現代農業2023年12月号の巻頭特集「農家のお手軽土木」のなかから、生コン工場から出た「テストピース」をつかって擁壁(ようへき)作りをしている宮下眞澄さん(兵庫)の記事を試し読みとして公開します。
兵庫・宮下眞澄


私は、25歳のときに婿養子で兼業農家にきました。26歳から米つくりを教わり、地区の稲作研究会にも入れていただき、最盛期は90aほどつくっていましたが、55歳のときに左ひざを手術したので、それからは専業農家に委託しています。ただ、11aほどは圃場の条件が悪いので、いつでも稲作が再開できるように自己保全で管理しています。
兼業で生コンクリート工場に勤めていたので、土木工事のやり方は見て覚え、自宅や倉庫でもDIYできることはやっています。

生コン工場でもらえる
今から30年以上前、なるべく経費をかけずに田んぼの法面を保護しようと考え、テストピースによる擁壁作りを思いつきました。テストピースとは、生コンクリートの品質管理(強度試験)に使う円柱型の試作物です。検査後は破砕してコンクリート砕石になります。生コン工場もせっかく作ったテストピースを何かに役立ててほしいと思っているので、たいていは無料でもらえます。
地盤の悪い所はコンクリートで基礎を固める必要がありますが、地盤の硬い所では2mほどの高さならそのまま積めて、お金がかかりません。また、同じ形をしているので、素人でもきれいに積むことができます。
テストピース擁壁の作り方



うまく並べるコツ、三つ
うまく作るには、①1段目が一番重要です。1段目がきれいに並べられると、その後は単純に積み重ねるだけで、整然とした仕上がりになります。
また、高く積むには、②傾斜をつけること、③土の水分が多いと壁面からの土の圧が高くなるので、必ず裏側に砕石層を作って水はけをよくすることが大切です。
以前、約1.5mのテストピース擁壁を、裏込めの砕石なしで地面とほぼ垂直に積み上げたことがありますが、雨が降ったその日に倒壊しました。それからは、必ず勾配をつけて砕石層で水抜きをするようにしたら、ビクともしない、よい擁壁に仕上がるようになりました。昔の石積みは石の噛み合わせのみで積まれていますが、このテストピースも6カ所でガッチリ噛み合っています。
現代農業2023年12月号の巻頭特集では、この記事のほかに以下のテーマについても掲載されています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。
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