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【チバッてます! 沖縄雑穀生産者組合】第1話:五穀の島・沖縄からハイサイ

中曽根 直子

モチキビ、タカキビ、アワなど、いま雑穀がおもしろい。雑穀とは、コメやムギなどの主食にするもの以外の穀物をさします。ぷちぷちとした食感で滋味じみがあり、健康や代替肉など、持続可能な食料生産と食生活という点で改めて見直されています。従来産地が高齢化で生産量が落ちている一方、国産雑穀のニーズは旺盛で、いま“稼げる”チャンスともいえます。そこで、五穀料理研究家で沖縄雑穀生産者組合の中曽根直子さんに、雑穀づくりのおもしろさや可能性、地域の再生へむけた取り組みについて、連載でご紹介いただきます。

*連載タイトルの「ちばる」とは沖縄の方言で「頑張る」の意。よくチバリヨーって聞きますよね

タカキビ

はじめまして!那覇で「浮島ガーデン」というヴィーガン・カフェを運営しながら、「沖縄雑穀生産者組合」の組合長をやっています中曽根直子です。この連載では、沖縄の個性的な雑穀農家のことや五穀にまつわる農耕儀礼・伝統の食文化・驚きの予言など、他県とは一味違う沖縄ならではの雑穀=五穀の物語をお伝えしてまいります。

写真1*高キビタカキビ畑に立つ筆者(波照間島のとんちぇ農園)
タカキビ畑に立つ筆者(波照間島の五穀農家・とんちぇ農園にて)

雑穀の美味しさに目覚め、レストランをオープン

まず、どうして私が雑穀組合を立ち上げたのか?という話からしますね。

今から20年前、私はフリーの放送作家をやっていて、不規則な仕事と食の乱れから体調を壊し、ベジタリアンになりました。いま考えると必然としか思えないのですが、この時、本屋さんで雑穀料理と出会い、アワのドーナツをつくってみたら猛烈に美味しくて、不思議なことにどうしても雑穀料理を習いたいと思い、大谷ゆみこさん(雑穀料理の第一人者)のつぶつぶクッキングに通い始めて人生が劇的に変化。穀物菜食で心と体が生まれ変わりました。大谷さんから直々に3年間、お料理を学ばせてもらい、すっかり雑穀の美味しさとパワーに目覚めた私は、2011年、雑穀を使ったヴィーガン・レストラン「浮島ガーデン」を沖縄でオープンさせます。

写真2*浮島ガーデンの料理
浮島ガーデンの料理

雑穀が手に入らない!?

沖縄にはもともと様々な雑穀が栽培されていたのですが、私が移住した2009年はモチキビ以外の雑穀は手に入らない状況でした。タカキビは自家用で在来種を栽培している方はいましたが譲ってもらえず、ヒエはもともと沖縄にはなく、アワは探しても探しても見つからない状況でした。

後からわかったことですが、アワは農家ではなく、地域のお祈りを任されている司(つかさ)が栽培していました!!これについては、またあらためて書きます。

写真3*波照間島とんちぇ農園もちきびモチキビ畑の様子(波照間島・とんちぇ農園)
モチキビ畑の様子(波照間島・とんちぇ農園)
アワなどの穂を持つ石垣島の司・荻堂久子さん
アワなどの穂を持つ石垣島の司・荻堂久子さん

私の「スワデーシー運動」

さて、浮島ガーデンをオープンさせた2011年当時の沖縄は、食料自給率が23%ととても低く、今でも農作物のほとんどはサトウキビというプランテーションの島。スーパーに並んでいる野菜のほとんどは県外産で、県民に親しまれているいわゆる島野菜は農協の直売所や専門店に行かなければ手に入らない状況でした。そして大学生の頃から沖縄に通っていた私は、その頃と比べて海が汚れていることがかなり気になりました。色々調べてみたら、その汚染の原因の多くが農薬と化学肥料だとわかり、はじめて自分が食べているものが環境汚染の原因であることに気づいたのでした。

そこで私はお店で使う野菜や穀物はすべて有機農産物でまかなおうと決め、さらに、マハトマ・ガンディー(インド)の「スワデーシー運動」のように県産であることにこだわりました。沖縄で採れた有機野菜・穀物を使えば、沖縄が豊かになり、環境もよくなると!

