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サトちゃんのへの字稲作挑戦記〈6〉への字は刈るのもラクだった

福島県北塩原村・佐藤次幸さん

対照区の枕地を刈るサトちゃん(写真はすべて依田賢吾撮影)

ベッタリ一発肥料イネ、倒れなかったへの字イネ

耕作くん うわぁー、写真のサトちゃん、大変な田んぼを刈ってるね。ここ、去年の対照区の圃場でしょ。

サトちゃん ピンポーン。覚悟はしていたけど、その予想をみごとに上回ってきた。なびいた程度じゃなくて、全面が挫折型の倒伏だなんて……いや、まいったね。

 8月下旬(収穫約45日前、先月号参照)の時点でも丈が長くて、かなり危ない姿だったもんね。

サト そうなのよ。あの後さらに丈がヒョロヒョロ伸びて、収穫前の雨に打たれたらベッタリ倒れちまった。やっぱり、元肥一発肥料にまかせっきりだと怖いよね。去年はうちの周りの田んぼはみんな倒伏。作業にかなり遅れが出てたっけなぁ。そのほとんどが、一発肥料まかせで育てた圃場だったみたい。

 なるほどね。と、他人事みたいに言ったけど、去年はオレも一発肥料まかせで、同じ目にあったよ。イネが危ない姿しているのに、田んぼから肥料を取り出すわけにもいかない……もどかしいったらないね! 追肥型なら、イネを見ながら調節できるからいいよね。

サト お、その通りよ。だから、オレも実験以外のほとんどの圃場を半への字稲作でやってるわけ。調整しつつ追肥できたから、なびき倒伏程度だった。コンバインへの負担も少なかったから、収穫も順調に進んだね。それよりたまげたのは、への字区のイネ。多くの株が、最後までちゃんと自立してたのよ。近所に他にそんな圃場はないから、あの1枚はかなり目立ってたね。

昨年10月14日、収穫前日のへの字区。倒伏程度は小さく、なびいた程度。手前側は多くの株が立っている
同日の対照区。全面で完全に倒伏している
3区の標準的な株を並べてみた。対照区は株元から挫折。半への字区は倒伏したものの株元が少し浮いている。への字区は倒れずにしっかり自立した

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