この記事は、バーベキューの金網の代わりに青竹を割って並べた「竹網」を使ってみたというお話です。竹やぶも整備できるし、最後には竹炭になるし、イベントが盛り上がることうけあい。どんなお味なのでしょうか?ぜひ食べてみたいですね。
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長野・曽根原宗夫さん
竹林なら手ぶらでOK
私たちNPO法人いなだに竹Links(2024年4月号p46)のある飯田市は、人口当たりの焼き肉店数が日本一と、なんとコンビニよりも焼き肉店が多い街で、世帯当たりの肉の消費量もダントツ。人が集まればどこでも焼き肉!という土地柄です。
ただ、バーベキュー(BBQ)で現場に金網を持ち込んだり洗ったりするのって、意外に大変ですよね。とくに飯田市周辺は伊那谷と呼ばれる日本で一番広い河岸段丘の谷です。私たちが整備に入る竹林もほとんど急斜面にあるため、伐採現場まで車で横付けするなどとうてい不可能な現場ばかり。私たちの活動のモットーは「美味しく・楽しく・暖かく」なので、お昼にみんなで焼き肉したくなるのは言わずもがなですが、山仕事の道具を持ちながらBBQセットまで持ち込むなんて千手観音でもなければ無理。
そこで思いついたのが、金網代わりの「竹網BBQ」! 青竹を切って縦に割り、幅5cmほどにします。この竹の両端を、別に半割りにした青竹で挟み、数カ所を針金等で固定。すると平らな「すのこ状態」の竹網ができます。コンロはモキ製作所の無煙炭化器(2024年4月号p73)で、現場で枯れ竹を炭化処理して熱源にします。
お肉が甘くてふっくら
竹網BBQをやってみて驚いたのが、まず肉が焦げ付かないこと。コンロに竹網を載せ、表面に竹の油がジワッと浮いてきたらお肉を焼きます。するとお肉が甘く、柔らかく焼けるのです(豚肉の小間切れがおススメ)。あまり厚いお肉だと肉が焼ける頃には竹にも火が入ってしまうのでご注意を。また熱源の竹は無煙炭化器で完全に炭化させてから、竹網をセットしてください。まだ竹から炎が上がっている状態で竹網をセットすると、お肉と一緒に竹網にも火が入り、なかなかスリリングな状態になる可能性が大です。
竹網用の竹は、なるべく肉厚(根元寄り)で若年の孟宗竹の切りたてを使うのがおススメです。火がつきやすい節はできるだけそぎ落とします。含水率が高い稈のほうが竹が持ち、お肉も一層甘くふっくらと焼ける気がします。
BBQ後、お肉や野菜はお腹の中。竹網や、やはり現場で切り出して作る竹皿や竹箸、竹コップはコンロに投入すればやがて竹炭に。その竹炭は次回のBBQの熱源にもなります。金網を洗う手間も省ける。ということで、帰りも手ぶら!(もちろん山仕事道具はありますよ)
冬場の山仕事では、とくに休憩中は冷えますよね。竹網BBQなら暖を取りながら食事できるし、もちろん会話も弾みます。こういった活動も竹林整備の一つ。ぜひ皆さんも地元食材を使って竹網BBQ楽しんでみてください。
現代農業2024年4月号の巻頭特集「竹活で竹やぶ減らし」では、この記事を含む「竹活でBBQ」コーナーの他に、以下も掲載しています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。
◆竹やぶ減らし初めの一歩
◆畑で竹活
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