【映画『百姓の百の声』に登場した農家の紹介】　清友健二さん　ミニトマトでもタバコカスミカメで殺虫剤ほとんどゼロ

　私は岡山県の県北・真庭市で大玉トマト、ミニトマト、キュウリ、トウモロコシ、サツマイモなどを栽培しています。「一年一年しのいで生きる」がモットーです。

　トマトは抑制、促成、半促成の三つの作型をハウス23ａで栽培しています。なかでも、９月定植で12～６月に収穫する促成栽培は、長期収穫なのでコナジラミが問題です。まだ黄化葉巻病が出たことはないのですが、農薬散布を怠ると口にコナジラミが飛び込んでくるほど大量発生し、果実も汚れてしまいます。

　５年ほど前に普及センターの職員から「真庭でもゴマを植えたら土着天敵のタバコカスミカメが集まってくるんじゃないか」と提案を受けました。それまでもツヤコバチなどの購入天敵を試したことはあったのですが、定着するまで我慢できず、結局農薬を使うことがほとんどでした。長く農業をしているうちに、防除は農薬を買って散布する、天敵も買って使うというのが当たり前になっていたのです。

　そこでゴマの苗をつくって点在する５カ所の畑に植えてみたら、８月ごろにそのうちの１カ所にタバコカスミカメが集まりました。その翌年からは、５カ所とも６月末には集まるようになり、年々タバコカスミカメの密度が上がってきています。ゴマのそばに植えていた露地ナスは、明らかにスリップスの被害が減りました。アザミウマやコナジラミなどの害虫を好んで食べてくれるタバコカスミカメは、私たちの周りにいっぱいいることがわかり、感動しました。