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野草コンフリーが使える! 自称・コンフリーの広報担当者 簡単液肥、マルチ、堆肥、苗販売も

現代農業2023年10月号「野草コンフリーが使える!」コーナーのなかから、畑にはびこる雑草のコンフリーを液肥や畑のマルチに使っている圓城寺さん(茨城県)の記事の一部を公開します。

2023年10月号「野草コンフリーが使える!」コーナーでは、この記事の他に、手作り「有機液肥」特有のイヤなニオイをやわらげる実験が掲載されました。現代農業WEBでは、本誌では載せられなかった実験のようすや裏話を公開しています。ぜひあわせてご覧ください。

【実験の裏側】野草コンフリーでにおわな液肥をつくってみた
【実験の裏側】野草コンフリーでにおわな液肥をつくってみた

茨城・ 圓城寺とく子

ペットボトルに仕込んだコンフリー液肥。後ろは開花期のコンフリー。繊維が少ないので、すぐ葉の分解が始まる (赤松富仁撮影)
ペットボトルに仕込んだコンフリー液肥。後ろは開花期のコンフリー。繊維が少ないので、すぐ葉の分解が始まる (赤松富仁撮影)

花に惹かれて植えた

 私は自宅の庭と隣接する約10aの畑で野菜と草花の苗を栽培して、JAの直売所に出荷しています(2023年8月号p80)。義父母が通常農法(化学肥料を使用)で家庭菜園をしていた畑を任されて、有機無農薬に転換しました。無煙炭化器で草木灰を作り、大量の落ち葉や米ヌカ、生ゴミなどを何でも無駄なく利用し、堆肥化して畑にすき込むこと 20 年。以前は土がカチカチでナスの青枯れ病などに悩まされていましたが、今ではずいぶん改善され、私が目標とする森の土に近づいてきました。

コンフリーを持つ筆者 (写真はすべて赤松富仁撮影)
コンフリーを持つ筆者(写真はすべて赤松富仁撮影)

 コンフリーに出合ったのは5年ほど前。おもしろい植物があると知人から苗を譲ってもらいました。育ててみると初夏に宝石のような紫色のベル状の花がうつむきかげんに咲く姿に惹かれました。明治時代に観賞用として栽培されてきたことにもうなずけます。濃い緑色の大きな葉が夏の間中繁茂して涼しげです。

花もかわいいコンフリー 花期は5~7月の初夏
花もかわいいコンフリー 花期は5~7月の初夏

万能有機肥料になる !?

 初めはほんの小さな株でしたが、翌年には大株となり、周りの植物をのみ込む勢いになりました。困った、何かに利用できないかな。私の「もったいない病」が頭をもたげます。調べていくと、イギリスでは以前からコンフリーが有機肥料として利用されていることがわかりました。花や果実には植物の生育に不可欠な栄養素であるカリが多く含まれているといわれています。ほかにもチッソやカルシウム、リン酸なども豊富に含まれているとのことから、私も液肥やマルチング、堆肥など多用途に使うようになりました。

 繁殖力の旺盛なコンフリーが「厄介者」の雑草扱いされることもありますが、私にとって何とも逞しく、健気で強力な助っ人になっています。わが家の年間通しての使い方をご紹介します。

すぐ溶けて チッソ豊富な肥料になる

▼ コンフリー液肥

 発酵臭が強いので、私はペットボトルで作る方法をおすすめします。用意するものは三つ。

  • 空のペットボトル(1~2L)
  • コンフリーの生葉

 作り方も簡単です。コンフリーの生葉を切らずにペットボトルの約半分ほどに押し込みます。発酵するときにガスが発生するので、フタを緩く閉めて常温で保管。ときどきフタを全開にしてガス抜きをします。

 作る時期によって完成するまでの日数は違いますが、2~3日でもう葉が溶けて液が着色。発酵臭もキツくなってきます。そのまま置いて、1~2カ月してにおわなくなったら完成です。茎葉ともにほぼ分解されて黒い液体になります。ネットで濾してから原液を15倍ほどの水で薄め、野菜や庭に植えた植物の周りの土にかけて使います。

 コンフリーは毎年、5~10月に葉を収穫できますが、秋遅くになるとさすがに枯れ込んできます。私はその前に株元近くで刈り取り、乾燥させて保存します。そして、生葉がない 11~4月は、つなぎとしてこの乾燥葉で液肥を作ります。分解速度を早めるために葉をできるだけ細かくちぎってネット状の袋の中に入れ、水を入れたバケツに重しを載せて沈めます。葉が見えなくなったら時おり補充。水が蒸発したり、葉の量が多かったりして完成した液肥の色が濃いときは、希釈倍率を変えて加減します。コンフリー液肥をかけると、よい野菜苗などができます。

