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令和7(2025)年
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あああ

【作ってみた! 手作りバイオスティミュラント】光合成細菌

バイオスティミュラントは、植物の成長を促進する画期的な農業資材(液体資材)として注目されています。肥料や農薬とは異なるこの資材のなかには、酢酸カルシウムや光合成細菌など、自分で手作りできるものもあります。今回は「光合成細菌」の作り方を解説します。

光合成細菌

培養に成功した光合成細菌はまるでトマトジュースのよう

作物の増収や生育促進、品質向上効果などがあるといわれる光合成細菌。最近では、耐寒性や耐塩性、耐干ばつ性、耐低日照性などが強化されることもわかってきました。

ところでこの光合成細菌、元菌が市販されていますが、けっこう高価です。農業用に使用するなら予め増やしておく必要があります。近年の頻発する異常気象に備えて、光合成細菌をいまのうちに殖やしておきましょう!

バイオスティミュラントってなに?

今世界中で大注目の農業資材「バイオスティミュラント」。直訳すると「生物刺激剤」のこと。腐植質、海藻、アミノ酸、鉄、ビタミン、微生物資材などまで幅広く、いわゆる肥料でも農薬でもなく、植物になんらかの刺激を与えて収量・品質をよくする資材のこと。まったく新しい資材というわけではなく、例えば、これまで現代農業で取り上げてきた光合成細菌や、酢、酢酸カルシウム、タンニン鉄などもバイオスティミュラントといえる。

今回の実験は、『現代農業』2023年10月号(p.145~149)「仲間と殖やす光合成細菌 春ネギ・初夏ネギの2L率が大幅アップ」などを参考につくりました。

培養に成功した光合成細菌はまるでトマトジュースのよう
培養に成功した光合成細菌はまるでトマトジュース

準備するもの

材料(約500ml分)

・光合成細菌 5ml

・エビオス錠 3粒

・水 500ml

あると便利なもの

・ペットボトルのフタ

・ペットボトル容器(保存する入れ物)

・使い捨ての手袋

つくり方

①水に元菌を入れる

水(500ml)を入れたペットボトルに、光合成細菌の元菌(5ml)を計っていれる。

*ペットボトルのフタ(約5ml)を使うとラク!

②エビオス錠を入れる

光合成細菌のエサとなる酵母を入れます。市販のものだと、「エビオス錠」が使えます。3粒入れます。

③よく振る

ペットボトルのフタを閉め、空気を遮断します。光合成細菌は嫌気性のため、空気が無いところで増えるのです。

エビオス錠が溶けるように、よく振ります。

④日の当たる暖かいところで培養する

光合成細菌

日の当たる明るいところで約1週間培養します。温度は30℃くらいがよいですが、あまり気にしすぎなくて大丈夫。寒いとき時はヒーターなどを使って温めてあげるのがよさそうです。

⑤完成!

光合成細菌

左が培養したもの、右が元菌です。いかがでしょうか!

色が薄くて少々心配でしたが、ちゃんと赤くなりました!

完成の目安は、赤褐色になるまでです。

使うときの希釈倍率は、10倍です

使用する際の注意点

光合成細菌はニオイが気になる!

完成した光合成細菌は……まるでドブのようなニオイ!さらに元菌のボトルをあけると部屋中にニオイが充満!手についたニオイもなかなかとれない……。

仕込み中のニオイが気になる人は、屋外(室内ならばよく換気をして)で、使い捨ての手袋などをつけることをおすすめします。

(おまけ)光合成細菌をうっかりこぼしてしまった!そんなときは……

ああ!うっかり光合成細菌をこぼしてしまった!

そんなときは、「フルボ酸液」!

今回取り組んだ手作りバイオスティミュラントのひとつ、「フルボ酸液」は、アンモニア臭などのイヤなニオイを消す効果もあるらしい。

ということは、硫化水素をエサにする光合成細菌のニオイも消えるのでは?と思い付き、光合成細菌を数滴垂らした布にフルボ酸液をかけてみると……

あらビックリ、きれいに消臭されて、赤色も消えた! 

フルボ酸液があれば光合成細菌をうっかりこぼしてしまったときにも安心。

そのフルボ酸液の作り方はこちら

あわせて読みたい

『現代農業』2024年8月号「光合成細菌―環境ストレスに強くなる」コーナーでは、以下の記事も収録されています。

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