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〈脱炭素化のワザ〉生長が早い竹を炭に 4年でCO2 880tを回収

現代農業2022年12月号の特集「モミガラくん炭&竹炭」とあわせて読みたい過去の記事を期間限定で公開します。こちらは現代農業の増刊号『季刊地域』2021年春号の記事です。わずか4年で4万坪以上の放置竹林を整備し、約300tの竹炭をやいた「いすみ竹炭研究会」の取り組みを紹介します。

NPO法人いすみ竹炭研究会・西澤真実

竹林整備を無料で引き受ける

 里山の放置と荒廃によって竹が異常繁殖し、木々を侵食しながらすごいスピードで広がり続けています。陽の光が遮断されることによって生態系が壊れ、日本の大きな環境問題となっています。

 わが会は、早急に放置竹林問題を解決するために、無料で竹林整備をしています。依頼は増え続け、土日以外は毎日作業しています。発足してわずか4年で、整備した総面積は4万坪を超えました。切り出した竹は処分せず、竹炭という資源にして、土に還しています。総製炭量は約300t、竹に換算すると約1500tです。

 会のメンバーは自主的に作業に参加してくれていますが、活動を継続していくために、1日上限3000円の謝礼金を支払っています。作業人数は1日平均10人くらいで、謝礼金は支援してくださる皆様の寄付金と、竹炭の販売収益によって生まれています。作業道具は助成金で購入しています(年間で寄付金300万円、竹炭の売り上げ450万円、千葉県環境財団の助成金50万円)。

 寄付金が増えることでより多くの人に謝礼金を支払うことが可能となり、整備も進み、竹炭もたくさんつくれます。そのために寄付金が集まる認定NPO法人を目指し、今年1月に認定されました。

 竹炭との出会いは、2016年2月、「竹炭シンポジウムinいすみ」でした。大地の整体師と呼ばれる、高田造園設計事務所の高田宏臣さんの「大地は自ら再生力があるので、人間が少し手を加えるだけで蘇り、その解決を握っているのが竹炭である」という言葉が強烈に心に響きました。その後、高田さん主催の里山再生プロジェクトに半年間参加し、竹炭のすばらしさを実感。参加メンバーに竹炭の会をつくろうと呼びかけて、16年11月に18人でスタートしました。

 わが会は、竹炭の周知のために、月1回の竹炭づくりイベントと、年1回の竹炭シンポジウムを開催し、現在メンバーは350人を超えています。

炭素率8割、240tの炭素を固定

炉は厚さ3~4mmの鉄板でできており、3.6m×1.8m、高さ45cmの箱型。まず枯れた竹で火力の土台(熾き)をつくり、火が強くなったら生竹を投入。写真=中島葉子、下も

竹炭は、軽トラに積んで運べる組み立て式の開放炉を使い、整備現場でつくっています。3時間ほどで約1tできます。

昨年9月に林野庁の調査事業で成分分析を行なった結果、わが会の竹炭の炭素含有率は8割以上でした。つまり、300tの炭を焼いて、240tの炭素を固定したことになります。CO2換算で880t分です。竹炭は地球温暖化問題解決の鍵を握っています。

最後、炭になったところで水をかけて消火する

*『季刊地域』2021年春号(原題:生長が早い竹を炭に 4年でCO2 880tを回収)より。情報は掲載時のものです。

この記事が掲載された『季刊地域』2021年春号「脱炭素化のワザ 農家・農村が先進地」には他にもこんな記事が載っています。

  • 竹も木も作物残渣も活かす 炭焼きを事業化、炭発電も実現
  • 町有林のCO2吸収量を売る カーボンオフセットで森林整備

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