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荒れた竹林、炭にして大地に還す

現代農業2022年12月号の特集「モミガラくん炭&竹炭」とあわせて読みたい過去の記事を期間限定で公開します。こちらは現代農業の増刊号『季刊地域』2021年春号の記事です。わずか4年で4万坪以上の放置竹林を整備し、約300tの竹炭をやいた「いすみ竹炭研究会」の取り組みを紹介します。

千葉県いすみ市・NPO法人いすみ竹炭研究会

竹炭焼きのようす(中島葉子撮影)

 荒廃竹林の整備を無料で引き受け、じゃんじゃん竹炭を焼く「いすみ竹炭研究会」。

 出来上がった竹炭は自分たちで山林に還すほか、地元農家や造園業者からもひっぱりだこだ。

いまこそ竹炭の出番

 市内の放置竹林を目の当たりにして、2016年に18人で結成したいすみ竹炭研究会。発足後わずか4年でのべ4万坪以上を整備し、約300tの竹炭を焼いた。炭素含有率は8割以上なので、240tの炭素を固定したことになる。竹炭を大地に還すことは、大気中のCO2を減らし「脱炭素化」につながる(季刊地域21年春45号p27参照)。

会の説明をする代表・西澤真実さん(右)。1人でも多くの人が竹炭づくりを習得できるようにと、月1回の竹炭づくりイベントを開催してきた

竹炭の焼き方

1.鉄板で囲う

 炉は厚さ3~4mmの鉄板でできており、1.8m×3.6m、高さ45cmの箱型。鉄板が重なる部分を万力で挟んで固定する。鉄板は地元の産廃業者から仕入れる。一つの炉で2万5000円ほど。炉の周囲は軽く土を盛って安定させる。軽トラに積んで運べるのがいいところ。

万力を締める
炉の底板を敷いているところ

2.火力の土台(熾《お》き)をつくる

 炉内4カ所ほどで枯れた竹枝に点火する。そこへ枯れた竹を次々足して焼いていく。高さ15cmほどまで熾きがたまったら、炎が鎮まるのを待つ。焼けていない竹を棒などで掘り上げて炭化を進める。

竹枝で小さな山をつくり点火する
枯れた竹を炉に次々入れる

3.製炭

 熾きの上に再び枯れた竹を入れて火を強くしてから、生竹を投入。熾きをつくるときと同様、炎が鎮まるのを待ち、未炭化の部分を掘り上げて炭化させる。これを炉が炭で満杯になるまで繰り返す。

 密閉式の窯をつくらず穴を掘って炭材を焼く方法を「伏せ焼き」というが、鉄板で囲うことで穴を掘る代わりになる。鉄板の壁が周囲からの空気(酸素)の流れを制限するので炭になる。燃料として品質の高い炭にはならないが、土壌改良や吸湿材として使うにはこれで十分。

生竹もどんどん焼ける
掘り上げの様子。質のいい炭をつくるにはこの作業が重要

4.消火

 最後は大量の水で消火。十分に冷えるまで水をかけて、竹炭の完成。3時間ほどで約1tできる。

竹炭は60リットル2000円で販売。暗渠、調湿の資材として造園業や建築土木業からも引き合いがある。竹炭の売り上げは年450万円ほどで、竹林整備に参加してくれた人への謝礼金に充てている

密閉式の窯をつくらず穴を掘って炭材を焼く方法を「伏せ焼き」というが、鉄板で囲うことで穴を掘る代わりになる。鉄板の壁が周囲からの空気(酸素)の流れを制限するので炭になる。燃料として品質の高い炭にはならないが、土壌改良や吸湿材として使うにはこれで十分。

地元農家も愛用中

 いすみ市からほど近い白子町の農家・酒巻良行さんは土着菌を殖やすために竹炭をまいている。その効果か、タマネギの軟腐病や腐敗病が減ったそうだ。また、隣の一宮町で5年前にトマト農家になった山田雅俊さんは、初年度に10a当たり500kgの竹炭をすき込んだ。以来、土壌改良のために数年おきにまいている。おかげで、耕耘機の爪が跳ね上がってしまうくらい硬かった土が柔らかくなった。

「未来にいい土壌を残したいのさ」と酒巻さん。ラッカセイを植える前に竹炭をまいているところ。10aに15袋(1袋60リットル)が目安
山田さんはトマトの定植時、竹炭を植え穴にひとつかみ入れている
窯で焼く炭と異なり、小さく砕けていて柔らかい

*『季刊地域』2021年夏号(原題:荒れた竹林、炭にして大地に還す)より。情報は掲載時のものです。