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【凸凹・グチャグチャ道を何とかしたい!】農家の目線で「小さな土木」

現代農業2023年12月号の巻頭特集「農家のお手軽土木」のなかから、試し読みとして一部を公開します。

これは、元土建業でアスパラガス農家の中尾さんによる、ぬかるみや轍対策など小さな土木工事について書かれた記事です。

この記事は音声で聞くことができます。現代農業VOICEの無料試聴はこちら

佐賀・ 中尾太輔

小さな土木

自分でできることは自分で

 2011年に1年間研修し、翌年40歳の年にアスパラガスとお米の栽培を始めました。以前は20年以上、土建業をしていました。高速道路や大きな建造物、河川の堤防などの基礎の下を地盤沈下しないように改良するのが主な仕事です。当然、扱う重機も大きく、地盤改良機は100tにもなり、補助的な役割のバックホーも20tありました。

 農業を始める際にハウス8棟(20a)の建設を依頼しましたが、作土と堆肥の攪拌、明渠や暗渠の施工、圃場全体の排水対策など、できることは自分でやろうと決めていました。作業に応じて、0.5~12tのバックホーやホイールローダーをリース。3t以下の機械を操縦するのはそのときが初めてです。建てたばかりのピカピカのハウスの中で、絶対にキズ一つ付けまいと作業したことを覚えています。

 ハウス内外の工事を終えたのち、選果場と駐車場の整備をしました。続いて、水田の排水改善。これらの作業を毎年少しずつ、農閑期に進めていきました。

 会社員から農家になると、当たり前ですが、誰も指示してくれません。完成予定図も設計図面も自分で作らなくてはならず、計算から確認まですべて自己責任です。私はこれが面白くてたまりませんでした。自分の思いを形にすることができますし、そこで仕事をして生活していくと、便利も不便も次を考える参考になり、納得して終わらせることも、さらに最良を目指すこともできるからです。

筆者。明渠や暗渠など、ハウス内外の排水工事は自分で手がけた (赤松富仁撮影)
筆者。明渠や暗渠など、ハウス内外の排水工事は自分で手がけた (赤松富仁撮影)

農閑期に「隙間土木」

 ハウス内外の排水対策の効果は大きく、19年8月と21年8月の豪雨のときも浸水はなく、被害も最小限にできました。

 他にも大雨でぬかるむ箇所や搬入路の轍などを整備していると、同じような問題を抱えている農家の方や地域の方から相談してもらえるようになり、農閑期限定で作業の依頼を受けることにしました。ハウス内のコルゲート管の設置、ハウスまわりの排水、圃場の盛り土、木の伐採・抜根、家庭菜園のスペース確保、庭の拡充、耕作放棄地の整備、堰の浚渫しゅんせつなど、小さな土木というか、隙間土木のような依頼です。私のアスパラガス栽培の手が空く隙間をちょうど埋めるように作業しています。

 もちろん、小さな土木でもその道のプロに頼んだほうがキレイにしてくれます。道具や機械の使い方も含めて、私より上手です。それでも私を頼ってくださる方には、農家としての目線と過去の経験をお話しして仕事をしています。

こんな依頼があった

お地蔵さん

◆お地蔵様にお参りする道が滑りやすい

 相談の一つは「山のお地蔵様へお参りする道が滑りやすく、お年寄りが歩きにくいので、いい方法はないか?」というものでした。山といっても高低差は10m程度ですが、距離がないので急なスロープ状の山肌を登るようになっていました。不規則に木が伐採された、スペースの限られた通路(幅1.5~2.5m)で、粘土質の地面はぬかるみやすく、雨が降れば数日は登れない。一言で表現すれば「危ない山道」です。予算があれば、手摺りのついた階段にするのが一番いいのでしょうが、一集落のお地蔵様へ市や県から助成があるはずもありません。「あまりお金をかけずに登りやすくしたい」というご依頼でした。

 まずはバックホーがお地蔵様のところまで行く幅を確保するために、細い木を2本伐採。その木は階段の土留めに利用するため、道幅の長さに切断しました。バックホーでお地蔵様の前を平らにしてお参りスペースを設け、上から階段を作っていきました。一段一段まっすぐ等間隔にすると、距離が足りなくなるので、ゆるやかに蛇行するように施工。最後に、滑り止めで足の踏み場に砕石を敷いて完成です。

 たいへん喜んでいただけたことを覚えています。

地蔵堂。お参りスペースを平らにし、土を削ったり盛ったりして階段を作った
階段は丸太を土留めにして、鉄筋を打ち込んで固定。一段一段、奥行きを確保し、高さも一定にして、足を踏み外さないようにした
階段は丸太を土留めにして、鉄筋を打ち込んで固定。一段一段、奥行きを確保し、高さも一定にして、足を踏み外さないようにした

◆駐車場に流れ込む雨水を食い止めてください

駐車場の入り口に、常温アスファルトで高さ5 ㎝ 、長さ5 m ほどの土手(堤防)を作った。常温アスファルトは小面積のこまごました工事に便利
駐車場の入り口に、常温アスファルトで高さ5 ㎝ 、長さ5 m ほどの土手(堤防)を作った。常温アスファルトは小面積のこまごました工事に便利

 雨が降ると、表の道路から駐車場に水が流れてくると悩んでいる方もいました。敷地内に側溝を設けて排水することも考えましたが、「お安く」という要望だったので、簡易的な工事にしました。常温アスファルトで入り口付近に車両が乗り越えられる低いカマボコ状の土手を作って、雨水の浸入を防ぐことにしたのです・・・

この続きは2023年12月号をご覧ください

本記事では、これらの施工事例のほかに、地域の方々から受けた以下のような依頼についても書かれています。ぜひ本誌(紙・電子書籍版)でご覧ください。

  • 「ぬかるみや轍をなくしたい」
  • 「堰に溜まった砂利を 取り除いてほしい」

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