土に還るマルチ 最新情報
脱プラスチックや環境循環型の農業に世の注目が集まるなかで、今月は「土に還るマルチ」を特集しました。大きくは二つ。有機物マルチと生分解性マルチです。
有機物マルチ
まずは本誌で話題のちょっと意外な有機物活用法。竹をそのまんま、あるいは真っ二つに割ってマルチにするという、大胆な使い方を紹介してもらいました。きっかけは「サツマイモ畑のマルチをめくったら、白くて丸い物体がいくつも出てきた、何かわかりますか?」という問い合わせでした。編集部内でも、なんだ?キノコ?菌?草のイモ?とざわざわ。その正体は記事(p46)をご覧いただきたいのですが、どうやら竹をマルチにすると不思議な効果があるようで、植え付け直後のサツマイモ苗が焼けることなく、昨年の猛暑をものともせず、元気に育つ。日よけや草よけだけでなく、土づくり効果も期待できそうなのです。
そんなプラスαの効果をいかんなく発揮するのが、イタドリマルチ。世界農業遺産に登録された徳島県剣山系で継承されてきた技術ですが、ジャガイモの連作障害軽減、トマトの糖度向上、病害抵抗性誘導などの効果が確認されています。今回、天敵を殖やす役割も明らかになりました(p50)。
さらに、海外からの最新情報として、イギリスのジョージ・ベネットさんが「耕さないノー・ディグ農法」を執筆。耕耘して雑草をリセットするのではなく、上から段ボールを置いて、そこに完熟堆肥を積んで苗を植える。苗は段ボール層を突き抜けて土中に根を張るという、なんとも奇想天外な栽培法です(p62)。
生分解性マルチ
さて、巻頭特集の後半は生分解性マルチのコーナー。メーカーに製造法やその特徴を聞くインタビュー記事(p86)や、現場での使いこなし術を紹介します。排水性の確保がカギになる水田転作のサツマイモで、生分解性マルチを使いながら、まるでジャガイモやサトイモのように溝切り&培土をして高ウネを確保していくという技術は大注目。迫力ある写真でお届けしています。
ポリマルチは剥がすのも重労働で、処分するにもお金がかかるし、環境にもよくない。有機物マルチや生分解性マルチなら、そのまま土に還り、地球にもやさしく、農家の体にもやさしい。それに、地温を下げて激夏を乗り切る手段にもなりそうなことが見えてきました。今年は昨年以上の猛暑が予想されています。ひとウネからでも試せるマルチのいろいろ。ぜひ、お試しを。
その他のコーナーも見どころ満載です。タイトルだけですが、ご案内します。
- 【みんなで農!】サツマイモってね、チッソが嫌いなんですよ
- 【稲作・水田活用】生きものと一緒にイネつくり・草抑え
- 【野菜・花】熱いぞ 水田転作でカボチャ
- 【果樹】フルメット処理が奏功!? シャインマスカットの未開花症が激減
- 【山・特産】次世代につなぐ雑穀栽培
- 【畜産】尾枕なしの子牛を目指して 増し飼い編
- 【くらし・経営・地域】野の花を煮詰めておいしい! タンポポ、レンゲ、ウメの花蜜
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