現代農業2024年8月号は、「バイオスティミュラント」大特集! 本誌で紹介したバイオスティミュラントのうち、家庭でも作れそうな4種について実際に作ってみました!
現代農業WEBでは、本誌で載せきらなかった詳しい手順をお届けします。
酢酸カルシウム(通称:卵酢)

高温乾燥時に起こりやすい作物の「カルシウム欠乏」は卵酢で改善!高温乾燥や日照不足などのストレス軽減が期待できる卵酢で、作物の夏バテを防ぎましょう。

バイオスティミュラントってなに?
今世界中で大注目の農業資材「バイオスティミュラント」。直訳すると「生物刺激剤」のこと。腐植質、海藻、アミノ酸、鉄、ビタミン、微生物資材などまで幅広く、いわゆる肥料でも農薬でもなく、植物になんらかの刺激を与えて収量・品質をよくする資材のこと。まったく新しい資材というわけではなく、例えば、これまで現代農業で取り上げてきた光合成細菌や、酢、酢酸カルシウム、タンニン鉄などもバイオスティミュラントといえる。
今回の実験は、現代農業2020年9月号p.62~63で紹介された「高温乾燥時の石灰欠乏に 安くてよく効く、酢酸カルシウム」の著者、古藤俊二さんの作り方などを参考につくりました。

準備

材料(200ml分)
・食酢 200ml
・卵の殻 3つ分
あると便利なもの
・プラスチックのカップ
・卵の殻を砕くめん棒
・水切りネット
・ペットボトル容器(保存する入れ物)
①卵の殻を砕く

よく乾かした卵の殻を砕きます。できるだけ粉々にしたほうが溶けやすいですよ

乾かす時間がなければ、フライパンで炒ってもOK!
②酢に入れる

食酢(200ml)に、砕いた卵の殻を入れます。卵の殻が溶けやすいようにかるく混ぜます。
③反応がおわるまで待つ

なんかシュワシュワ音がしてきました!卵の殻が浮いたり沈んだりしながら食酢と反応しているのがわかります。
反応が止まるまで、一晩放置。
完成!

一晩放置し、シュワシュワ(反応)しなくなった卵酢を濾せば完成です。すぐに使わない分は冷蔵庫で保存しましょう。
使うときの希釈倍率は、約100倍です
(おまけ)さっそく使ってみよう!

卵酢は水で約100倍に希釈して使います。ジョウロの中で直接混ぜるとラクですよ。

濾した後に残った卵の殻も、そのまま肥料になります。株元に撒いておきましょう(手が臭くなるので手袋をしたほうがよさそう)
効果はいかに・・・?

卵酢の効果を確かめるべく、カボチャの苗に約1週間、卵酢をかん水のときにまぜてみました。
すると、卵酢をまいたほうは、子葉も緑色で葉のハリがよくピンピンしています。徒長もしていないようです!
野菜苗の育苗に限らず、これはベランダで植物を育てるときにも使えるかも!?
(おまけ2)保存はいかに・・・?

お酢って常温保存でも大丈夫でしょ?なんで冷蔵庫で保存なの?と思ったそこのアナタ。鋭い質問です!
食酢を卵酢にすることで、カルシウムが溶けだしてpHが中性に変化するため、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
また、卵酢にすることで、液が若干卵臭くなるので、なんとなく常温に長く置いておきたくない感じです。
そのため、「現代農業WEB」では、できあがった卵酢は冷蔵庫で保存をし、早めに使い切ることをオススメします。
「つくってみた! 手作りバイオスティミュラント」シリーズ
2024年8月号の「発酵&酢酸カルシウム―細胞が固くなる」コーナーでは、本実験のほか、以下の記事も収録されています。ぜひ本誌でご覧下さい。
- 酢酸カルシウムでピーマンのスタミナアップ 連日40℃超えでもがんばった 辻安廣
- 発酵カルシウム&ブドウ糖で光合成の手助け ミニトマトの高温障害が少なかった 三浦政夫
- 【激夏に耐えたヒミツ】発酵&酢酸カルシウム
