「温暖化時代は終わった。地球沸騰化時代が到来」
世界各国が熱波に見舞われ、世界の平均気温が観測史上最高の月となった2023年7月。国連の事務総長が衝撃的な言葉で時代の変動を表現した。日本でも「災害級の暑さ」を経験し、作物が高温障害で悲鳴を上げる。干ばつや豪雨が追い打ちをかける……。そんななか、相次ぐ異常気象に負けなかった畑もある。
地球沸騰化時代に農業を続ける方法
畑のしくみを変えてみた
2023年はとにかく暑かった。猛暑、干ばつ、水害で、あらゆる作物が少なからぬダメージを受けていたように感じます。そんななか、異常気象をものともしなかった畑にスポットライトを当ててみました。新しい年を迎えるにあたって、今後10年、20年先の農業のあり方を展望するような特集になりました。
超簡単地下かんがい
この夏、大干ばつに襲われた新潟を訪れました。体感温度は40℃をゆうに超え、ダムの貯水率0%という異常事態のなか、地下から水を自在にコントロールすることでオクラやエダマメが元気よく育っている圃場がありました。この「超簡単地下かんがい」のしくみを動画付きの記事で詳しく紹介。10a・4万円以下で、バックホーとサブソイラがあれば誰でもできます。畑に地下から湧き水のごとく水が噴き出てくるようすは、感動的でさえありました。
土壌の団粒化
土壌の物理性だけでなく、生物性を向上させることも、異常気象から畑を守ることにつながります。「台風で水浸し」の圃場が続出するなか、緑肥で微生物が活性化され、土壌の団粒構造ができた畑はおもしろいように水が吸い込まれていく。微生物の力を確かめるためにやってみた「パンツ診断」(2022年10月号)の結果も必見です。
耕さない農業
そして、2023年1月号、5月号、10月号と、この1年間しつこく特集してきた「耕さない農業」の実力も、異常気象で存分に発揮されました。
小笠原の森本さんはズッキーニの樹が例年の2倍以上の大きさになり、ササゲはジャングル状態で鈴なりの大豊作。耕し、ウネを立て、草をとり、水をたっぷりやって……と苦労してきた過去を振り返って「かつてのわたし、バッカじゃないの!」と堂々不耕起宣言。
北海道のレイモンドさんの畑も、8月の日中の高温下にもかかわらずキュウリが萎れることなくバテしらず。霜が降りるまでとれ続けました。
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何千年と続いてきた「農業」=「耕す」という常識さえも疑わないといけない。これまでのやり方では通用しないのかも!? と感じさせる1年。農業の世界での「ブレイクスルー」が静かに起こっているのかもしれません。
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