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浅耕はいいことずくめ、やらなきゃ損

現代農業2023年1月号の特集「時代は浅耕・不耕起へ」の中から、編集部イチオシの記事を2本公開します。こちらは、耕し方を浅耕にかえれば「異常気象に強くなる」「作業がラクになる」「燃料代が減る」などいいことずくめだという福岡県の穴田さんの記事です。

福岡・穴田数義

筆者の穴田数義さん
筆者(写真はすべて赤松富仁撮影)

 私は福岡県築上郡に住んでいる81歳の万年青年です。以前は90aほどの小さな兼業農家でしたが、53歳で会社勤めをやめて専業農家になりました。現在の経営内容は水稲17ha、小麦34ha、ダイズ17ha、大麦若葉6haで、2年前からは経営を長男に譲っています。

長雨続きの年、浅く耕した圃場の小麦は……

 50年ほど前のことです。晩生のもち米の収穫は12月初旬でした。収穫後は草も生えていないし、手間を省いてみようと思い、表面だけ浅く耕してタネが隠れるくらいに覆土しました。

 その後、翌春は長雨が続き、収穫期には多くのムギが立ったまま腐ってしまったり、穂発芽していました。

 ここもダメだろうと思いつつ、浅く耕した圃場に行ってみました。穂は黒ずんでいて、やっぱりダメかと穂を揉んでみたら、茶色のふっくらした粒が出てきたではありませんか。ブウーと息をふきかけて殻を飛ばしたら、なんと美しい小麦が手のひらにのっている! 私は感動のあまり涙ぐみました。急いでムギ株を引き抜こうとしましたが、力を入れないと株は抜けません。根が生きていたのです。

 家に帰って本を手当たり次第読みました。イネの根は1m以上も土中に伸び、刈り取り後に腐れて「根穴」ができる。その穴が排水につながると本に書いていました。多くの本を読み植物のことを知り、健全な植物には健全な根があること、耕さなければ深い根穴が残り、よい土地になることを知りました。

手前が筆者のダイズ浅耕圃場。
手前が筆者のダイズ浅耕圃場。奥の一般的な耕深15〜20cmの圃場よりも葉色が濃い。有機物分解がゆっくり進んでいるからだろうか
深耕圃場
深耕圃場では雨でぬかるみ機械が入れず、播種が遅れたのと、排水管理がうまくいっておらず、過湿による湿害が見られた

40年以上続けて実感、四つの効果

 45歳くらいで私が農作業全般を引き受けてから、ムギは浅耕バラ播き栽培です。イネの代かきハローをムギにも導入してからは、・・・

この記事の続きは2023年1月号をご覧ください