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〈炭 じゃんじゃんやいてじゃんじゃん使う〉なるほど、根張りはこんなに違う

現代農業2022年12月号の特集「モミガラくん炭&竹炭」とあわせて読みたい過去の記事を期間限定で公開します。こちらは2010年11月号の記事。竹炭を入れると、作物の根張りが驚くほどよくなり、病気にも強くなります。

竹炭(編集部撮影)

島根県農業技術センター・野田滋

竹炭で夏でもホウレンソウ増収

 竹炭はホウレンソウと相性がよく、連作障害を回避できたり、長期間連作が可能になったり、施用しない畑に比べて収量が20~80%増収したり、さらに栽培が難しい夏に効果が大きいことなどをこれまでに紹介してきました(2007年5月号参照)。

 竹炭を入れたほうが株が大きくなり、生育促進効果もあるようです。作物は根から水や養分を吸収して大きくなりますが、竹炭を入れると根の活性が高まり、養水分吸収能力がよくなって生育が早まると思われます。

 そこで今回は竹炭と根張りについて、ホウレンソウのみならずキクやトマトなど他作物の例も交えながら紹介します。

炭は粉より塊のほうが持続力が高い

 まずは使い方ですが、竹炭は粉状だと持続性が劣るので一~三cm角に砕いたものを使います。施用量は一a一〇〇kg程度。当地では竹林の有効利用で竹炭をやく組織ができ、価格は一kg一三〇円ほどです。これまで市販されていた竹炭より安価で入手できるようになりました。

 竹炭は堆肥と相性がよいので堆肥も一a二〇〇kg程度入れるように指導しています。表面施用してすき込むか、スジ状に局所施用して、その上にウネを立てるように使います。

ホウレンソウは根重が一二%アップ

ホウレンソウの根の比較。竹炭を入れると驚くほど根張りがよくなる。

 牛糞堆肥を使っているホウレンソウ農家の事例です。初めて竹炭を入れたとき、比較するために堆肥のみの区とこれに竹炭を加えた区、さらにボカシ肥料(1a10kg)を上乗せした3区を設け、草丈が20cmくらいになったときに根張りを比較しました。結果は写真(上)のとおり。竹炭区の根張りのよさは一目瞭然。ボカシ肥料を入れると、さらに根張りがよくなることがわかりました。

 詳しく根量調査したところ、竹炭区は入れない区に比べて根重が12%増えました(竹炭+堆肥と堆肥のみを比較)。根の量が増えれば養水分吸収も盛んになり、充実した株ができます。夏に問題となる萎凋病が軽減できるのは、竹炭によって根張りがよくなったためだと考えられます。

輪ギクでは根重が20%もアップ

 周年栽培する輪ギクでは直挿し栽培が広く行なわれていますが、直挿し後の発根や活着の悪さに起因して、生育初期の萎れや、不揃いなどの問題がありました。そこで初期の根張りをよくするために竹炭を入れることにしました。

 竹炭はウネ下に深さ10cmでスジ状に局所施用しました。竹炭を入れない区と根張りを比較したのが上の写真です。夏秋ギクの優香で草丈が30cmになった頃の状況ですが、竹炭区は根張りがよく、土をしっかり保持しており、地上部も充実した株になりました。

 秋ギクの神馬でも試験しましたが、竹炭を入れた区は従来の植栽本数より10%多く密植しても生育がよくなりました。また、収穫時の1株の根重も入れない区に比べて20%多くなることがわかりました。

トマトでも根量が10%増えた

 山間地の雨よけトマト栽培では7月から11月上旬まで収穫されますが、長年の連作で後半の収穫量が低下する圃場が多くなりました。そこである農家の方が竹炭を入れました。調査した年は10月初めに収穫を終えたため、最終的な収量に及ぼす竹炭の効果は確認できませんでしたが、10月初め時点での根張りを比較したところ、竹炭区は小さい細根が密生しており、根重が10%ほど増えていることがわかりました。

ブドウでは収量増、糖度も上がった

 次はハウスブドウの事例です。排水対策に暗渠を施工した後、有機物補給として樹間に1列溝を掘り(幅50cm、深さ30cm)、堆肥と竹炭を入れました。溝施用としての施用量は1m2当たり堆肥150kg、竹炭50kgです。

 施用して1年目の果実収量を、堆肥のみで竹炭は入れなかった区と比較したところ、1樹当たり平均で約10kg増収しました。暗渠のおかげで以前より収量は全般的に多くなりましたが、竹炭を入れるとさらに多くなることがわかり、試験した農家はその効果に驚いていました。

 2年目は果実糖度の調査も行ないましたが、竹炭区のほうが糖度は高くなりました(図)。これらの効果も竹炭で根張りがよくなったためだと考えられます。

アスパラの改植にも竹炭を

 連作を嫌うアスパラガスの改植時に1a100kgの竹炭を植え穴に入れた方もいます。同じ場所であったにもかかわらず、連作障害が出ずに好結果が得られたので、別の改植圃場でも入れることになりました。

 

 竹炭を施用すると確実に作物の根張りはよくなります。ただし、すべての障害や問題に万能なわけではありません。排水不良地なら排水対策をする、土が硬ければ深耕して軟らかくするなどの根本的な対策をしたうえで使うと、竹炭の効果がより一層生きてきます。

*月刊『現代農業』2010年12月号(原題:なるほど、根張りはこんなに違う)より。情報は掲載時のものです。

この記事が掲載された現代農業2010年12月号「じゃんじゃんやいてじゃんじゃん使う 炭」では、次の記事なども収録されています。

  • 竹炭堆肥、じゃんじゃん使って1俵3万6000円の米
  • 農業用に最適!ポーラス竹炭
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