茨城・黒田恭正
今月は、現代農業2022年1月号に引き続きリンゴのマルバ台開心形についてです。
6〜10年目までの管理
▼せん定に三つの法則あり
6年目以降、主枝候補枝を健全に育成し、主枝の生育の妨げになる枝を順次外していく。主枝につける側枝の性質を見極め花芽のつきやすい枝(現代農業2021年9月号p196)を残し、徒長させないようにバランスよく育てることが大切である。
主枝は4本を目安に、それ以外は追い出し(下図)をかけながら外していく。せん定には以下のように一定の法則があり、初心者はそれを覚えておけば大きな間違いはしない。
①切るのは枝の上と下……真上の徒長枝や強すぎる枝と、真下に入った枝や花芽のつかなくなった弱った枝を切る。
②3本あったら真ん中を切る……混んでいる部分にはだいたい3本の枝があるので真ん中を切る。
③主枝の元枝(基部付近の枝)を外すときは、隣り合う主枝の真ん中に立って見て、主幹を越えている枝を切る(下写真参照)。
▼枝の育成、心抜きの目安
樹全体の花芽のつき具合や、枝の伸び具合、結実したリンゴを観察し、切り過ぎないように注意して、樹を育てる必要がある。樹勢を早く落ち着かせるためにはできるだけ枝数を残し、芽の数を増やすことである。また、側枝をまんべんなく出しながら先端を伸ばすためには、主枝の角度(30〜40度)が大切である。10年目には主枝が十字形に4本に残るように育てていく。
現代農業2022年1月号で紹介したように、芯は主枝に対する牽制枝の役割を担うので、太らないように抑制して管理する。主枝の先端伸長が30cmくらいに落ち着き、なおかつ上段の主枝の基部付近が芯より太くなった時点で切除(心抜き)する。それ以前に切ってしまうと、傷口がふさがりにくい。定植10年前後が目安である。
10年目以降、側枝の管理
▼主幹まわりに空間をつくる
若木の段階では主幹との距離が短くても花芽はつきやすいが、主枝が太くなってくると主幹に近いほど新梢が強く伸び、側枝も強勢になりやすく、基部からの距離が遠くなるほど、新梢の生長が弱くなる性質がある。これは枝が長くなるほど樹液が維管束を通るときの抵抗が大きくなるためである。この性質が開心形の樹高を低く抑えることを可能にしている。
したがって、主枝が大きくなるにつれて基部から側枝までの距離が必要になってくる。そこで、前記した方法③で主枝の元枝を外していく。これによって、主幹まわりに空間ができ、日光や薬液の透過がよくなる。
▼側枝の配置、更新
また、側枝は上下交互に水平から30度(発出は水平部)で・・・
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