神奈川・末永 郁

7年前に脱サラして神奈川県二宮町に移住し、1年間の有機農業研修を経て、現在は仲間と共に畑約80aと田んぼ15a、平飼い養鶏(約500羽)を営んでいます。2021年4月には、食に関心のある方々と共同で「のうてんき」という農コミュニティカフェをオープンしました。自分たちの育てた有機野菜や自然卵を販売したり、食事や惣菜を提供したり、地域の皆様が気軽に立ち寄れる場所を目指して精進しております。
粘りや香りに個性が出る

納豆といえばイナワラのイメージが強いですが、知人からビワの葉で納豆がつくれると聞き、やってみたことがきっかけで、身近な葉っぱに納豆菌がいることを実感しました。そこで、いろんな葉っぱで納豆がつくれるかもしれないと思い、身の回りにある植物で試してみることにしました。ビワの葉は粘りが強めに出たり、イネ科のマコモやベチバーの葉はさっぱりとした味わいになったりと、葉っぱの個性が香りや粘り気の違いに現われ、とてもおもしろいです。
葉っぱ納豆のつくり方
- 一晩水につけてふやかした大豆を、電気圧力鍋で15分茹でる。
- 葉っぱをさっと湯通しして(熱に強い納豆菌以外を殺菌するため)、蓋つき容器に茹でた大豆とミルフィーユ状に重ねる。発酵促進のため、上からきび砂糖を振りかける(小型容器にひとつまみ程度)。
- 容器の蓋を少しずらしてしめ(空気の通り道を作る)、46°Cに保温して16時間発酵させてできあがり(保温庫があると便利)。冷蔵庫で保管し、発酵を止める。
*できたてよりも1~2日置くとまろやかな風味になり、よりおいしい。

いろんな葉っぱでチャレンジ
コミュニティカフェのワークショップでも、葉っぱを使った納豆づくりを楽しんでいます。身近な素材で特徴的な納豆に仕上がるため、チャレンジ精神をもって取り組めます。マツの葉は粘りがあまり出ずにうまくいかなかったり、ハーブ類の中でも、ローズマリーはほどよい香りのハーブ納豆になりますが、ラベンダーは苦みが強く出ておいしくできなかったりと意外な発見があります。イナワラがもっともポピュラーな素材として使われることを考えると、農業でよく利用されるイネ科緑肥(ソルゴーやエンバク)で納豆づくりを試してもおもしろいかもしれませんね。
(神奈川県二宮町)
この記事の詳細は『現代農業』2024年11月号をご覧ください。
『現代農業』2024年11月号「農家の手づくり納豆がおもしろい」コーナーには、以下の記事も掲載されています。ぜひ本誌でご覧ください。
- 無農薬のイナワラが売れる 親子に人気のワラづと納豆キット 伊勢崎まゆみ
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