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〈農業情報サイト「ルーラル電子図書館」をつかいこなす〉師匠の連載一気読みで「直売所名人」に、私はなる!

長崎県・宮田和晃

現代農業や農業技術大系などがインターネット上で見られる農文協の「ルーラル電子図書館」。その活用方法を愛用者のみなさんに紹介してもらいます――。

実家近くに畑を借りて新規就農

右端が筆者。中央が父の杉山壽一と母のよし子(編)
右端が筆者。中央が父の杉山壽一と母のよし子(編)

 28歳でアパレル関連の会社を起業し23年。デザイナーの仕事を楽しんでいたものの、新型コロナの緊急事態宣言で時間ができたこともあり、ずっと気になっていた農の世界に飛び込みました。

 実家は千葉県木更津市で農業を営んでいます。当初は代々続くそのナシ園を継承しようと考えていましたが、80代の両親はまだまだ現役。新たに近くの畑を借りて、新規就農することになりました。

 現在は30aほどの畑で少量多品目の野菜をつくり、直売所やスーパーの産直コーナーで販売するほか、インスタグラムでも注文を受け付けています。

 実家近くに家を建てている途中で、今も神奈川県の自宅と二拠点生活。グラフィックデザイナーや民泊をやっていた夫、医療関係の仕事をひと足先に辞めた義姉も加わり、私の珍道中は始まったばかりです。

常に身近にあった『現代農業』

白ナスとイタリアンナスもポップを付けて販売。イタリアンレストランにも納品した
白ナスとイタリアンナスもポップを付けて販売。イタリアンレストランにも納品した
オリジナルのラベルは夫がデザインしてくれた。トマトは多品種を入れて「カラフルミックス」と名付けたところ、とてもよく売れた
オリジナルのラベルは夫がデザインしてくれた。トマトは多品種を入れて「カラフルミックス」と名付けたところ、とてもよく売れた

 就農のために借りたのは田んぼだったので、父の指導で、作付け前に大量のモミガラを投入。化学肥料は使わず、鶏糞や米ヌカなどを施しています。地域循環や「みどり戦略」などのキーワードが気になっていたので、まずは有機で挑戦することにしました。

 バイブルは『現代農業』です。祖父の代から購読しているので、私にとっては幼い頃から、常にその辺にある雑誌という認識でした。「天恵緑汁」という単語が、よく表紙を飾っていたのを憶えています。

 就農するに当たって、改めて、実家から『現代農業』のバックナンバー過去約10年分を持ち帰り、なるべく隅から隅まで読んでみました。最初は意味がわからなかった農業用語も、何度も目にするうちにだんだん理解できるようになりました。

(○月号p○)がすぐ読める

 ちょうどその頃、神奈川県の自宅に、農文協の職員が訪ねてきました。たまたま実家に見当たらなかったバックナンバー(2018年11月号のモミガラ特集)を注文したところ、脈ありと営業に来たのです。自宅でも最新号を読みたかったため、定期購読することになりました。

 ただし、同時に勧められた「ルーラル電子図書館」は「いやいや、バックナンバーも持ってるし本を読むだけで大変だから」と断りました。

 ところがその後、まんまと自分から契約をお願いすることになりました。『現代農業』を読んでいると、よく(○年○月号p○参照)と出てきますよね。それが、ものすごく気になったからです。関連記事はすぐ読みたいのに、どこにあるかわからない。遠い実家にあることも。ルーラルならそんなストレスとさよならできると思いました。

「師匠」の連載を一気読み

 ルーラルでは「師匠」の連載を一気に読めるのがとても嬉しい。例えば、就農の際に父に渡されて読んだ単行本『有機野菜ビックリ教室 米ヌカ・育苗・マルチを使いこなす』(農文協)。大いに参考にさせてもらいましたが、この本の著者の東山広幸さんが過去に『現代農業』で連載していたことを知り、ルーラルで再読しました。単行本にない記事や動画もあり、勉強になりました。

 他にも直売所を加工品で彩る渡邉智子さんや庭先育苗の峠田等さん、直売所名人の青木恒男さんら、たくさんの先輩農家の記事がルーラルならまとめて読めて、動画も見られます。

 ちなみに、私が晴れて今年の春に直売所デビューできたのは、峠田さんのおかげです。2017年の「ハウスなし、トラクタなしで12a 340万円稼ぐ」という連載を読んで、苗の販売なら、神奈川の自宅の、さほど広くない庭でも始められると希望を見出したのです。

 直売所には立派な野菜苗を長く出荷し続ける苗専業農家がいるので、バンバン売れるというわけにはいきませんでしたが、多品種を揃えたり、ポップを駆使したりして、初めてながらそれなりに販売することができました。

 残った苗は借りた畑に植えて栽培。ミニトマトや中玉、黄色やオレンジ、赤い品種も一緒に袋に詰めてラベルを貼ってスーパーのインショップで販売したところ、大変好評でした。そんな売り方も、ルーラルと『現代農業』を行ったり来たりして研究しました。

足場パイプハウスで早出し

手前は竹支柱のトンネル。奥は足場パイプハウス。どちらも父の自作
手前は竹支柱のトンネル。奥は足場パイプハウス。どちらも父の自作
ハウスのおかげでトウモロコシを早出しできた
ハウスのおかげでトウモロコシを早出しできた
トウモロコシは皮をむいて中身が見えるようにした
トウモロコシは皮をむいて中身が見えるようにした

 苗の次に出荷したのは早出しのトウモロコシです。「とんがり下播き」からかん水、荷姿や残渣の処理まで、トウモロコシ栽培は青木恒男さんを勝手に師匠と呼んで、ルーラルで『農業技術大系』などの記事も読んで学びました。おかげでたいていの株は2果どりでき、直売所に一番乗りでピカピカのトウモロコシを出して完売できました。

 早どりの成功には、なんといっても、父が新規就農祝いに建ててくれた足場パイプハウスが欠かせませんでした。

 父は「百姓」と呼ぶのにふさわしく、なんでも自分で作ってしまいます。孟宗竹を割ってトンネルの支柱にしたり、笹竹で夏野菜の支柱を組んだり。地域にあるちょっと厄介なもの、増え続ける竹やモミガラ、米ヌカや鶏糞などの活用方法を、常に考えているようです。

 私も百姓を目指すべく、ルーラルで有機物マルチやモミガラ活用、土ごと発酵などのキーワードをどんどん検索。そうかそうかと頭の中では有機的な美しい風景が広がるものの、現実はそう甘くない。草は容赦なく生い茂るし、竹で組んだ支柱は台風でなぎ倒されました。

 

 今後は実家の主力品目であるナシの栽培も本格的に学んでいく予定です。父と母を先生に、現代農業をバイブルに、ルーラルを参考書として、「農ある暮らし」から一歩踏み込んで、「農業」にしたいと考えています。

*月刊『現代農業』2022年12月号(原題:師匠の連載一気読みで「直売所名人」に、私はなる!)より。情報は掲載時のものです。

* 川島知子さんの実家の農業については、22年1月号p25422年3月号p36をご覧ください。

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