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可愛くて手に取りたくなる ミニダイコンばっかり栽培

使い切り、タイムパフォーマンス…… 現代社会の求める効率性に応えられる品種が直売で大人気です。この記事の清田さん(著者)は、これまで通常サイズのダイコンを栽培し、直売所に出荷していましたが、最盛期の直売所では供給過剰になり、販売本数減少と価格下落の問題が発生。打開策を検討するため、常連客の声を収集し、使い切りサイズの需要が高いことがわかったので、形がいいミニダイコンを袋詰めで販売することにしました。

神奈川・清田悟志

「小太りくん」。450~1200gサイズなら1本、250~440gは2本、150~240gは3本詰めにする。神奈川県や海老名市のキャラクターシールを貼って販売
筆者と、直売所の棚にズラリと並んだミニダイコン。仕切り板でサイズごとにキレイに分け、客が手に取りやすくする

使いきりサイズに需要あり

 自動車業界で20年勤務した後、海老名市の実家にて就農。2025年に14年目を迎えます。30種類以上の野菜にチャレンジしてきましたが、現在は1人農業の効率化を検討した結果、ダイコン栽培に特化。とくにミニダイコンに力を入れています。

 当初から通常サイズのダイコンを栽培していましたが、最盛期には直売所で供給過剰になり、販売本数減少と価格下落の問題が毎年発生しました。打開策を検討するため、常連客の声を収集。「青首ダイコン1本は、使い切る前に傷んでしまう。スーパーのカットダイコンも切断面の衛生が気になるので、最初から使い切りサイズがほしい」「買い物かごや冷蔵庫にそのまま入るサイズだといい」「袋詰めで販売してほしい」など、現在の販売スタイルに至るヒントをいただきました。

「もみじスティック」(中央)と「三太郎」(右、少し大きく育てたもの)
「もみじスティック」(中央)と「三太郎」(右、少し大きく育てたもの)

形がいいミニダイコン4品種

 春播きミニダイコンの面積は5~8a、秋播きは8~10aで、すべてJAのファーマーズマーケットに出荷しています。ミニダイコンの品種は以下の通り。4品種とも、形が先細りせずに丸くなりやすいものを選んでいます。

「味短歌」(カネコ)は寒い時期の出芽に優れ、3月から播種可能。初夏の早い時期から販売できます。

「小太りくん」(雪印)は暑さに強く、8月に播種可能。葉が立性でお互い干渉しにくく、密植に一番向きます。

「三太郎」(タキイ)は、ミニサイズの密植栽培に加え、間引き栽培すれば通常サイズでも販売できます。

「もみじスティック」(ナント)は赤い身が特徴。売り場で目立つアクセントとして、春秋2回播種しています。

 これらに加えて、12月初旬から通常サイズ需要が増加するのに合わせて、抜群に美味しい「おでん大根YR味づくり」(丸種)を年内出荷向けに栽培。さらに年末~年越し品種として、寒さに強い「冬職人」(タカヤマ)をつくっています。

密植で間引きなし

 ミニダイコンはごんべいで播種するため、マルチは不使用。1ウネ2条、株間9~12cmで密にすじ播きし(1粒播き)、間引きはしません。収穫時に葉っぱを切り落とし、洗浄~乾燥後、サイズ別に1~3本ごと袋詰めします。

 直売所では、仕切り板を活用し、サイズ・本数別に客にわかりやすくキレイに並べています。競合スーパーの通常サイズのダイコン相場(100~300円ほどで変動)に合わせて、使い切りサイズ1本(500g)を50~150円、2本1000gなら100~300円で調整します。平日なら多くて120袋、土日は150袋ほどを出荷し、価格設定さえ間違えなければほぼ毎日完売が見込めます。

「味短歌」。ミニダイコンの葉はどれも収穫時に畑で落とす。袋詰め時に白色が映えるし、落とした葉が地力を高める
筆者のダイコン品種
播種後40日の小太りくん。マルチなし栽培のため、中耕除草作業は必須

年明けにも需要が出てきた

 年々認知度も向上し、販売本数は伸びています。以前は年内需要が中心でしたが、12月中旬~2月もミニサイズの需要が増加。お客様からは以下のような感想をいただいています。

 「美白でキレイな荷姿で可愛く、思わず手に取ってしまう」「サイズの種類があっていい(500~1000gの間で50gごと)」「小太りくんがとてもおいしい」「もみじスティックは、酢漬けにすると赤味が増してキレイ」

 現在飲食店とコラボして、小太りくんやもみじスティックを使った料理を提供、SNSも活用し、さらなる認知度アップのために力を入れています。気軽に渡せる手土産としての商品価値が出てきたので、手土産仕様の荷姿も検討中です。

(神奈川県海老名市)

この記事は現代農業』2025年2月号に掲載の内容です

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