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【目からウロコ 果菜の作業コツのコツ 】Vo.11 断根接ぎ木は当日までの天気で決まる

現代農業に2004年から14回にわたり連載した「果菜の作業コツのコツ」を週1回(全14回)期間限定でお届けします。キュウリの大産地、宮崎県の研究者だった著者の経験と観察、農家との付き合いの中でつかんだ果菜つくりの極意が満載です。とくに、「苗は買わないで自分でつくるよ」という方、必見です。

元宮崎県総合農業試験場・白木己歳

曇雨天続きのあとに接いじゃいけない!?(現代農業WEB)
曇雨天続きのあとに接いじゃいけない!?(現代農業WEB)

曇雨天続きのあとには接ぐな

 セル苗の時代になって断根接ぎ木が増えている。断根接ぎをうまくやるには、従来の呼び接ぎよりも天気を気にしなければならない。それも接ぎ木前の天気である。

 呼び接ぎの場合、順化は軽度の遮光ですむため光合成が停滞することはない。だから、天気をみながら接ぎ木の時期を探る必要はなく、苗が接ぎ木しやすい大きさになった時に接げばよい。

 これに対し断根接ぎは、強度の遮光下で順化をするので、その間光合成がストップする。しかもその時期に、切り口の癒合や発根などに同化養分をどんどん消費する。このため、十分な同化養分を持たせて接ぎ木するという配慮が必要になる。つまり、曇雨天続きのあとに接いではならず、晴天のあとに接がなければならない。この接ぎ木法は播種後の日数だけで接ぎ木日を決めると失敗するのである。

図1 断根接ぎ(左)と呼び接ぎ(右)
図1 断根接ぎ(左)と呼び接ぎ(右)

接ぎ木前日と当日が晴れで、午後に接ぐのがよい

 接ぎ木前日と当日が晴天という条件ならいうことはない。接ぎ木を予定している日の一日あとにそういう条件が望めそうなら、苗は少々大きくなるけれども、予定を変更して接ぎ木日を遅らせたほうがよい。同様に、予定日の一日前に条件が揃いそうなら、苗が少々小さくても早めに接ぐぐらいの心構えが必要である。

 晴天が一日しか望めないときは、それが当日に当たるようにする。

 断根接ぎでは、接ぐ時刻も考えなければならない。まず、朝早く接いではならない(同化養分の生産が始まる前である)。午前中もよいとはいえない(同化養分の生産が不十分である)。午前中いっぱい日に当てて午後に接ぐのがよい。

 さて、接いだ後の苗は、水が切り口にすぐ運ばれるよりは、少々不足気味のほうがうまく癒合する。このため、普通、一晩か一日保湿状態で室内においた後、用土に挿す。この挿す時の天候や時刻についても、配慮がいる。

図2 断根接ぎ木前の天候と順化終了時の苗の状態
図2 断根接ぎ木前の天候と順化終了時の苗の状態

挿し木日は曇雨天の午後がベスト

 断根接ぎ木苗は一旦しおれグセをつけると、順化に骨が折れる。しおれグセが最もつきやすいのは挿し木当日である。光が強い中で挿し木をすると、途中でしおれさせてしまうのである。こういう事態を避けるために、挿し木は曇雨天の日に行なうほうがよい。また、晴天日であれば、夕方光が弱くなってから行なうのがよい。作業者にとっても、こちらのほうが快適である。

 苗を作る上で天気は重要な関心事であり、大づかみにいうと、作業は晴天日の午前中に行なうのがよいとされる。断根接ぎ木も天気の影響を強く受ける技術である。しかし、伝統的通念が当てはまらないどころか、逆になっているところがあることを知ってほしい。

図3 挿し木時の時刻や天候と苗のしおれ
図3 挿し木時の時刻や天候と苗のしおれ

*月刊『現代農業』2005 年3月号(原題:断根接ぎ木は当日までの天気で決まる)より。情報は掲載時のものです。

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