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〈今こそトラクタの油代を減らす〉軽油が年間100L減 低燃費・高速耕耘法の効果は絶大でした

青森・豊川将次

エンジン全開で深く耕耘

 地元の農協に勤めながら農業をしている新米の兼業農家です。6年前に親から稲作を任されたことをきっかけに、自分なりに試行錯誤しながら本格的に米づくりに取り組み始めました。

 それまでは、繁忙期に機械作業を数日間手伝う程度でした。そのころから、トラクタ作業が一番楽しいと思うことが多かったと思います。

 当時は親から聞いた通りに田起こし・代かきをしていて、作業する際はほぼエンジン全開の2600回転、田起こしは耕深20cm程度。車速を落として深く耕していたので、1haの田起こしだけで、まる2日はかかっていたと記憶しています。

時間がない俺にピッタリ

 当時はまだ何もわからなかったうえ、周りの田んぼでもみんな同じように耕耘しているので疑問にも思わず、「なんとなくみんなと一緒だから、そんなもんなのだろう」と思っていました。しかし、親から稲作の全作業を任され、いざ勤めながら農業してみると、休日のみの作業だけでは間に合いません。もっと時間を短縮できないものかと考えるようになりました。

 今はネット時代なので、何かしらのいい事例が見つかるかもと思い検索してみると、動画投稿サイトで「DVDブック トラクタ名人になる!」の紹介動画(※YouTube)が目に留まり、すぐ書店に行って購入。

 付属のDVDを観つつ本の内容を理解すると、「『低燃費・高速耕耘法』は兼業の俺にピッタリではないか!」と感じました。作業時間が短縮できて燃料も抑えられるのならと、さっそく実践してみることにしました。

田起こしの時間が半分以下に

 使っているのは20年以上も前の型式のトラクタ(クボタ、L4202DT、42馬力)なので、効果が出るのか半信半疑でしたが、まずはエンジン回転数を1800まで落とし、PTOを1段上げ、耕深10cmで田起こししてみました。

 前にやっていた田起こしは稲株が土の中に埋まるよう深く耕耘するやり方で、野菜畑を耕すときと同じような要領でした。低燃費・高速耕耘法でやってみると、田起こし後の状態は稲株が土から外れる程度。多少心配になりましたが、その後の代かきで十分すき込めるので問題ありませんでした。

 1時間以上かかっていた20aの田んぼ1枚が30分程度で終わり、倍以上の時間をかけて耕していたのが無駄な労力だったなあと気づかされました。

筆者の耕耘法

軽油使用量が1haで100L減

 以前の軽油消費量は、測っていなかったのでおおよそですが、1haの田起こし、荒代かき、植え代かきでドラム缶1本分(200L)ほどでした。低燃費・高速耕耘法に変え、代かきも同じようにエンジン回転数を落としてさっくりかくようにしたことで、今では100L程度に抑えられています。変えた当初は狐につままれたような気分で信じられませんでしたが、燃費の悪い旧型のトラクタで馬力を上げていたこともあり、効果は絶大でした。

 燃料価格が高騰してきているなかで、低燃費・高速耕耘法などを利用して少しでも資源の消費を減らすことは、エコ対策として今後より重要になってくると思っています。

 最後にもう一つ、実際に取り組んで効果を感じているのが、プール育苗と疎植栽培です。プール育苗ではかん水の手間を省略でき、疎植栽培では苗箱の枚数を減らすことで作業時間を短縮できるうえ、培土の購入量も少なく済むのでとても助かっています。坪株数を減らしても平均収量の10a10俵とれる米づくりは、最高のエコ栽培だと思っています。

 限られた時間のなかで、少しでも省力かつ経費をかけないような農産物づくりをしたいので、皆さんがやっている優良事例を参考に邁進していきたいと思います。

(青森県三戸町)

この記事のほか、11月号の特集ではトラクタの油代減らしに役立つ以下の記事も掲載しています。

  • 低燃費・高速耕耘法 エンジン音を抑えたら音楽も聴ける 川北晋也
  • 価格日本一の長崎より 代かきは一発、牧草は不耕起直播に変えた(長崎・松山靖徳さん)
  • トラクタ 三つのメンテだけで燃料が1/4 塚原雄二

ぜひ本誌でご覧ください。

DVDブック トラクタ名人になる!

農文協 編

トラクタの仕組みから使いこなし方、メンテのコツまでDVD付きでわかりやすく解説。雑誌「現代農業」やDVDシリーズ「イナ作作業名人になる!」シリーズでおなじみのトラクタ名人・サトちゃんのワザ総集編も掲載。さらにサトちゃんのワザをマスターした全国各地の方々が、自分のトラクタでまっすぐ平らに耕すコツ、作業効率・燃費アップのワザなどを披露する。湿田での耕し方や緑肥のすき込み方、トラクタ本体やロータリを長持ちさせるメンテのやり方なども紹介。