宮城・千葉伸一さん
千葉伸一さん。無農薬、減農薬でササニシキ、イセヒカリを栽培(写真はすべて依田賢吾撮影)
微生物自体が養分になる!?
千葉家は祖父の頃から有機農家だ。20年前に千葉さんが就農、同じくらいのタイミングでバイオノ有機sを使い始めた。いろいろ入れたら米がおいしくなるだろうという足し算の考え方で、10a当たり3~4袋とケイ酸、微量要素資材などを併せて使っていた。
当時はあまりお金がなかったので、だんだん施肥量を減らしてきた。まずは2袋に、6年前からは1袋にしてしまい、他の資材は使わなくなった。でも収量は変わらず、むしろ増えてきたという。
これでは入れた肥料の量ととれた収量の収支が合わない。どうしてこんなに少ない肥料で収量がとれるのだろうか。千葉さんが理由として考えているのが、微生物の力だ。
ご存じの通り土の中にはたくさんの微生物がいて、土中の有機物を作物が吸いやすい無機物に分解してくれている。でも、微生物の働きはそれだけじゃない。自分の体に養分を蓄え、死んでから作物に供給する役割(微生物バイオマス)も同時に果たしている。
千葉さんは一度、資材メーカーに頼んで水田の微生物数(総細菌数)を測ったことがある。結果は「田んぼとしてはものすごく多い数」だったそうだ。そのような大量の微生物が生き死にを繰り返すことで、そこからどんどん肥料が出てくると千葉さんは考えている。もちろん、微生物が多いとミミズなどたくさんの生きものが集まるので、その死骸も養分となっていく。
4cmの浅耕で収量増
では、どうして千葉さんの圃場には微生物が多いのだろうか。自身でポイントと考えているのが、春の浅起こしだ。耕深はたった4cmである。
以前は周囲と同じ12cmまで耕していたが、10年ほど前、「田んぼの中を走りながら除草機を押したいなあ」という軽い気持ちで7cmでの耕起に挑戦。浅い場所に耕盤ができたので田んぼの中を歩きやすくなり、しっかり除草機をかけられるようになった。土深くにワラを埋めないのでガスわきすることもなく、収量も6~7俵に上がってきた。
6年前からはさらに浅起こしを徹底し、耕深4cmに。するとますます収量は上がり、反収……
この続きは2024年3月号をご覧ください
現代農業2024年3月号「春は浅起こしで、人・イネ・微生物、三方よし!」コーナーでは、この記事の他に、以下の記事を掲載しています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。
- 砂壌土での半不耕起栽培にはドライブハロー耕 松下明弘
- 集落営農でも 300枚の圃場すべてで浅起こし 土佐祐司
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