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【農家が教える 鉄のミネラル力】第3回 山で、畑で、田んぼで タンニン鉄をつくる

あいかわらず肥料・資材の値上げが止まりません。農文協から、作物の生育促進と食味向上、さらには地力アップに期待できるという「鉄」活用について、「農家が教える 鉄 とことん活用読本」という本が発行されました。この連載では、本書の読みどころをご紹介します。

タンニン鉄とは…?

鉄は生きものにとって最重要なミネラルの一つだが、自然界ではすぐに酸化して、水に溶けずに沈殿するので、循環しにくい。しかし、アミノ酸や有機酸が鉄を包み込んで錯体化(キレート化)すると、水とともに循環し、植物の根から吸収されやすくなる。従来、自然界での主要なキレート剤は、森の腐葉土に含まれるフルボ酸と考えられてきたが、より人間生活に身近なタンニンも鉄のキレート剤であり、鉄分循環のカギを握る物質として注目されだした。

農文協編 『今さら聞けない 農業・農村用語事典』 p88 「タンニン鉄」より

大阪・工藤康博さん、福島・月田禮次郎さん、京都・中村光宏さん

植物のもつタンニンと鉄を反応させてつくる、タンニン鉄。土にかけると植物が元気に。各地の農家が自分なりの作り方・使い方に挑戦中!

未熟な青柿(奥から甘柿と豆柿)にはタンニンが豊富(伊藤雄大撮影、以下I)

身近にいろいろタンニン素材

クリの新葉にも豊富(福島・月田禮次郎さん)

福島の月田禮次郎さんはクリの新葉からタンニン鉄をつくる。軟らかい新葉には虫害を防ぐためのタンニンが豊富。葉っぱを木槌で叩いて傷つけてから、水の中で鉄に反応させる(倉持正実撮影、以下K)
クリの葉。クリタマバチの虫こぶ(中央)にもタンニンがたっぷり(K)

豆柿を求めて山へ(大阪・工藤康博さん)

大阪の工藤康博さんはかつて柿渋作りに使われた豆柿をとりに、近所の山へ向かった(I)
山でとった未熟な豆柿。強烈な渋み(タンニン)がある。これを潰して発酵させた液が柿渋で、番傘や漁網に重ね塗りして防水・防腐効果を高めた(I)
大阪の工藤さんが作った青柿のタンニン鉄。潰した青柿を水で薄めて鉄を反応させた。タンニンが強力なためか、たった3時間で真っ黒な液体に(I)

田んぼでもタンニン鉄(京都・中村光宏さん)

京都の中村光宏さんは、タンニン素材として茶業組合から粉末状のクズ茶をもらってきて、田んぼにタンニン鉄を流し込む(田中康弘撮影、以下T)
まず、洗濯袋に粉末のクズ茶とロータリ爪を入れて、「鉄ミネラルのティーバッグ」を用意する(T)
水口に「鉄ミネラルのティーバッグ」を設置して水を流し入れる。モヤモヤと黒いタンニン鉄が広がっている(T)
タンニン鉄が効くと藻や浮き草が一面に生える。これらにはシアノバクテリアと呼ばれるチッソ固定のできるラン藻類も共生していると考えられる。土中には同じくチッソ固定のできる鉄還元細菌も増えるはず(T)
8月5日(出穂20日前)。周囲の田んぼはチッソ切れで葉色が醒めてきているが、タンニン鉄の田んぼは無施肥なのに青々。シアノバクテリアの働きによるものか?(中村光宏撮影)
自家製のもち米によるもち屋を経営する中村さん。タンニン鉄栽培のもち米からは、雑味がなく、キメが細かくてのどごしのよいもちができる(T)

*月刊『現代農業』2020 年10月号(原題:山で、畑で、田んぼでタンニン鉄をつくる)より。情報は掲載時のものです。

鉄の効用やタンニン鉄の作り方、使い方がよく分かる新刊が出ました。

農家が教える 鉄 とことん活用読本

農文協 編

1,760円 (税込) B5 148ページ

「森は海の恋人」運動でも注目されるミネラル分としての鉄。野菜を大きく育て、美味しくするタンニン鉄、イネの根腐れ対策や環境の浄化に活躍する純鉄粉など、驚きの鉄の効果、鉄資材の作り方使い方を大公開。

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