抑草&肥料効果で一石二鳥

生ゴミコンポストにもコンフリーをどんどん投入
生ゴミコンポストにもコンフリーをどんどん投入

▼ コンフリーマルチ

 コンフリーが繁茂する夏場は、周囲の植物に悪影響を及ぼすほどに葉が広がります。邪魔だと思ったら刈り取り、植え付けた野菜苗のまわりにマルチングします。散水や雨が多いとすぐ形が崩れ、3日ほどで真っ黒に変化。他の雑草と比べると繊維質が少ないためか、有機物マルチの分解スピードが早く感じられます。コンフリーの成分がほどよく溶け出ているようで、肥料効果も少し期待しています。今年の夏は暑く乾燥した日が続きますが、今現在コンフリーマルチをしたサトイモの葉は近所より大きくよい生育です。

▼ 堆肥

 家庭から毎日出る生ゴミや野菜などの残渣は、すべてコンポストで堆肥化しています。その中へも増えすぎたコンフリーを時おり入れています。堆肥の肥料分が増すのではないかと思っています。

コンフリーの魅力を知ってほしいから、苗も売る

苗のつくり方
苗のつくり方

 私はコンフリーをいろいろな人に育ててほしいので、鉢上げして直売所で苗を売っています。早春、新芽がわずかに出てくる時期に、前年の根茎(塊茎)を掘り起こします。株が大きければ、鉢上げするポットの大きさに合わせて切り分け、腐葉土主体の培土に植えます。ほどよく葉が茂ったら、出荷です。

 畑の空いたスペースに根ショウガを植え込むようにして殖やすこともできます。根が少しあるだけで、目が飛び出るほど簡単に増殖します。

 コンフリーは繁殖力が旺盛でとても丈夫で枯れにくい植物です。苗の対面販売の時に「まずは1鉢お買いになってからようすを見てください」とお客様に伝えています。ある日、興味津々にコンフリーの苗を見ていた方が、おもむろに3鉢ほど買い物かごに入れるところに遭遇しました。「1株で十分ですよ」と思わずいってしまいました。私がやったように簡単に殖やせるからです。そんな商売っ気のない(笑)正直な売り方をしています。

 売り場に花や液肥の見本を並べた効果もあったのか、2年で30鉢程度(1鉢税込190円ほど)売れました。肝臓障害などを起こす事例が報告されているため、食用での販売は禁止されており、売り場のポップには、食べることはできないことを明記して注意喚起しています。

愛されキャラに 押し上げたい

 日頃感じていることですが、コンフリーの近くで育つ野菜は生長スピード、収穫量ともによい感じです。それに、虫害や病気も気にならないのです。文献には次のようなことが記されています。「コンフリーは地中深くに根を張る植物で、地表近くに水やミネラルを運ぶ力がある。その効果で周りの植物も一緒に育つことができ、植物の医者といわれている」。また、葉が大きく陰ができるからか、株周辺の雑草を抑制する能力も高く、わが家ではびこっていたミントでさえも息をひそめる有様です。

 いい点ばかりを挙げましたが、裏を返せばあまりの繁殖力に周りの植物を凌駕して、野菜づくりの邪魔になる「残念な植物」ともいえます。でもコンフリーの特性を熟知して使用方法を間違えなければ、これほど手間なく増えに増え、使いたい放題の液肥を無尽蔵に作れたら、幸せな気分になれるのでは。

 環境問題やSDGsがクローズアップされる今日、今まで厄介者(嫌われ者)として肩身の狭い思いだったであろうコンフリーが、近い将来「愛されキャラ」として再認識される日が来ることを、自称・コンフリーの広報担当者として大いに期待しています。

現代農業2023年10月号の本誌(紙・電子書籍版)では、手作り液肥についての以下の記事も全て読めます。ぜひご覧ください。

  • お友達歴 20 年 コンフリーは畑にいつもある肥料  奥村陽子

  • 実験 どうにかならないの !?  コンフリー液肥の悪臭

  • ヤクルト で油粕液肥のニオイをやわらげる  安藤康夫

  • 仰天効果が続々!  発酵カルシウム   三浦政夫

今月号のイチオシ記事

 2023年10月号の試し読み 

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今月号のオススメ動画

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異常気象が頻発し、肥料が高騰するなか、持続可能な農業が待ったなしの状況だ。本書は、地力=土の生産力アップに欠かせない身近な有機物(米ヌカ、モミガラ、落ち葉、竹、廃菌床、家畜糞など)や市販有機質肥料の選び方使い方を一挙収録。作物の有機吸収やバイオスティミュラントなど最新研究のほか、不耕起栽培や有機物マルチ、緑肥栽培など農家の使い方まで収録。

農家が教える よもぎづくし(別冊現代農業2023年4月号)

よもぎ座布団・よもぎ蒸し・草もち・よもぎ栽培・減農薬

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よもぎは古くから私たちの食や健康に寄与してきた、もっとも身近で人気の高い野草のひとつ。その用途は多岐にわたり、農家のよもぎ活用パワーはとどまるところを知らない。本書では『現代農業』の記事などをもとに、摘み方や保存法、色をよく仕上げる下処理のコツや、農家の考えたあっと驚くよもぎの活用方法を紹介。腰痛が治ると話題の「よもぎ座布団」や、草もちをふわふわな食感にする驚きの材料、さらにはよもぎエキスを使った野菜づくりの極意に、自生しているよもぎを早期出荷して稼ぐ方法など、よもぎの魅力が満載の一冊。