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縦穴、長野でさらに流行中!

巻頭特集

ゲリラ豪雨、2カ月近い長梅雨、 線状降水帯― 近頃は「異常気候」が 「通常」になってきた。 折しも、低米価のために 水田転作への圧は高まっている。 こうなると、物を言うのが 明渠・暗渠などの排水対策。 新顔の縦穴も加えて― 大雨・長雨・雪解け水、 何でもござれ!

縦穴、長野でさらに流行中!

長野市・相沢耕市さん、阿部惣一さん

相沢耕市さん(右)と阿部惣一さん。すぐご近所で、交流が多い(写真はすべて依田賢吾撮影)

 21年3月号では、長野での縦穴排水の流行っぷりを、余すところなく紹介した……つもりだった。ところがその後、試験場や生産部会などで穴掘り機を購入・貸し出しする事例が相次ぎ、地域の縦穴熱はよりいっそうの高まりを見せているという――。

静かでパワフルな「マイ」電動オーガ

「軽くてね、静かでしょ。エンジン式に比べて振動も少ないし……いいんですよ」

 長野市松代町、丸ナスが鈴なりになった小さな畑で、相沢耕市さん(68歳)は語る。相沢さんは3月号の表紙にも登場したキク農家。2020年は長雨で周囲が湿気によるセンチュウ害に悩む中、事前に畑に縦穴を掘っていたため、被害はほとんど出なかった。その際は指導機関が用意した実演用のエンジンオーガを使ったが、このたび、念願のマイオーガを手に入れたのだという。それも、ちょっとお高いバッテリー式のオーガなんだとか。

「エンジン式のものと同じくらいパワーもありますし、電池もぜんぜん減りません。1回充電しただけで、300回くらいは掘れますよ」

 相沢さん、普段は物静か。ここまで熱を入れて語るとは、マイオーガにぞっこんの様子だ。オーガを手に入れたタイミングもよかった。所属するJAグリーン長野の花卉部会では、今年エンジンオーガを購入してレンタルを始めた……が、予想以上の人気で、2カ月先まで予約ギッチリなのだという。

「自分で持っていれば、好きなときにいろいろと使えます。植え穴を掘るときとか、フラワーネットの支柱立てにも。これまで手動の穴掘り機を使っていたので大変でしたが、オーガなら、5cm径のドリルで掘って角材を数回打ち込むだけです。妻も気に入っちゃって、『私が掘る、私が掘る』って」


バッテリー式オーガとは

写真右:背負いのバッテリー。重量は4.9kg(オーガ本体は5.5kg)。専用充電器で4〜5時間で充電できる 写真左:バッテリー式オーガ「e-pro AG-101」(カーツ社)。約30万円。音がすごく静か。ドリルは5cm径と10cm径の2本を所有
以前使ったエンジンオーガ(カーツ社)。重量は本体約8kg+燃料分。パワーはバッテリー式に少し勝る。価格は10万円前後

毎年しける畑……今年はカボチャが調子いい

 ところで、相沢さんが立つこのナス畑、近所に住む阿部惣一さん(73歳)のもの。阿部さんも、縦穴の効果を実感した一人だ。相沢さんが表紙になった3月号を見て、すぐさま連絡。オーガを借り、直売野菜を育てるこの畑で実際に使ってみた。


縦穴掘りを実演

阿部さんのナス畑。硬い耕盤こそないものの、乾きの悪い畑だった。今年の4月末に縦穴を掘ったら排水がよくなった
排水対策のおかげで、今年はナスが鈴なり。直売所で販売している

「うちの畑はもともと田んぼだったりして、水が抜けにくくって、毎年しけっちゃってたんだよね。一昨年はジャガイモつくったんだけど、もうぜんぜんダメ。ピーマンなんかもダメだった」

 これまでもスコップで畑周囲に溝を掘ったり、土を移動して水が流れるようにしたり、いろいろ対策してみたが、目に見える効果はなく、毎年湿害が出ていたという。しかし今年の春、縦穴をガンガン掘ってから植えてみたら……。

「いやぁ、カボチャもナスもしっかり育って、ホントに調子がいい。カボチャなんて、こんなに大きくなることないよ。確実に効果あったと思うね」

 阿部さん、とにかく穴は多いほうがいいと考え、約1m間隔で「ダーッと掘った」という。その数、10m×4ウネほどの畑に40カ所以上。穴の中にはモミガラを詰め、その上から管理機をかけて、ウネを立てたそうだ。

「上は土で埋まっちゃったけど、ちゃんと効いてるみたい。前より乾きが早いよ」

「来年も相沢さんにオーガ借りて、もっと穴を多めに掘ってみるよ」

「じゃあ、秋のうちにモミガラ集めとかないと」

 2人の穴掘りトークは続く。松代町では今年、「キクに続け」と、ユーカリ圃場での縦穴掘り実演会も開催された。みんな、縦穴掘りに夢中だ。(編)


この記事には続きがあります。本誌34〜38ページをぜひご覧ください!

記事といっしょに 編集部取材ビデオ


現代農業 2021年3月号

農文協 編

特集:縦穴掘りが流行中 空気と水が一気に動き出す不思議

新連載 サトちゃんのへの字稲作挑戦記/粘りイモをつくりこなす/ばあちゃんたちのブドウ新短梢栽培/電動農機に注目/農家が教える免疫力アップ術 春の野山編/知らなきゃ損する 新型コロナの税制措置と改正相続法のポイント ほか。