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【珍豆をつくりこなす】ムクナマメは人類を救う 耕作放棄地30aで売り上げ400万円

現代農業2023年9月号の巻頭特集「マメで稼ぐ!」の記事なかから、機能性抜群の珍豆ちんまめ「ムクナマメ」の栽培に関する記事の一部を公開します。

栃木・ 森 雅平

側面のキュウリネットに這うムクナマメ(10月)。十数㎝の莢が房状につく
側面のキュウリネットに這うムクナマメ(10月)。十数㎝の莢が房状につく

 栃木県那須町でムクナマメ栽培を始めて9年目。昨年、町の認定農業者となりました。公務員生活28年で早期退職し、50歳から始めたログハウスの輸入・建築業を15年やり終え、偶然出会ったムクナマメの秘めたる可能性が「人類を救う」と信じている、少し変わった前期高齢者です。

筆者(71歳)と愛犬のユズ
筆者(71歳)と愛犬のユズ

痛み・しびれが30分で軽減

ムクナマメ

 2014年5月、私の母の入浴を妻が介助していたときのこと。足を滑らせた母を支えたことで、妻が頚椎を損傷し、それを原因とした両肩の痛みとしびれにさいなまれました。

 複数の整形外科での理学療法や投薬、整体・マッサージ・鍼灸と、試せるものはすべてやりましたが、一向に改善しない。そのとき目にしたSNSの友人Mさんの日記に、「今日は疲れたので、ムクナマメを食べて元気になります」と書かれていました。

 初めて目にした「ムクナマメ」になぜか興味をもち、さっそくネットで調べました。L-ドーパというアミノ酸を最も多く含む植物で、脳内神経伝達物質ドーパミンの前駆物質のため、ドーパミン不足を原因とする病気の症状緩和に使われているようです。「ひょっとしたら、妻の症状改善に役立つのでは?」と直感しました。

 厚かましいことは承知で、Mさんに「少し分けてほしい」とメールすると、すぐに500gほどのムクナマメ(アメリカ原産のFVB「フロリダベルベットビーン」)が送られてきました。さっそく一晩水に浸して圧力釜でゆで、妻に食べさせました。すると、なんと30分ほどで症状が驚くほど軽減したのです。妻が「治った」といった言葉は、今でも鮮明に覚えています。その後も妻はムクナマメを食べ続けており、以前のような痛みやしびれとは無縁になりました。

 こうして、妻にとってムクナマメは必要不可欠なものとなり、必要量を「自分で栽培しよう」と思うのに時間はかかりませんでした。

冷涼地では害虫が多発

定植1カ月後のようす。初期生育はゆっくり。肥料はウネ立て前に鶏糞とカキ殻石灰をスコップ半分ずつ、定植箇所にポイント施用
定植1カ月後のようす。初期生育はゆっくり。肥料はウネ立て前に鶏糞とカキ殻石灰をスコップ半分ずつ、定植箇所にポイント施用

 当時、栽培に関する情報が少なく、手探りでしたが、ムクナマメを普及・研究する「ムクナ会」のホームページを頼りに、自宅前の耕作放棄地20aを借りて栽培を始めました。

 土地を選ばず、虫はつきにくく、病気にならないので、費用も手間もかからないという事前の情報と異なり、毎年発生するメイガ、ネキリムシ、カメムシ、アブラムシへの対応に追われました。また、熱帯や亜熱帯を源とする植物なので、私の暮らす北関東の那須地域では栽培期間が短く、いかに早く成熟させるか、さらには収穫後の未熟豆の追熟方法にも工夫が必要でした。2015年にムクナ会に参加させていただいた折、藤井義晴会長からいただいた日本原産種の「八升豆」の栽培も始め、現在は2種類のムクナマメを栽培しています。

 はじめの2~3年は、毎年メイガの幼虫が莢に侵入し、接する2莢を行き来しながらタネを食害。観察の結果、……

ハウス内での追熟乾燥。麻ヒモで房ごと吊り下げ、光を十分に当てる。莢の葉緑素が光合成を続けることで、未熟粒もなるべく完熟に近づける。乾燥しすぎるとハゼるので、2カ月ほど干したらネットに入れて保管
ハウス内での追熟乾燥。麻ヒモで房ごと吊り下げ、光を十分に当てる。莢の葉緑素が光合成を続けることで、未熟粒もなるべく完熟に近づける。乾燥しすぎるとハゼるので、2カ月ほど干したらネットに入れて保管
袋詰め前のムクナマメ。写真の品種は八升豆で、FVBに比べてクセがなく良食味
袋詰め前のムクナマメ。写真の品種は八升豆で、FVBに比べてクセがなく良食味

2023年9月号の巻頭特集「マメで稼ぐ!」です。本誌では、この記事で紹介したムクナマメを含め、以下のようなマメも掲載されています。ぜひご覧ください。

  • ムクナマメの超粗放栽培 防風トンネル内に播種するだけ  長堂嘉郎
  • 奇跡のマメになる!? ムクナ農法
  • 乾燥好きの ヒヨコマメ  湿気の多い日本でカビさせないワザ  前田直和
  • 小粒ダイズで反当400kg超え 黒千石の無肥料光合成細菌栽培 薮田秀行

今月号のオススメ動画

動画1
鉢植えカンキツ 市場から引っ張りだこ!
動画2
唾液で育つ !?  幼少期の子牛に ヘイキューブ

今号のオススメ動画は画像をクリックするとルーラル電子図書館へ移動します。動画は公開より3ヶ月間無料でご覧いただけます。

農家が教える わくわくマメつくり

栽培・保存・加工・レシピ

農文協 編

エダマメ(ダイズ)、インゲン、ラッカセイ、アズキ、エンドウ、ソラマメの栽培のコツ、貯蔵法、レシピ、健康機能性、加工など、マメのことがまるごとわかる本。混植、緑のカーテン、プランター栽培のコツも