最近の夏は暑すぎる。でも、大丈夫。「流し込みかん水」「スポットかん水」「酸素かん水」などのワザをもってすれば、高温・干ばつに対抗できる。
栃木・青木武久
若木は干ばつに弱い
ナシの苗木や若木は、成木よりも根量が少ない(根域が狭い)ので、干ばつの影響を受けやすくなります。根からの水分の供給量が少ないことから、若木に着果させても果実が肥大しにくいのは当然です。
わが家は今も昔も基本的にかん水は雨まかせですが、樹が大きくなり根量が増えてから着果させるのでは、経営を考えると遅すぎます。そこで、数年前からは植え付け3~5年目の若木を中心に、肥大最盛期(満開後90日以降)にかん水して果実肥大を促しています。
水が土中へ浸み込むかん水法
ホースで散水したこともありますが、現在は肥料袋を使ってかん水しています。わが家の園地は緩やかな傾斜のある粘土質土壌で、干ばつ時には地表面が硬くなり、散水しても水は土中へ浸み込まずに地表面を流れてしまうからです。園地全体でなく若木にだけかん水するために思いついた方法でしたが、散水よりも少ない水量で、若木の株元へ確実にかん水できています。
植え付け3年目の若木でも、優良な長果枝が確保できれば通常どおり着果させます。なかには30果ほど着果させる樹もありますが、最終的に成木と遜色ない果実を収穫できるので、かん水の効果は出ていると考えています。(栃木県那須烏山市)
2024年7月号「スポットかん水で少ない水を効率よく」コーナーには、以下の記事も収録されています。ぜひ本誌でご覧下さい。
- 【ミカン畑の農機2】 かん水専用のラジコン動噴 清田正明
- 果樹の幼木に 簡易点滴かん水装置(埼玉・大澤一樹さん)
- 一滴もムダにしない 干ばつ時代の地中底面給水法 大幅元吉
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取材動画(期間限定)
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「現代農業VOICE」のお試し視聴
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光合成を高める枝づくり・葉づくり
高橋国昭 著
ビックリするような収量と品質をあげるには、光合成生産の量(物質生産の量)を多くし、それをいかに多く果実に分配するかが勝負。その考え方をベースに高品質多収栽培の理論を確立し、そこから、樹の生育目標を明確にし、樹形とせん定方法、栽培技術の実際をわかりやすく解説。果樹のベテランにはもちろんのこと、初心者にもわかるようにと書き上げたのが本書。本書を読んでいただければ、ビックリするような高品質多収をあげるにはどうすればよいかが理解されるはずである。