「白子タケノコ」をご存知ですか?まだ地表に出る前に掘り出した真っ白くて柔らかいタケノコのことです。アクが少ないので美味しく食べることができ、貴重です。静岡県で茶、イチジク、タケノコを栽培している佐藤寛之さんに、高品質な白子タケノコを早出しするための工夫をご紹介していただきました。この記事は試し読みです。詳しくはぜひ本誌にてご覧下さい。
静岡・佐藤寛之
竹チップやモミガラを敷く
静岡市で茶、イチジク、タケノコを栽培しています。タケノコは、12月上旬から掘ることもあり、2023年は11月22日に数本掘り出しました。ここまで早く、日焼けの少ないいわゆる「白子タケノコ」を掘れるのは、大量の有機物の供給と微生物のおかげだと考えています。
竹林整備を始めたのは19年頃からです。秋〜冬に整備を進めるなかで、間伐した竹をその場でチップにして、竹林内に敷き詰める栽培方法(19年4月号p72)を知り、実践してみました。竹チップを分厚く敷くことによる発酵熱で地温が上がり、白子タケノコの発生が促進されます。
しかし、整備が進むと次の年は間伐する竹が減り、毎年のように竹チップをたくさん敷けません。代わりのものはないかと探し、近隣の稲作農家からモミガラを1,000円/m³で譲ってもらうことになりました。
発酵熱と空気層で地温上昇
モミガラは20a弱の園地に数㎝程度堆積するように散布します。比重が軽いので、風による飛散防止のために表面に米ヌカ(全体で75kg程度)をふって散水します。その際、「菌力アップ」(サンビオティック)などの微生物資材も混ぜておきます(11月から3月まで2週間に1回程度)。
有機物と米ヌカ、微生物による発酵熱が冬場の地温上昇に貢献します。通気性のよいモミガラに好気性菌がよく回り、菌糸の塊があちこちに見られます。地温の積算で発生するタケノコとモミガラとの相性は非常によいと考えます。
タケノコは園地が南向きか北向きか、砂質か粘土質かなどの条件によって、発生の時期や品質(味、香り、肉質)が変化します。早出しに向くのは南向きの日当たりのよい砂質土壌ですが、地表面に堆積物がまったくないと、地面から顔を出すやいなや日光が当たり緑化が進みます。白子タケノコにするためには竹チップやモミガラを有機物マルチのように使い、物理的に日光を遮断することも重要だと考えています。
1kg8,000円超でも販売
収穫後は、「ヤマトフードマーケット」を通したり、直で飲食店へ販売しています。オンラインショップ「安心堂」での個人直販もしています。「かわばた園・柳蓮田」というブランド名で出荷しており、販売期間は12月末から4月中頃までですが、時期によっては8,000円/kgを超えます。4月のある程度時期が進んでからも3,000円で取り引きできているのは、味はもちろん、各飲食店の使い方をヒアリングし、用途にあったサイズや掘り方で鮮度よく提供できているからです。場合によっては根付きのまま……
この続きは2024年4月号をご覧ください
現代農業2024年4月号「タケノコで稼ぐ」コーナーではこの記事の他に、以下の記事も掲載しています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。
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