって減少する

きりっとした苗にするには肥料を補給すべし

 だから購入床土では、保証された肥料濃度がちょうどよくても途中で足りなくなる。特に、育苗期間が長くなるポット育苗でそうだ。育苗期間の短い播種用やセル用の床土の場合は、肥料が流れてしまう前に、必要な量をあらかた苗が吸い込むので、目立った問題は起こらない。しかし、肥料の効いたきりっとした苗にしようと思えば、これらの床土の場合も、肥料を補給して濃度が下がり過ぎないようにしたほうがよい。

安い床土で十分、濃いめの液肥を回数少なく

 床土の肥料濃度を自分の望むレベルにするには、その濃度の液肥をかけるのが最も確実で手っ取り早い。肥料をほとんど含まない床土であっても、水かけと兼ねて液肥をやれば、たちどころに適濃度にすることができる。

 肥料を含んだ床土に液肥をやると、一見、肥料が上積みされて過剰になってしまうような印象がある。しかしそうではない。床土中の肥料の何割かは押し流されて液肥の成分と入れ替わるので、心配するほど肥料濃度が上がることはない。つまり、床土の肥料分の多少にかかわらず、望む濃度にするには、望む濃度の液肥をかけることにつきる(図2)。

図2 育苗床土の肥料含量と水かけ・液肥施用の影響
図2 育苗床土の肥料含量と水かけ・液肥施用の影響
図2 育苗床土の肥料含量と水かけ・液肥施用の影響

 

 ――というわけで、床土中の肥料濃度が液肥でどうにでもなる以上、肥料に凝っているがために高価になっている床土を買うのは割に合わない。肥料分は少なくても、清潔さなど冒頭に述べた条件を満たしていれば、安価なものを使うべきだろう。よい果菜の苗を作るには、床土の肥料濃度にこだわるより、液肥を上手に使う技術を覚えたほうがよい。

 液肥は、三〇〇~五〇〇倍の濃度で回数少なくやることをすすめたい。現在流通している液肥のどの銘柄もこの濃度でよい。そしてこの濃度は、育苗全期間を通じて生育ステージにより変更する必要はない。

*月刊『現代農業』2004 年9月号(原題:床土の肥料は流れるのがあたりまえ)より。情報は掲載時のものです。

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