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誘引――枝を45度にして生長をコントロール

静岡・谷口恵世しげよ

直立性と開張性の二つのタイプ

 今回は、アボカドの枝をヒモで引っ張る誘引という作業を説明します。

 アボカドの樹には、枝の伸び方の違いで直立性と開張性の二つのタイプがあります。どちらのタイプかは品種で決まります。それぞれの特徴を理解し、誘引で樹の形を整えてやると、枝を伸ばそうとする栄養生長と花をつけようとする生殖生長のバランスをコントロールできます。たくさんの花や実がより早くついて、収穫への近道となる大事な管理作業です。

鉢植えにして3カ月ほどの株(品種はサンミゲル)。開張性のため、主枝と側枝の角度が開きすぎ。このくらいの大きさに育ったタイミングで誘引を行なう。誘引後の姿は本誌262ページ

直立性は誘引で枝の伸びを抑制

 そもそも、アボカドの樹は、頂芽優勢といって、樹や枝の中で一番高い位置にある芽が優先的に元気に伸びていきます。

品種はベーコン。直立性で枝が上へ上へと伸びやすい(黒澤義教撮影)

開張性は誘引で枝の伸びを促進

 開張性の樹の場合も主枝を45度の角度に保つことは同じですが、枝を横へ横へと伸ばす傾向があり、そのまま放っておくとほとんどの枝が垂れ下がっていきます。その場合は、垂れ下がった枝をヒモで上向きに引っ張って生育を促進します。

枝が横へ伸びる傾向が強く、下向きに垂れ下がる場合もある。写真はマラマという品種。他にはピンカートン、メキシコーラなども開張性(依田賢吾撮影)

 主枝や側枝が下向きになりすぎると、それぞれから生える枝は上へ上へと勢いよく伸びる徒長枝となります。徒長枝は花芽をなかなかつけない枝になってしまうので、軟らかいうちに誘引して寝かせて側枝に仕立てていきます。あるいは、摘心といって、まだ枝が伸びきる前に手で摘み取ってしまってもいいでしょう。

鉢植え栽培の誘引

基本は3本仕立て、摘心で枝を更新

 本来アボカドは樹高が高くハワイで地植えされているものは10m以上もあります。しかし、鉢植え栽培の場合は根の量も限られるため、樹に負担がかかりすぎないよう、コンパクトに仕立てます。直立性も開張性も主枝1本、側枝2本の3本仕立てにして、あとはそれぞれの枝からさらに出る側枝を増やして伸ばしていく管理が基本です。

 2年目以降、主枝や側枝がそれぞれ1m以上に育ってきたら、

この続きは2021年11月号または「ルーラル電子図書館」でご覧ください

*月刊『現代農業』2021年11月号(原題:誘引――枝を45度にして生長をコントロール)より。情報は掲載時のものです。

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