というわけで、「お店をやりながら自分で栽培したタカキビのタネ(野口種苗・岩手県産)を農家さんに配ってまわり、栽培者を増やす」という活動を2011年から続けてきました。

五穀伝来伝説の島と古波蔵節子さんの雑穀

最初に「タカキビのタネを播くよ」と言って下さったのが、久高島の古波蔵節子さんです。
久高島は沖縄好きな方はよくご存知だと思いますが、「五穀伝来伝説」が残る神の島。

写真5*五穀のタネが入ったひょうたんが流れついたといわれる伊敷浜
五穀のタネが入ったひょうたんが流れついたといわれる伊敷浜
最初に五穀のタネ種が最初にまかれた播かれたという伝説のが残る畑。・沖縄の農耕の始まりの場所
最初に五穀のタネが播かれたという伝説の残る畑

五穀伝来伝説と節子さんについては下記サイトでも詳しく書いています。ぜひ、読んでみてくださいね。

出会った当時、節子さんは台風で在来種のタカキビ「トーナチン」のタネをすべて失ってしまった時でした。しばらくは私がお渡ししたタカキビで栽培をしていましたが、数年経つとやっぱり在来種が美味しかったからと、奥武島から在来種を手に入れて来られて、現在は在来種のタカキビを栽培しています。

久高島のトーナチン畑で作業中の古波蔵節子さんの息子の古波蔵久さん。実を鳥に食べられないようネットがけ
久高島のトーナチン畑で作業中の古波蔵節子さんの息子の古波蔵久さん。実を鳥に食べられないようネットがけ
写真9* 数種の雑穀をミックスした商品「久高島五穀」 キャプション(浮島ガーデンWEB SHOPにて販売中) https://ukishimagarden.stores.jp
久さんはヒエの栽培にも挑戦してくれました!

ところで節子さんですが、有名な秘祭「イザイホー」でナンチュ(神女)になり、島の神行事を50年も支えてこられた方です。

そんな節子さんに栽培してもらったありがたい雑穀のブレンドがこちら。浮島ガーデンでつくったはじめてのオリジナル商品です。

数種の雑穀をミックスした商品「久高島五穀」 キャプション(浮島ガーデンWEB SHOPにて販売中) https://ukishimagarden.stores.jp

数種の雑穀をミックスした商品「久高島五穀」(浮島ガーデンWEB SHOPにて販売中)

この雑穀ミックスにはタカキビの在来種(トーナチン)のほか、伊江島から手に入れた在来種の裸麦「江島神力」、今ではほとんど誰も栽培していない島小豆「赤マーミー」など、節子さんが栽培した貴重な雑穀に、西表島産の紫黒米(古代米)と波照間島産のモチキビがブレンドされています。

ハダカムギの畑と節子さん
ハダカムギの畑と節子さん
トーナチンを脱穀中の節子さん
トーナチンを脱穀中の節子さん

今回はこれまでの私の取り組みをざっくりとお伝えしましたが、次回は沖縄屈指の五穀農家の取り組みをご紹介します。

写真1*高キビタカキビ畑に立つ筆者(波照間島のとんちぇ農園)

中曽根 直子(なかそね なおこ)

北九州市生まれ。五穀料理研究家。沖縄雑穀生産者組合 組合長。

2011年、島野菜と雑穀を使ったヴィーガン・レストラン「浮島ガーデン」を那覇にオープン。沖縄の在来雑穀の復活と種の保存、生産拡大のため「沖縄雑穀生産者組合」を立ち上げる。料理教室や農業イベント(農家と消費者をつなぐマルシェ)、食の映画祭など主催してきた他、沖縄雑穀生産者組合や島野菜の宅配「ベジんちゅ」を立ち上げるなど様々な活動を通して、沖縄の長寿復活に全力投球中。

インタビュー映画のご紹介「ユバナウレ 〜五穀の祈り〜」

昨年夏に撮影したインタビュー映画をご紹介します。

30分程度の短い映画ですが、半世紀以上、五穀栽培に携わってきた竹富島の長老をはじめ、タカキビ栽培をスタートさせた元サトウキビ生産組合長など、島々の農家さんたちが登場します。なぜ、この映画を撮ったのか、詳しくは沖縄雑穀生産者組合のYouTubeに書いてありますので、ぜひ、読んで下さい。インタビュー、面白いですよ〜。

チバってます!沖縄雑穀生産者組合

【チバッてます! 沖縄雑穀生産者組合】

そだててあそぼう

アワ・ヒエ・キビの絵本

古澤典夫 編

及川一也 編

沢田としき 絵

雑穀類は、長寿食やアレルギーを抑える効果などで注目されている、野性的で栄養タップリのパワフル作物。古代ヨーロッパ人や、お米より古くから縄文人も食べていた大切な主食だった。雑穀の栽培と料理に挑戦しよう。

進化する雑穀 ヒエ、アワ、キビ

新品種・機械化による多収栽培と加工の新技術

星野次汪 著

武田純一 著

ヒエ・アワ・キビを現代に甦らせる、健康機能性と省力機械化栽培最新情報

みうたさんのからだにやさしい雑穀レシピ

ごはんからおかず・スープ・おやつまで

江島雅歌

浸水なし!気軽に、手軽に楽しく使うのがみうた流。キビやタカキビの炒めもの、押し麦のサラダ、ヒエのポタージュ、キヌアのゼリーなど、いろんな食感、おいしく大変身。からだに元気をくれる雑穀8種のレシピ60。