栽培のコツ 試し読み 2023年 野菜・草花 5月号 サトイモの水田栽培 列島北上中 2023-03-31 全国でサトイモの「水田栽培」が拡大中! 実はサトイモ、水田でもつくれちゃうのです。しかも、水田でつくると、雑草を抑えたり、コガネムシ害が減るなどのメリットもあり。現代農業2023年5月号の野菜コーナーのなかから、編集部イチオシの記事の一部を試し読みとして公開します。 栃木・ 小倉 稔 入水直後のサトイモ畑。プールの堤防を作ったときに余っていた種イモがたまたま発芽した (提供:上都賀農業振興事務所) 豊富な水資源が生かせる 私は定年1年前にアスパラガスを始め、以来水稲との複合経営でした。現在は水稲2.5ha、サトイモ39a、ハウスブドウ25a。サトイモは昨シーズンで3年目です。18aから始め、現在の面積まで広げました。 水田のサトイモ栽培は、振興事務所の方からさそわれたのがきっかけです。私が住んでいる上都賀日光地区は豊かな水資源があります。サトイモの湛水栽培(水田栽培)なら地域の特色を生かせるから検討してみては、といわれました。 また、アスパラガスは屈む作業が多く、年齢とともに体が辛くなってきたためやめようと思っていました。そこで、2020年にサトイモ栽培をスタート。アスパラガスは22年にやめて、空いたハウスで娘がブドウをつくっています。 初期除草は必要 種イモ植え付け機でウネ立て・植え付け・マルチ張りを同時に行なう サトイモの栽培スケジュールは、植え付け約1カ月前の3月から始まります。もともと水田なので、サトイモを栽培するにはカルシウムなどが足りません。土壌分析をもとに石灰や鶏糞など肥料を散布します。4月になったらすぐ、種イモを植え付け。1条植えで株間40〜45㎝、ウネ間110〜120㎝、ウネの高さは18〜20㎝くらいです。1カ月ほどしたら、マルチ穴をカッターで開けて芽出しします。 7月中旬から下旬の梅雨明けまでは、雑草の処理や病害虫に注意しながら育てます。除草剤代とイモへの影響を減らすため、通路の草はナイロンコード式の刈り払い機で気になったときに3回ほど除草。7月ごろになるとダニやアブラムシが増えるので、その都度防除します。被害が大きいと、葉が小さくなり、減収してしまうので欠かせません。 プールを作って水温アップ 梅雨が明けるころ、畑へ水を徐々に流し入れます。この地区では、農業用水に山の雪解け水を使っています。7月下旬でもまだ冷たく、サトイモの生育が遅れる心配がありました。 そこで、水口とウネの間にプールを設置。水をいったんプールへ溜め、そこからあふれた水を通路に流し、奥尻の水抜き(水尻)までかけ流します。水量が豊富なので、プールには10 分ほどで水が溜まります。こうして、水温を1〜2℃上げることができました。 水深を浅く間断かん水 ウネと水口の間に高さ20 ㎝ の堤防を作り、水を溜めて水温を上げる。 値段のいい時期にサトイモを掘るため、イネ刈りは9月下旬に中断。値段が落ち着く10月中旬に再開する 通路に張る水を深くする必要はなく、5〜6㎝で大丈夫です。1週間水を入れ、そのあと1週間は入れない間断かん水。これを1カ月ほど行ないます。最初の2年間はサトイモの水田栽培が始まった鹿児島県のように(2020年7月号p158)水を深く張り、湛水状態にしていました。多少空気が入るほうがいいのではないかと思い、水深を浅くして間断かん水にしてみたら減収しなかったので、今はこの方法で栽培しています。 かん水は8月いっぱいで終了します。入れ始めの時期は…… 詳しくは2023年5月号をご覧ください 2023年5月号「野菜・花」コーナーでは、この他にも以下の記事も掲載しています。ぜひ本誌でご覧ください。 【新連載 植物生理&環境データ】夏秋ミニトマトの栽培がガラリッ(鳥取・三谷康二郎さん) 【オランダ農業に学ぶ8】かん水を絞らなくても暴れない 斉藤章 作業時間が3分の1に トマトのブロワー受粉 坂東明文 風の動きが一目でわかるアプリ「Windy」 曽田寿博 2023年5月号を注文する 最新号から定期購読する 2023年5月号の試し読み 【動画あり】バケットでライムギ倒し成功! 【通路に雑草の生き草マルチ】ぬかるみが改善し、ナスのアザミウマがいなくなった 【こんなときどうする?平飼い養鶏】「無洗卵って大丈夫?」と聞かれた 5月号の読みどころへ戻る 新特産シリーズ サトイモ 農文協 著 多彩な系統・品種、基本の普通露地栽培とマルチ栽培・トンネル栽培、エビイモ、芽芋栽培まで。種芋栽培と貯蔵法も充実。 農家が教える イモのビックリ栽培 後藤敏美 著 ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、粘りイモがラクにたくさんとれる栽培のコツ。イモは種イモや苗の植え方でガラリと変わる。土寄せいらず、増収できる植え方、ラクに収穫できるイモ栽培のコツと裏ワザを収録。 Tags: 水田栽培, 初期除草, サトイモ