肥料・土づくり 7月号 栽培のコツ 試し読み 2023年 【実験】太陽熱養生処理で土が変わるのか!?(全文掲載) 2023-06-01 現代農業2023年7月号では「すごいぞ、太陽熱養生処理に菌液散布」と題して、農薬を使わない土壌消毒法の一つ「太陽熱処理」について追求しました。そのコーナーの記事の中から1本公開します。 編集部 土が変わる様子を見たい 現代農業2023年7月号「太陽熱養生処理に菌液散布」に登場する農家2人が絶賛する太陽熱養生処理。菌の働きでマルチが膨らみ、フカフカな土に変化する様子を見てみたい。そこで、水槽を使った超小規模な太陽熱処理で、条件を変えて1カ月実験してみた。 有機物を入れたほうが微生物が炭酸ガスをたくさん出し、マルチが膨らむと予想。ところが、実験を始めると、あれれ? 有機物を入れていないほうもマルチが膨らんでいる。予想が外れて失敗か……そう思いながらも様子を見ることにした。 実験 スタート 水槽に畑の土を詰めて「土+有機物」の水槽と「土だけ」の水槽を比較。水槽下部は耕盤のつもりで土を押し固め、上部は耕耘のつもりで手でかき混ぜて、たっぷりかん水しマルチを張った。有機物として雑草を入れた 田中康弘撮影、以下Tも あれれ? どちらの水槽もマルチが膨らんでいる。有機物を入れたほうが、微生物が炭酸ガスをたくさん出すと思ったが、違うようだ。 この日の地温は41℃。マルチの内側は水滴がついて曇っている (現代農業WEB撮影) 見た目は変わらないが、 土がやわらかい !? 実験期間中、最高地温が55℃を超えず、積算温度も700℃程度だったので、雑草のタネを死滅させる効果はなかった (T) 有機物としてスギナやスベリヒユ、イネ科雑草などを入れたが、ほぼ分解していた (T) 上の写真と比べても、土の質感にそれほど変化はない (T) 1カ月後の5月上旬、マルチをはがした。奥野さん(p121)や赤石さん(p125)が言う、フカフカの土があるかと思いきや、どちらの水槽も見た目は変わらない。やっぱり、実験は失敗だったのだ。落ち込みながら土を触ってみた。 土に手を突き刺してみると明らかに有機物ありのほうがやわらかい。有機物なしが5cm程度しか刺さらないのに対し、有機物ありは 10cmくらいズボッと刺さる。これが有機物を分解した菌の力なのかもしれない。 地力チッソも上がった 有機物を入れた土のパックテストの結果。試薬が緑色に変化し、地力チッソが増えたことを示した。一方、実験前の土と有機物を入れずに処理した土は、試薬が灰色になりチッソの量は変わらなかった 土が変わったなら地力も変化したんじゃないかと思い、地力チッソも測ってみた。実験には水質検査用のパックテストを使った(2022年10月号p50)。すると、実験前の土と有機物を入れなかった土の地力チッソの量は変わらなかった。いっぽう、有機物を入れたほうはチッソ量が増えた。土はよくなったのだ。なんとか、実験は成功。春でこれだけ変わるなら、暑い夏はもっと効果が出そうだ。 現代農業2023年7月号では、「太陽熱養生処理に菌液散布」というテーマで以下の記事も掲載しています。ぜひ本誌でご覧ください。 菌の力で 重粘土質 が劇的改善 ミニトマトの収量が3倍に 奥野靖之 ネギの「太陽熱養生処理+ えひめAI」進化中 赤石正樹 今月号のイチオシ記事 2023年7月号の試し読み ニンニク栽培Q&A やめられない! ラッキョウ暮らし 青梅+煙のスゴイ薬 !? 段ボールスモーカーでも 烏梅 が作れた 集落営農法人では インボイス の影響大 法人2階建て方式のススメ 7月号の読みどころへ戻る 今月号のオススメ動画 【アイデア調製機具】ニンニクの尻磨き機 2023年7月号を注文する 最新号から定期購読する 地力アップ大事典 有機物資源の活用で土づくり 農文協 編 異常気象が頻発し、肥料が高騰するなか、持続可能な農業が待ったなしの状況だ。本書は、地力=土の生産力アップに欠かせない身近な有機物(米ヌカ、モミガラ、落ち葉、竹、廃菌床、家畜糞など)や市販有機質肥料の選び方使い方を一挙収録。作物の有機吸収やバイオスティミュラントなど最新研究のほか、不耕起栽培や有機物マルチ、緑肥栽培など農家の使い方まで収録。 BLOF(ブロフ)理論で有機菜園 三澤明久 著小祝政明 監修 有機栽培が誰でもうまくいく「BLOF」理論をイラスト豊富に解説。団粒構造が作れる太陽熱養生処理、光合成を高めるミネラル肥料やアミノ酸肥料の使い方、酵母菌・納豆菌・乳酸菌等の増やし方、野菜43種の栽培レシピ等 Tags: 実験, 太陽熱養生処理, BLOF理論, BLOF, えひめAI