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【ミカン畑の農機6】せん定枝をラクラク還元 チッパーシュレッダー

熊本・清田正明

 もうすぐせん定のシーズンです。せん定した枝葉は燃やして処分する方が大多数だと思います。しかし近年は、せん定枝の焼却が原因のボヤ騒ぎが多発しているようです。

 そこで役立つのが、せん定枝を粉砕して処理できるチッパーシュレッダー(粉砕機)です。いくつもの機種がありますが、私は(株)大橋製の3機種を購入し、状況に合わせて使い分けています。

GS92G。排出口に鉄で作った反射板を追加して、チップを樹冠の間に飛ばせるように改良
GS92G。排出口に鉄で作った反射板を追加して、チップを樹冠の間に飛ばせるように改良

段々畑で活躍する小型機

 GS73Gは大橋製で最小の機種です。機体は200kgと小さく軽量でありながら、直径7cmの太さの枝まで粉砕できます。小型なので急傾斜の段々畑でも使えます。これより上位モデルは、処理性能は高くても機体が大きくなるので、段々畑では横転などの危険性があります。

反射板でチップを左右に排出

チッパー

 GS92Gは最大処理径が9cm(人の手首より太め)で、ほとんどのせん定技を粉砕できる機種です。処理能力は1時間当たり1.5m³。せん定枝を拾い集めてホッパーへ投入するのにかかる時間と、入れた枝が粉砕されるまでの時間がだいたい同じになるのでストレスなく作業できます。私は主にSSを使う畑で使用しております。

 この機種の問題は、粉砕後のチップが機体前方に排出されること。SSが走る通路に山のようにチップが溜まってしまうので、スコップやレーキを使ってどかさなければなりません。

 そこで粉砕後のチップを樹冠と樹冠の間に入れる方法はないかと考え、少し改良しました。まず粉砕されたチップが勢いよく出るように、機体内部にあるスクリーン(粉砕する大きさを変えるもの)を外しました。さらに排出口に鉄の反射板を取り付け、反射板に当たったチップが真横に飛んでいくようにしました。反射板は手動式の固定ネジで反対側へと向きを変えられ、機体の左右にチップを飛ばせます。

チッパーシュレッダーのGS73G(左)とGS100GH (写真はすべて赤松富仁撮影)

デスクマットの改良でチップの逆流防止

 GS100GHはGS92Gの発展型の機種で、粉砕したチップをブロワーで上へとかき上げ、排出ダクトから吹き飛ばします。排出ダクトは上部が横に曲がっていて360度回転可能。段々畑の上の段に飛ばすなど、思い通りの場所にせん定枝を還元できます。

 ただし、ブロワーで吹き飛ばされたチップがホッパーのほうへすり抜けて返ってくることがあり、目に入る危険があります。解決方法として、ホッパーに付いているのれん状のマットを15cmほど長いものに変え、4cm幅で縦に切りました。ブロワーの風圧でまくれ上がることなどが減り、マットを2重、3重に取り付けることでチップの跳ね返りはほとんど防げます。しかし、完璧とはいえないので、保護メガネの装着など安全に気を付けて使用します。

排出ダクトが便利なGS100GH。チップがダクトから飛び出す光景は、見るのも楽しく童心に返った気分になれる
排出ダクトが便利なGS100GH。チップがダクトから飛び出す光景は、見るのも楽しく童心に返った気分になれる
ホッパーには市販のデスクマットで作った改良のれん。2重、3重にしてチップの跳ね返りを防ぐ
ホッパーには市販のデスクマットで作った改良のれん。2重、3重にしてチップの跳ね返りを防ぐ

電動チェンソーとサンダーもあるといい

 私が使っている3機種は比較的小型の機種なので、とくに困るのは三つ股になった太くて硬い枝です。3機種とも最大処理径より太い枝は粉砕できません。対策としては、せん定の段階で三つ股枝をつくらない、粉砕作業をするときはチェンソーも用意しておくなどがあります。

 ただし、エンジン式チェンソーはチッパーシュレッダーの音がうるさくてエンジンの始動がわかりづらいので、私はマキタ製電動ハンディソーを使っています。

ベルトサンダーで研いで、チッパーの刃こぼれをこまめにメンテする
ベルトサンダーで研いで、チッパーの刃こぼれをこまめにメンテする

 また、大きい枝・硬い木を切ると刃こぼれが発生しやすくなります。研ぎ屋さんで目立てしてもらうとそれなりのお金がかかります。私はマキタ製のバッテリー式ベルトサンダーを持ち歩き、こまめに刃を研いでいます。

(熊本県玉東町)

この記事の詳細は現代農業』2024年12月号をご覧ください

現代農業』2024年12月号「果樹」コーナーには、以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌でご覧ください。

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