現代農業2023年10月号の巻頭特集は「がんばらなくても土が育つ 耕さない農業」。耕さない農業で一番モンダイとなるのは草刈りです。福島県の武藤さんは「草は刈らずに倒す」方法で不耕起栽培を実践中。現代農業WEBでは、その記事の一部を試し読みとして公開します。
福島・武藤政仁

マルチが薄いと草負けする
福島県二本松市の中山間地で、ハウス切り花を周年生産している専業農家です。21年から耕作放棄地約20aを利用して有機農業を始めました。こちらの部門はまったくの素人です(2023年5月号p42)。

21年は耕作放棄地にライムギを11月上旬に播種し、翌年5月頃の乳熟期に踏み倒して敷きワラマルチ状態にしました。ワラはすき込まず、そのままトマトなどの野菜苗を植え付けました。結果は、途中で草に負けてしまい、野菜の出来はほぼ失敗でした。原因はライムギの発芽率が悪く、マルチの密度が薄くて地表面が見える状態だったので、雑草が大量に繁茂してしまったことです。
今年は高密度のマルチに
そこで22年の秋は、ライムギの播種量を10aあたり12kgと、前年度の1.5倍にしてみました。また、播種後はトラクタで軽く鎮圧。おかげで発芽率が上がり、大量のライムギが生え揃いました。
踏み倒す作業は、今年は5月下旬から6月にかけて行ないました。私はトラクタのバケットで押し倒します。今年はそのほかに、福島大学の金子信博先生が作った小型ローラークリンパーも借りて使ってみました。
いざ踏み倒してみると、生育がよかったおかげで厚さ5cm以上のマルチになりました。約2カ月が経過した後も、雑草抑制効果が持続しています。



厚すぎて仇になった !?
いろいろと課題も見えてきました。
マルチの密度としてはバッチリでしたが、厚みがありすぎたことは難点でした。というのも、ここには切り花用のヒマワリを10cm間隔で播種する予定でしたが、ワラの密度がスゴすぎて手間取り、ハンド移植器を使っても作業効率が悪くなってしまいました。そこで、この圃場には植え付け本数が少なくてすむサトイモやサツマイモ等を定植して様子を見ています。いまのところ生育は順調です。

踏み倒す時期については少し遅かったようで、……
2023年10月号「「草は刈らずに倒す」の最前線を見た」のコーナーでは、以下の記事も掲載しています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。
- こぼれダネのイタリアンが光を受け止め、土を耕す(愛知・松澤政満さん)
- パレットでイタリアンを押し倒し ワラマルチでバッチリ抑草、地力もチャージ 陶武利
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