栽培のコツ 2022年 試し読み 9月号 果樹 ブドウ新短梢栽培 ワクワク奮闘記(11)害虫とのたたかい サビダニ編 2022-08-05 長野・丸山三恵子 シャインマスカットと筆者(赤松富仁撮影) サビダニに効く剤は限られる 8月のお盆前、道路側の葉の色が、赤黒いのに気づきました。栄養不足でも日焼けでもなさそうです。何かの病気かと思い、葉の表裏をルーペで観察すると、小さな小さな黄色っぽい虫が葉の表側にだけモゾモゾと動いていました。調べると、サビダニでした。 ある人にすすめられて、消毒にアーデントフロアブル剤を使いました。ブドウではアザミウマやコガネムシに登録がありますが、サビダニの登録はありません。大丈夫かな?と思いつつも、SSに乗って立ちながらピストルノズルで棚上から葉表にかけていきました。 ルーペで観察すると、農薬のかかったサビダニは、ピクリとも動きません。退治できたなと安心していたら、お盆を過ぎてサビダニの被害葉が広がっていました。(ヤツはあのとき死んだふりをしていたのか……) 高価な農薬ですが、やっぱり効かないようです。 その後、ハダニに登録のある農薬はたくさんあっても、サビダニに効く剤は限られていることを知りました(ブドウでの登録は6剤)。同じダニの仲間でも、ハダニとサビダニはまったく違って、ハダニは8本足でサビダニは4本足なのだとか。 ブドウサビダニ。梅雨明けの高温乾燥時に発生し、結果母枝や2〜3年枝の粗皮下に成虫で越冬する 「病気的な害虫」として予防的防除を 翌年には、葉色を見て、サビダニがいる場所に目印のヒモを付け、棚上からの部分消毒をしました。ところが、見落とした場所があり、その後にまた発生してしまいました。その園に1カ所でもサビダニの被害葉を見つけたら、全体を消毒しないといけないと学びました。 さらに、田代暢哉先生の『果樹の病害虫防除』(農文協)を読んで、肉眼では見えないサビダニやハダニは害虫というよりは「病気的な害虫」と捉えるべきだと知りました。被害葉を見つけようが見つけまいが、ブドウの生育に合わせて毎年同じ時期に発生しているものだと考えます。今は「病気的な害虫」として、晩腐病やべと病と同じように防除暦を作り、予防的防除に心がけています。 当園では袋掛け後の1回目の消毒(7月下旬〜8月上旬)にコロマイト水和剤を加えます。これで毎年大丈夫ですが、その後に赤黒い葉を見かけたら、8月中旬にマイトコーネフロアブルを単剤で打つようにしています。 道路脇から発生するのはなぜ? 昨年のように8月に降雨続きの年は、不思議とサビダニの赤黒い葉は見つかりませんでした。葉表にいるサビダニは、雨で流されてしまったのかもしれないと想像しています。 また、不思議なことにサビダニは園地の道路脇から多く出ます。なんでだろう?とずっと思っていました。あるとき、道路脇の電線にずらっと並んでいるムクドリの存在に気づきました。袋の中のブドウをつつきたくってうずうずしている鳥たちです。飛び立つときに羽毛がふわっと舞い落ちる、そこからサビダニがブドウ園に入ってくるのかもしれない? きっとそうに違いないと考えましたが、そもそもサビダニは鳥の羽にどうやって移動するのだろう? ちょっと苦しい推理です……。道路脇からサビダニが発生する理由、どなたか教えてもらえませんか? (長野県塩尻市) 「ブドウ新短梢栽培 ワクワク奮闘記」の連載は11月号で最終回を迎えました。好評だったこの連載記事はルーラル電子図書館でご覧いただけます。 ・第1回 せん定にかかる時間は、10分の1(2021年8月号) ・第2回 主枝はどこまで切り戻す?(2021年9月号) ・第3回 摘心のタイミングはいつ?(2021年11月号) ・第4回 やきもちやきの女の子 シナノスマイル(2021年12月号) ・第5回 露地でも裂果させないナガノパープル(2022年1月号) ・第6回 ライ麦とミミズが土をつくる(2022年3月号) ・第7回 長梢せん定も楽しい(2022年4月号) ・第8回 作業性バツグン、新短梢棚(2022年5月号) ・第9回 害虫とのたたかい トラカミキリ編(2022年7月号) ・第10回 害虫とのたたかい コナカイガラムシ編(2022年8月号) ・第11回 害虫とのたたかい サビダニ編(2022年9月号) ・ 第12回・最終回 早期発見、早期治療 白紋羽病(2022年11月号)現代農業WEBで試し読みできます 2022年9月号を注文する 最新号を注文する 最新号から定期購読する 過去のバックナンバーをみる 2022年9月号の試し読み 〈肥料は光合成細菌だけ!〉プールで培養、原液散布、無施肥でジャガイモの収量4.5t 〈光合成細菌の殖やし方〉温泉水とえひめAIで爆速培養 〈炭疽病で痛い目に遭わない イチゴの育苗&定植〉夏に余裕ができた「未分化定植本圃増殖栽培」 9月号の読みどころへ戻る だれでもできる果樹の病害虫防除 田代暢哉 著 果樹防除のコツは散布回数よりタイミングと量が大事。とくに生育初期はたっぷりかける!など、本当の減農薬を実現させるための〝根拠〟に基づく農薬知識、科学的防除法を解説。たしかな「防除力」を身につける。 Tags: ブドウ新短梢栽培, サビダニ, シャインマスカット, ブドウ