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【家のまわりで山菜を育てる】簡単! 強い! コゴミとタラノキがおすすめ

現代農業2023年4月号の「くらし」コーナーのなかから、試し読みの記事を1本公開します。コゴミならうちでもできる、かも?!

滋賀・ 海老原 豊

【 コゴミ 】丈夫な優等生、1年で倍に

  20 年くらい前からコゴミやタラノキ、コシアブラなどの山菜を趣味で栽培しています。コゴミ栽培は職場の先輩から「家庭菜園がコゴミに占領されてきたので株をもらってくれないか」と声をかけられたのがきっかけです。
   半日陰で乾燥しない場所を探し、家の裏、北向きの傾斜地、水辺近くの3カ所(合計 20㎡)に約 50株を分散して植えました。ほとんどの株が枯れずに新芽を出しました。株を弱らせないよう1年目だけは1芽ずつ収穫。翌年には、収穫できる量が2倍、翌々年にはさらに倍と増えました。今では約100㎡(約1000株)に広がり、毎年バケツ2杯程度を収穫しています。
   コゴミは栽培が簡単で病害虫や野生鳥獣の被害もなく山菜の優等生といえます。

日当たりの加減でずらし栽培

 コゴミは生命力がとても強く、条件がよければ地下部のランナーでどんどん増えます。そのため家庭菜園内に植える場合はランナーの定期的な処理や根域制限する仕切り板を設置するなどの対策が必要です。面積を増やしたい場合は、広い場所にコゴミ単品で栽培するのが無難でしょう。
   肥料は植え付け時に化成肥料(8-6-8)を300g/1㎡ほど施しましたが以降はやっていません。収穫後に追肥をすれば収穫量は増えると思いますが、よほどのやせ地でなければもともとの地力でも十分だと思います。
   圃場の条件は実際に栽培してみると、半日陰より日当たりのいい場所で生育が良好で、新芽も早く出ることがわかりました。また傾斜地では斜面の上に向かって広がる傾向が強いことがわかりました。
   コゴミは収穫期間が短い植物ですが、日照時間の異なる場所に分散して栽培することで長くとれます。
   水やりは植えつけ時にたっぷりとしただけで以降はほとんどしていません。数年前、真夏に晴天が2週間ほど続いて葉が全部枯れたことがありました。全滅したと思ったのですが、降雨後に再び新芽が出て1カ月後には元の姿に戻り、翌年も変わらず収穫ができました。株が大きくなればある程度の干ばつにも耐えて、本当に強い植物だと感心しました。

植えつけ時にしっかり除草

掘り取ったコゴミの株(上)とランナー(下)。株を使って増やす
 コゴミの管理で大変なのが雑草対策です。特にササやススキなどの永年性の雑草は植えつけ時に取り除いておかないと後で困ります。コゴミは地下ランナーでランダムに広がるのでマルチ除草は実質無理です。
   植えつけ後の除草は、コゴミの葉が枯れる 11 月頃に刈り払い機で行なっています。背の高い経年株と背の低い新株が不規則に生えているので、雑草だけを地際で刈るのは困難です。私は株を踏みつけないように相撲のすり足のように足先で探りながら経年株より少し高めの地表 20 ㎝で刈っています。
   コゴミは4〜5月の短期間で一気に葉が茂り、雑草の上を覆うので、ある程度密生していれば年1、2回の除草作業でも何とかなりそうです。

株でどんどん増やそう

ポットで管理しているコゴミの株。3月までに植え付ける
 株の移植は生育が止まっている 11 〜3月が適しています。スコップで、 15 ㎝くらいの深さで根ごと掘り起こします。ランナーで増やす方法もありますが、ランナーに新芽ができて収穫可能な大きさになるまで3〜4年かかるので、株を移植する方法が無難です。私は直径5cm、高さ5cm以上になった株を選んで掘っています。これなら1年目から収穫できます。
   掘った株はいったんポットに植えて保管できます。直接移植する場合はスコップで土ごと掘り起こし、そのまま植えます。
   露地なら株間 50 cm間隔、プランターなら横幅 50cmのサイズで2〜3株までにします。移植後はたっぷりと水をやって株周りに少しだけ化成肥料を施します。

続きは2023年4月号をご覧ください

2023年4月号では、海老原さんのタラノキ栽培についても詳しく書かれています。ぜひ本誌でご覧ください。

新特産シリーズ クサソテツ(コゴミ)

阿部清 著

軽いヌメリがあり、アクがない人気の山菜。良品多収に欠かせない質の高い成株確保のためのランナーによる計画的な塊茎の増殖・養成法と、露地、露地早熟、促成の3作型による栽培法から食べ方、売り方を詳述。

新特産シリーズ タラノメ

藤嶋勇 著

タラノメでネックとなっている立枯れ疫病を省力的に回避する穂木養成や、元手をかけずに高品質生産を実現するふかし促成など、手のすく冬場に稼ぐタラノメ栽培を紹介。好評だった旧版を刷新。

山菜・野草の食いしん坊図鑑

松本則行 著

山菜・野草103種を,とにかくうまく食べようと302品の料理に仕上げて紹介。うまそうな仕上り写真満載で食欲をそそる1冊。著者は森林研究所で,敷地内の山菜野草をほとんど管理しており,ワラビの育種などを手掛けたベテラン研究者。中心となる料理法のほか,自生地・採取時期・和名・別名・学名のほか,時に健康機能情報などの基本情報も盛り込む。