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【実験の裏側】野草コンフリーでにおわな液肥をつくってみた

「液肥」といえば、園芸店やホームセンターなどで売っている水溶性の肥料のイメージが強いですが、畑にはびこる雑草と水を使えば「有機液肥」が手作りできちゃうんです。

しかしこの「有機液肥」はニオイが気になる。

現代農業2023年10月号の「野草コンフリーが使える!」特集では、有機液肥のそのイヤ~なニオイをやわらげる編集部の実験が掲載されました。

現代農業WEBでは、本誌では載せられなかった実験のようすや裏話を、余すことなくお届けします!

【実験の裏側】野草コンフリーでにおわな液肥をつくってみた

いつも現代農業WEBをご覧いただき、ありがとうございます。

現代農業WEBチームのたじはるです。

現代農業2023年10月号は、「土壌肥料」特集号です。

手作り肥料といえば、ボカシ肥や緑肥などが思いつきますが、簡単に作れて散布も容易な「液肥」もオススメです。

しかし手作り液肥の欠点は、植物が分解するときに発生するイヤ~なニオイ。

今回は、現代農業編集部とともに、「液肥」のお困りごと、「ニオイ問題」に立ち向かいます。

液肥(えきひ)ってなに?

液状の肥料のこと。固形肥料は水に溶けてはじめて効果を発揮するが、あらかじめ肥料成分が水に溶けている液肥はムダなく早く効くのが特徴。その分、薄い濃度で多く与える必要がある。有機物のみを原料とした「有機液肥」もある。肥料代も上がってきているので、賢く使い分けよう。

今回の実験では、現代農業2023年10月号p.127で紹介された「簡単液肥、マルチ、堆肥、苗販売も」の著者の圓城寺とく子さんの方法を参考に、「コンフリー」という植物を使って液肥をつくりました。

コンフリーってどんな植物?

昔は薬菜として食用に、また家畜の大事なエサとしても重宝されてきた植物。今はその旺盛な生命力で、畑にはびこる雑草扱いされるようになってしまった。
ところがこれが、じつは簡単にリッチな液肥になる、無尽蔵に使える……!

コンフリー ムラサキ科ヒレハリソウ属。多年草で、初夏から小さなベル状の花が次々と咲く。茎や葉に硬い毛が多く、さわるとゴワゴワする

コンフリーの掘りとりシーンをご覧ください!

本誌の実験では、液肥に「砂糖」と「乳酸菌」をちょい足しして、ニオイが気にならない手作り液肥を完成させました。

*現代農業WEBではこの不快なニオイが少ない、または気にならない程度に改善された手作り液肥を「におわな液肥」と名付けてご説明します。

見開き

本記事は、本誌に載せきれなかった実験の裏話をお見せします。

発酵前の液肥

左から、水のみ、水+砂糖、水+乳酸菌

2日後、完成した液肥

左から、水のみ、水+砂糖、水+乳酸菌

葉っぱが水にとけはじめている!液肥ができました。

そして気になるニオイは…?

嗅いでみた、リアルな感想を表情とともにお届けします

まずは水のみで漬けた場合。

あ゛~~~~

かなり臭いです。

ツーンとする発酵臭。例えるなら、雨の日の動物の糞です。

よく効きそうですが、これを畑に撒くのは近隣にたいへん気を使います。

続いて砂糖を追加したもの。

あ~~~~

全然アリです。畑の片隅で嗅いだことのある香り。例えるなら桑の葉っぱを干したときのような香りでしょうか(伝わるかな……)

最後に乳酸菌を追加したもの。

お~~~~~

イヤなニオイがしない!これもアリです!

例えるなら、腐葉土の香り。

砂糖や乳酸菌で消臭効果を実感!

これとは別に、放置していた臭い液肥に砂糖を加えても、ニオイはおさまりました。

ニオイの気になる自家製液肥に「砂糖や乳酸菌を加える」は効果的かもしれない!

ひとしきり実験の成功に湧いているところで、メンバーのあべしからこんなひとことが。

「そういえば、元祖(におわな)液肥あったよね…?」

「あ、天恵緑汁!!!」

天恵緑汁(てんけいりょくじゅう)とは…?

ヨモギやクズなどを黒砂糖と混ぜて容器に入れておくと、1週間ほどで発酵液(菌液)ができる。1滴も水を入れなくとも、黒砂糖の浸透圧で植物エキスが抽出されるとともに、酵母菌や乳酸菌の働きで発酵する。発酵が加わることで、単なる抽出液以上の効果が期待できる。

この天恵緑汁は韓国の趙漢珪さんが、土着菌とともに日本で広めた。天(自然)から恵まれた緑(植物)の汁、として命名。水で薄めて、葉面散布や土壌かん注することで、作物や土に活力を注ぎ込む。

農文協編 『今さら聞けない 農業・農村用語事典』 p99 「天恵緑汁」より

コンフリーを材料に「天恵緑汁」をつくってみよう!

自然農法をやっている方にはお馴染みの「天恵緑汁」。ヨモギと砂糖を使い、土着菌の力でつくる発酵液「天恵緑汁」ですが、今回はヨモギの代わりにコンフリーを使ってつくってみます。参考にした本は『農家が教える よもぎづくし』

必要なものを揃える

材料(1L分)

  • コンフリー(容器の半分くらい)
  • 砂糖(植物の1/3の量)

植物と砂糖を交互に入れ、放置します。

たったこれだけ!

完成した天恵緑汁を嗅いでみます

ほ~~~~

ヨモギでつくった天恵緑汁はサイレージのようなニオイがするけど、コンフリーでつくるとクセがない!甘い樹液のようなよい香り。

話題のコンフリーは、とても液肥に適した植物でした!

天恵緑汁も、さすがは先人の知恵。効果と使いやすさを兼ね備える、万能液肥です。

まとめ

いかがでしたか?

無農薬や減農薬、肥料代減らしに取り組む人にオススメの手作り液肥ですが、効果と使いやすさの両方があったほうがよいですよね。そんな人にお伝えしたい実験結果になりました。

今回はペットボトルの小さい規模でやってみましたが、こんなに簡単にイヤなニオイがなくなるのなら、焼酎のペットボトルやバケツくらいのサイズでも作ってみたいです。

ぜひ皆さんも、手作り液肥に挑戦してみてください。その際は砂糖か乳酸菌を忘れずに!

今回紹介した、「天恵緑汁」の関連記事は、ルーラル電子図書館よりお調べいただけます。

現代農業 2023年10月号

農文協 編

《特集》
がんばらなくても土が育つ 耕さない農業 最前線

農家が教える よもぎづくし

農文協 編

農家が考えたあっと驚くよもぎの活用法を紹介。摘み方や保存法、色をよく仕上げる下処理のコツから、よもぎ座布団などの健康利用、草もちなどのレシピ、野菜づくりへの利用や栽培法まで、よもぎの魅力が満載の一冊。