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農文協本社にて、「誌上タネ交換会2024」マッチング作業取材&見学会を開催しました

現代農業WEB取材班

2024年3月26日、埼玉県戸田市の農文協本社にて、「誌上タネ交換会」のマッチング作業取材&見学会が開催されました。ここでは当日のようすをお届けします。

タネ交換会

タネ交換会「誌上タネ交換会」は今年で6 回目。『現代農業』誌上で話題を呼び、2024年は全国各地より137名(2023年は116名)の農家・家庭菜園家から約300 種のタネが集まりました。

取材会では、誌上タネ交換会の概要の説明と、そのタネを全国の参加者に発送するための振り分け(マッチング)と梱包のようすの見学が行なわれました。

「誌上タネ交換会」ってなに?

誌上タネ交換会とは、2019年から毎年、月刊『現代農業』主催(現在は農文協主催)で行なわれているイベントです。一般的なタネ交換会といえば、各々が育てた野菜や草花のタネ(球根含む)を持ち寄って、対面で直接交換するという形式が多いですが、誌上タネ交換会は、自分のタネ(登録品種以外)を農文協に送ると、全国から送られてきたほかの種類のタネと交換できるというものです。農文協はあくまで窓口(脇役)で、全国各地の農家や一般の方からタネと応募メッセージが集まり、それぞれをマッチングし、発送しています。詳しい募集要項はこちら

取材会のプログラム

■日時:2024 年3 月26 日(火) 13:30~15:00

■会場:農文協 戸田事務所

■内容:

  1. ご挨拶(編集局長・百合田)
  2. 農家における自家採種の取り組みと広がり、タネ(種苗)に関する情勢について(農業園芸書グループ・山下)
  3. 「誌上タネ交換会」の現状と展望、届いたタネにと同封のメッセージの紹介(文化活動グループ・嶋川、同・阿部)
  4. 質疑応答
  5. マッチング(封入)作業の見学、撮影

各担当者からの解説

取材会の前半では、各担当から誌上タネ交換会が開催されるに至った経緯や、応募してくださった農家の声の紹介などがされました。

有名になってきた誌上タネ交換会(編集局局長・百合田)

誌上タネ交換会を主催している『現代農業』は、今年(2024年)で創刊102年。毎年2月号で品種特集を組み、そのときにタネ交換会の募集も行なっている。

当初(2019年)は1回のみの開催のつもりだったが、好評で、映画『百姓の百の声』で取り上げられて話題となり、定番化した。これまで編集部だけでやっていたが、今年から農文協として取り組もうと専門の担当部署もできた。

タネ交換会はどんなふうにはじまったのか(農業園芸書グループ・山下)

誌上タネ交換会は、2020年の種苗法改定を背景に、法律の範囲内で楽しむ自家採種、タネ採りを応援しようという趣旨でスタートした。予想以上の反響があり、毎年開催されるようになった。

毎年様々な応募があるが、例えばこんなお便りもあった。「交換会にも出品した母親から引き継いだ大事な茶豆を、自分のミスで残りの豆をすべて味噌にしてしまった。どうしても見つからないので今度は私にタネを分けてください」これに対し、もらったタネを増やした参加者がまたタネを交換会に出品するという通称「タネ返し」が行なわれた。このように、交換会には貴重なタネを各地に分散して残す、保険のような役割もあると実感した。

2024年からタネ交換会の窓口(事務局)を引継ぎます!(文化活動グループ・嶋川、同・阿部)

私たちは、いま全国で行なわれている映画『百姓の百の声』の自主上映会や、「現代農業読者のつどい」など、人と人との交流をサポートする部署。タネ交換はまさにそのような場。年々応募者も多くなってきた。ますます盛り上げていきたい。

今回の応募では、はじめてグループ(小学校)からの応募もあった。鹿児島県の小学生がタネ採りして送ってくれた伝統野菜「伊敷長ナス」のタネ。また、埼玉県からは門外不出の「つるあり平さやのインゲンマメ」を送ってくれた人も。ほかの参加者の「タネも技術も囲い込まない」というスタンスを知って感銘を受け、応募を決意した。

鹿児島市立玉江小学校の 子どもたちから届いた手 紙とタネ
鹿児島県の小学校の子どもたちから届いた手紙とタネ

見学会

担当からの解説が終わった後、タネのマッチング・封入作業の見学が行なわれました。

タネ交換会

タネのマッチング・封入作業のようす 。取材に来られた方々も興味津々。多様なタネを見ているだけでもたのしいが、種名がわかるラベルがないと何のタネか判別するのは困難。

全国各地から当会に届いたタネやメッセージの展示。応募されてきたタネは応募者の想いのこもったメッセージとともに、そのタネを欲しい参加者に届けられる。

農文協が発行したタネに関する書籍の展示。『農家が教える タネ採り・タネ交換』や『今さら聞けない タネと品種の話 きほんのき』などは、誌上タネ交換会が企画のきっかけとなった
『農家が教える タネ採り・タネ交換』や『今さら聞けない タネと品種の話 きほんのき』など、誌上タネ交換会が企画のきっかけとなった書籍もある。農文協が発行したタネに関する書籍の展示。

「誌上タネ交換会」は来年(2025年)も開催予定!応募券は毎年1月発行の現代農業2月号に付録しています。次回もたくさんのご応募とエピソードをスタッフともどもお待ちしております。

今回の「誌上タネ交換会」が新聞等で取り上げられました!

・小谷あゆみ氏(農業ジャーナリスト)のブログ

「べジアナあゆ☆の野菜畑チャンネル」

・吉田太郎氏(フリーランス・ジャーナリスト)のブログ

情報屋」

・【新聞】2024年4月8日付「毎日新聞」 

広がる自家採種の輪 農文協

農家が教える タネ採り・タネ交換

農文協 編

「どんな野菜でも採れるの?」「タネはいつ採ってもいいの?」「交雑してヘンな品種ができてしまうのでは?」などといったタネ採り初心者の疑問や不安にやさしく答える。強いタネが採れて、タネ交換もできる。