カラスウリから酵母菌を、ムギワラから納豆菌を採る
巻頭特集

玄米から乳酸菌や納豆菌……
身のまわりにいる菌を捕まえて、殖やし、存分に活かす。
農家の菌活の工夫は、とどまることを知らない。
作物へのワクチン効果や発根効果など、
最強の菌活を実現するための新知見も続々。
土着菌を捕まえる、存分に使う
カラスウリから酵母菌を、ムギワラから納豆菌を採る
佐賀県唐津市・ラマ カンチャさん

ラマ カンチャさん
ネパール生まれの39歳。2007年、経済を学ぶために来日。2013年、奥さんの出身地である佐賀県唐津市に移住。その後、農業を始め、現在はトマト60a、イチゴ60a、アスパラ20a、ミカン80aを減農薬・減化学肥料栽培。『現代農業』2021年10月号「有機農業ってなに?」特集にも登場。
ネパール出身で、今は日本で農業をしているラマ カンチャさん。土着菌には日頃から慣れ親しんでいて、自らせっせと培養しては、かん水と一緒に流し込んだり、「太陽熱養生処理」に利用したり、発酵液肥をつくったりしている。
「人間がつくりだした微生物なんて、一匹もないですよ。もともと自然界にいるものなので、それを捕まえて殖やして使うんです。カラスウリからは酵母菌、ムギワラからは納豆菌、とかね。簡単に採取できるし、金もかかりません」
酵母菌といえば、なんとなくリンゴとかブドウとか、甘い果物によくいるイメージだが、ネパールでは伝統的にカラスウリから採った種菌で酒づくりをする文化があるそうだ。納豆菌のほうはムギ栽培が盛んな地域ならではの材料を使っている。
それぞれ培養するところを見せてもらった。(編)
カラスウリ探し






酵母菌の培養



この記事には続きがあります。本誌31〜37ページをぜひご覧ください!
記事といっしょに 編集部取材ビデオ

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