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【新連載 限界突破のナシづくり】老木ばかりでも ラクラク4t超え!

現代農業2023年4月号からナシづくりの連載がスタートします!ナシは30年を超すととれなくなってくると言われますが、著者の青木さんのナシは37年目の老木でも衰え知らずの収穫量をほこります。限界突破のナシづくりとは?

栃木・ 青木武久

筆者(54歳)。樹は収穫約10日前の豊水。定植37年目の老木だが、毎年棚が埋まるほど結果枝を確保できる (依田賢吾撮影、以下Y)
筆者(54歳)。樹は収穫約10日前の豊水。定植37年目の老木だが、毎年棚が埋まるほど結果枝を確保できる (依田賢吾撮影、以下Y)

 現在、2.5 ha でナシを栽培しています。高校2年生のときに父がナシの導入を決めたので、鳥取大学へ進学しました。卒業後は栃木県職員として果樹の普及指導員や試験場研究員を経験し、退職後の2021年から専業農家になりました。
 在職中、当時茨城県の普及指導員をされていた鈴木 侃 ただし さんに出会い、「樹勢強化を図る栽培法」を教えていただきました(22年3月号 p165 )。以来、20年近くこの栽培法を実践し、生産量は年々向上。わが家のナシは8割程度が樹齢 35 年を超えていますが、22年度産のJA選果場への出荷実績は過去最高の1万1000ケース(10㎏箱換算)で、平均反収は4.4tでした。

樹齢 30 年から樹が弱る !?

 一般にナシは樹齢30年を超えると老木といわれ、生産量は下り坂になります。栽植密度にもよりますが、おそらく間伐が終わって目標とする園地になる頃です。永久樹は年々樹勢が弱まるなか、間伐した樹の着果数分まで働くことになります。
 ナシも人間と同じで、弱っている状態で働かされれば、なおさら弱ります。樹勢が弱れば花芽の着生は安定せず、果実の肥大が揃わなくなるので、摘果などで着果数を減らすことになります。それでも果実が肥大せず、生産量は減少の一途をたどり、仕方なく改植しても植え替えた樹が良好に生長しない……、という状況をよく見ます。

筆者の園地があるナシ団地。1980年初頭のパイロット事業で開墾した当初は、父が葉タバコを栽培していた(Y)
筆者の園地があるナシ団地。1980年初頭のパイロット事業で開墾した当初は、父が葉タバコを栽培していた(Y)
筆者のナシの樹形の一例。棚の空いたスペースに骨格枝を伸ばす
筆者のナシの樹形の一例。棚の空いたスペースに骨格枝を伸ばす

樹勢強化は若木の頃から

 私の考える、樹の弱体化の主な原因は次のとおりです。
・過度な樹冠拡大(間伐後、主枝を過剰に延長する)
・骨格枝の枯れ込み(大枝の除去、芽かき、夏季せん定などによる)
・弱い結果枝(下枝や古い枝)の利用
・予備枝の減少
 弱っていれば健全な状態に戻す必要があります。もっとも重要なのは、健全な状態のまま弱らせないこと。一度健康を損なうと、なかなか元には戻れません。
 以前よりも樹勢を強化することは受け入れられるようになってきましたが、樹が弱ってからでよいと思われがちです。弱り始めた頃なら戻せますが、残念ながら弱っていること自体に気付けないのが現実……。健全で樹勢が強い若木の頃からこの栽培法を取り入れ、樹勢を下げないことが大切です。

骨格枝上の強い枝を活かす

 生産性を高めるうえで重視しているのは、樹勢強化と着果数の確保です。その次に、肥大向上と適正防除が続きます。これらは誰もが考えることですが、樹勢を強化し生産性を高めることを追求していくと、一般に行なわれている技術とは正反対のような内容になってきました。
 こと樹勢強化については、22年3月号で紹介した冬季せん定法が基本です。ここでは次のことを心がけています。
・予備枝を数多く配置する(養水分のポンプ役)
・上枝(強い枝)を利用する。そのための枝折り誘引
・大枝(強い枝)は極力せん定しない
・結果枝を多く配置する(葉数の確保)
・ 結果枝の早期更新(2年使ったら更新対象)
 一般的な技術とのもっとも大きな違いは、骨格枝上に発生した強い 新梢(上枝)を積極的に使うこと。勢いの強さなどから「骨格枝を負かす枝」として真っ先に枝元から切られがちですが、私は毎年冬季せん定で 15〜20㎝程度に切り、……

詳しくは2023年4月号をご覧ください

この記事の他に、2023年4月号の果樹コーナーでは、「受粉はラクして、確実に」と題して受粉作業をラクにする工夫を集めました。ぜひご覧ください。
・花粉とり、頭上の作業なし キウイのブロワー受粉 畑中伸介

・業務用扇風機でスモモ貴陽の結実が4倍に 飯村省一

・ナシの自然受粉 混植と受粉樹の切り枝だけ 青木武久

現代農業 2022年3月号

農文協 著

特集:今こそ、鶏糞大活躍! 肥料代減らせて地力アップ