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あああ

花粉症にも冷え症にも効果バツグン 面白くて美味しいカラシナ

現代農業2023年3月号「くらし」コーナーのなかから、イチオシ記事を試し読みとして公開します。河原などでよく目にする雑草化したカラシナが、薬草のようにつかえるかも……というお話。

『現代農業』2023年3月号

愛知・ 鈴木健二

河原の土手のカラシナ。特徴は、普通の菜の花よりごわごわしてとげっぽく、葉は茎を抱かないようにつく

ピリッとほろ苦い 野生の摘み菜

 「スズキさーん、『河原菜』って知っとるかね?」

 そう聞かれたのはもう 25 年くらい前のことです。4月上旬でした。

 「知らないっス」と答えた僕に、「そんじゃあ、ちょっと摘みに行ってみるかね」と誘ってくれたのは新潟県出身の大工さんでした。

 2人で仕事場近くの川の堤を歩いて探しました。「ああ、あった、このつぼみのあたりをポキッて折れるところから摘むのさ」。それはダイコンに似た葉の野草でした。

 「ピリッとしてほろ苦い、野生の摘み菜さ。太いのをおひたしにすると美味しいんだ。わしらの育ったところでは、これを食べると『春が来たなあ』って思うんだよ」と懐かしそうに笑って教えてくれました。

 それまでの僕の「春が来たなあ」はヨモギ団子やツクシの卵とじだったのですが、この時以来、河原菜も大好きな春の味となりました。

 それから10年ほど経って、河原菜は野生の西洋カラシナだったと知った頃、僕は『現代農業』と出会い、今では覚えた野生の春の味もずいぶん増えました。特に、薬草博士・村上光太郎先生の記事には惹かれる事柄が多く、「春のナバナを食べていると花粉症が軽くなりますよ」( 2006年3月号p82 )という内容の記事を読んで、「それじゃあ河原菜は野生のカラシナのナバナだから、もう少し強い効果があるかも?」と思ったわけです。

 で、周りの花粉症の友人たちに協力してもらい実験を始めました。

■ マザきっち(40代女性)の場合

冷え症にも、カラシナ風呂で 朝までヌクヌク

  草仲間のマザきっちは、長年がんこな冷え症。村上先生の本『食べる薬草事典』(農文協)に、 10 本分のダイコンの葉を干して煮出した液を風呂に入れるとよくあったまって、冷え症の人がぐっすり眠れるというような話がありました。「河原菜の葉はダイコンよりピリッとする成分が多そうだから、分量は 10 分の1くらいでいいかも」といって干した葉をあげました。

 さっそく試したらポッカポカにあったまって、布団に入ってからも朝までじんわり汗ばむくらいヌクヌクでしたと報告がありました。彼女は周りの友達にもすすめて喜ばれているそうです。

■ のりとっと( 30 代女性)の場合

熟成発酵ペーストが欲しくなる

  普段は大変元気なのに、もう 20 年くらいの間、春先のひどい花粉症に悩んでいた、のりとっと。いろいろと薬を試してみたけど、頭がモワァッとなって仕事にならないので、仕方なくやり過ごすしかなかったとのこと。5年くらい前から「カラシナのつぼみの熟成発酵ペースト」を試してもらっています。「不思議でならないが、これ食べると症状が止まる」「治ってしまうわけではない。いったん止まって、ひどい時だと数時間でまた出るが、スプーン1杯食べるとまた止まる。軽い時は半日から2〜3日止まってる」「生のつぼみよりこっち(熟成発酵ペースト)のほうが相性がいいみたい」という報告でした。

 甘ったるくて乳酸発酵の強い漬物のような味ですが、彼女はそろそろ自分の花粉症が始まりそうだなという1月頃になると、このペーストが美味しく感じるそうです。で、もうペーストなしでも症状が出なくなりそうな4月頃になると欲しくなくなるとのこと。また、年を追うごとに症状が軽くなっていると言っていました。

両端は摘んだカラシナ、中央は仕込んだ熟成発酵ペースト。本誌ではカラシナ熟成発酵ペーストの作り方を紹介しています。

2023年3月号では、 マザきっちさん、のりとっとさんのほかにも、突然やってきた花粉症を克服した30代のゴウ太さんや、ひどい花粉症に悩む中学一年生のよっくんの体験談も紹介しています。また、体験談でも登場した『カラシナ熟成発酵ペーストの作り方』についても詳しく掲載しています。ぜひ本誌でご覧ください。

花芽も葉も根もタネも 美味しい

 去年の11月、マザきっちの家で草遊びの会がありました。この日のお題は「河原菜をメインにキムチを仕込もう!」でした。河川敷でカラシナ、ノビル、スギナ、タンポポ、カキドオシなどを摘んできて、キムチを仕込みました(下図参照)。材料を全部混ぜて揉み込んで、その場ですぐに食べてみると、ガッツポーズしてしまうほどのフレッシュな美味しさで、浅漬けでもビバッ!その後、冷蔵庫に入れて2週間ほど置くと、まろやかな素晴らしい状態で相当にビバッ!

 キムチ以外にも・・・

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